177 / 230
3-6 堕天使を殴りに行きます 後編
強敵 ブラックドラゴン
しおりを挟む
五層へ向けて、オレは走る。
こいつらの狙いは、リュボフじゃない。いくら同担拒否、自分より神に愛されている子だからと言って、聖女を殺した程度で得られるのはせいぜい「レアアイテムをゴミに変える」程度だ。
エトムントも、標的ではない。彼は、特別な力はないから。もし彼を狙うつもりなら、塔で最初に殺している。
では、今もっとも堕天使たちにとって驚異とは何だ?
決まっている。
フィーンド・ジュエルだ!
だから、戦力は五層へ温存した。
ジュエルを最もうまく扱う俺と、サピィを分断して。
俺の前に、ハンター共が群れをなす。剣や槍で武装し、銃弾が飛び交う。
「どけおらああ!」
俺はディメンション・セイバーを惜しげもなく打ち込む。戦略も何もない。ただ、眼前の敵を屠る。
ハンターたちは、恐れを知らず襲ってくる。まるで、なにかに操られているようだ。
斬りかかった相手には、蹴りを食らわせた。まともに相手をしているヒマはない。銃撃をしてくる相手には、ヨロイで武装した戦士を盾にして押し切る。
「なんて数だ!」
どれだけ、戦力を温存していたのか。
上空には、無数の堕天使で溢れかえっていた。
中央にある鉄塔の上では、サピィと堕天使のリーダーであるペトロネラが戦っているようだ。
「トウコ、お前も前線で戦ってくれ。お前のほうが銃より早い!」
リュボフが戦っている以上、守りを固めても仕方がない。リスキーだが、数を減らすほうが先決だ。
「おっしゃ! ストレス溜まってたもんね!」
水を得た魚のように、トウコが暴れ出す。巨大サモエド犬の「ユキオ」と共に、戦場を駆け抜けた。
「フェリシア、前線に出て銃撃チームのサポートに回ってくれ!」
「わかったわランバート! うおおおお!」
フェリシアも、前線へ向かう。
得意の雷魔法を駆使しての高速移動は、まさしく電光石火のような動きである。
二人の加勢で火力が出たことにより、こちらの形成が一気に逆転した。
「シーデーは後方で、ひたすら敵に弾を撃ち込んでくれ! 敵をこれ以上、サピィの元へ行かせるな!」
「承知! ランバート殿!」
それに、あのデカイ物体は。
「ブラックドラゴンか」
黒竜と、リュボフが戦闘を繰り広げている。
あのデカブツを倒さない限り、サピィの元へはたどり着けないだろう。
「ビョルン! リュボフを連れてサピィを助けに行ってくれ!」
いくらサピィが魔王だと言っても、あの数は抑えきれないだろう。
「あんたじゃなくていいのかい?」
「俺は、コイツを倒してから行く!」
「期待しているぜ!」
「後ろは任せろ! 行け!」
ディメンション・セイバーで道を作り、リュボフたちを行かせた。
「行こう、リュボフ!」
リュボフの手を取り、ビョルンが鉄塔を駆け抜けていく。
「死ぬなよランバート!」
「簡単に死んでたまるか! おらああ!」
セイバーでハンターたちを突破し、ブラックドラゴンに接敵する。
「ほほう。お主が秘宝殺しか。落涙公がかわいがっていると言っていたが、骨のようにか細い男ではないか」
ドラゴンが、しゃべった。
「とはいえ、能力は本物らしいな。レアアイテムで武装したハンター共が、くず鉄をまとうようになっておるわ!」
愉快そうに、ブラックドラゴンが笑う。
セイバーを浴びたハンターたちの武装が、一斉にサビつく。俺の攻撃は、敵を倒さなくてもいい。相手のレアリティを奪うだけで。
「だが、その快進撃もこれまで。我がその呪いごと食らってみせよう!」
「やれるもんなら、やってみるんだな。おらあ!」
ドラゴンの首めがけて、セイバーを放つ。
「くっ!」
通じないとは思っていたが、やはり硬すぎる装甲に阻まれた。
「くそ、どうすれば……ん?」
なんかジュエルが光っている。
これは、さっき倒したラムブレヒトから手に入れたジュエルだ。
こいつらの狙いは、リュボフじゃない。いくら同担拒否、自分より神に愛されている子だからと言って、聖女を殺した程度で得られるのはせいぜい「レアアイテムをゴミに変える」程度だ。
エトムントも、標的ではない。彼は、特別な力はないから。もし彼を狙うつもりなら、塔で最初に殺している。
では、今もっとも堕天使たちにとって驚異とは何だ?
決まっている。
フィーンド・ジュエルだ!
だから、戦力は五層へ温存した。
ジュエルを最もうまく扱う俺と、サピィを分断して。
俺の前に、ハンター共が群れをなす。剣や槍で武装し、銃弾が飛び交う。
「どけおらああ!」
俺はディメンション・セイバーを惜しげもなく打ち込む。戦略も何もない。ただ、眼前の敵を屠る。
ハンターたちは、恐れを知らず襲ってくる。まるで、なにかに操られているようだ。
斬りかかった相手には、蹴りを食らわせた。まともに相手をしているヒマはない。銃撃をしてくる相手には、ヨロイで武装した戦士を盾にして押し切る。
「なんて数だ!」
どれだけ、戦力を温存していたのか。
上空には、無数の堕天使で溢れかえっていた。
中央にある鉄塔の上では、サピィと堕天使のリーダーであるペトロネラが戦っているようだ。
「トウコ、お前も前線で戦ってくれ。お前のほうが銃より早い!」
リュボフが戦っている以上、守りを固めても仕方がない。リスキーだが、数を減らすほうが先決だ。
「おっしゃ! ストレス溜まってたもんね!」
水を得た魚のように、トウコが暴れ出す。巨大サモエド犬の「ユキオ」と共に、戦場を駆け抜けた。
「フェリシア、前線に出て銃撃チームのサポートに回ってくれ!」
「わかったわランバート! うおおおお!」
フェリシアも、前線へ向かう。
得意の雷魔法を駆使しての高速移動は、まさしく電光石火のような動きである。
二人の加勢で火力が出たことにより、こちらの形成が一気に逆転した。
「シーデーは後方で、ひたすら敵に弾を撃ち込んでくれ! 敵をこれ以上、サピィの元へ行かせるな!」
「承知! ランバート殿!」
それに、あのデカイ物体は。
「ブラックドラゴンか」
黒竜と、リュボフが戦闘を繰り広げている。
あのデカブツを倒さない限り、サピィの元へはたどり着けないだろう。
「ビョルン! リュボフを連れてサピィを助けに行ってくれ!」
いくらサピィが魔王だと言っても、あの数は抑えきれないだろう。
「あんたじゃなくていいのかい?」
「俺は、コイツを倒してから行く!」
「期待しているぜ!」
「後ろは任せろ! 行け!」
ディメンション・セイバーで道を作り、リュボフたちを行かせた。
「行こう、リュボフ!」
リュボフの手を取り、ビョルンが鉄塔を駆け抜けていく。
「死ぬなよランバート!」
「簡単に死んでたまるか! おらああ!」
セイバーでハンターたちを突破し、ブラックドラゴンに接敵する。
「ほほう。お主が秘宝殺しか。落涙公がかわいがっていると言っていたが、骨のようにか細い男ではないか」
ドラゴンが、しゃべった。
「とはいえ、能力は本物らしいな。レアアイテムで武装したハンター共が、くず鉄をまとうようになっておるわ!」
愉快そうに、ブラックドラゴンが笑う。
セイバーを浴びたハンターたちの武装が、一斉にサビつく。俺の攻撃は、敵を倒さなくてもいい。相手のレアリティを奪うだけで。
「だが、その快進撃もこれまで。我がその呪いごと食らってみせよう!」
「やれるもんなら、やってみるんだな。おらあ!」
ドラゴンの首めがけて、セイバーを放つ。
「くっ!」
通じないとは思っていたが、やはり硬すぎる装甲に阻まれた。
「くそ、どうすれば……ん?」
なんかジュエルが光っている。
これは、さっき倒したラムブレヒトから手に入れたジュエルだ。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
八十神天従は魔法学園の異端児~神社の息子は異世界に行ったら特待生で特異だった
根上真気
ファンタジー
高校生活初日。神社の息子の八十神は異世界に転移してしまい危機的状況に陥るが、神使の白兎と凄腕美人魔術師に救われ、あれよあれよという間にリュケイオン魔法学園へ入学することに。期待に胸を膨らますも、彼を待ち受ける「特異クラス」は厄介な問題児だらけだった...!?日本の神様の力を魔法として行使する主人公、八十神。彼はその異質な能力で様々な苦難を乗り越えながら、新たに出会う仲間とともに成長していく。学園×魔法の青春バトルファンタジーここに開幕!
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる