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第二部 敵の名は、海賊版《ブートレグ》 2-1 殴りウィザード、王様に会いに行きます。
王に謁見
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「この度の働き、大義でした」
「もったいなきお言葉」
ペールディネの王都に招かれ、王に直接お礼を言われた。
俺も膝を折り、頭を下げている。コナツやトウコも同様だ。
ペールディネ王の間は、昔ながらの風景でありながら、ところどころに機械部品が仕込まれている。
監視カメラなどもありそうだ。
国王は中年の男性で、物腰も非常にやわらかい。
「あなた方がいなければ、この地は魔族に攻撃されて、多くの民の命が失われたことでしょう」
今回の戦闘で、ペールディネ国王は多くの秘宝を奪われた。
それよりも、民の命を最優先するとは。
「いえ。国王こそ甚大な被害を受けらたはず。特にアイテムなどは」
「たしかに、我らが騎士たちが集めてきたくれた貴重品です。しかし、民の命は何ものにも代えがたい」
王の言葉に、騎士たちも同意している様子だ。
「して褒美をと思ったのですが、これ、フェリシア」
国王は一人の女性騎士を呼び寄せる。
金髪を後ろにアップした、成人女性だ。
豪華な金属ヨロイに身を包んでいる。
「あ、盗賊団を壊滅させた人だ!」
トウコが立ち上がって、騎士を指差す。
「これ、おとなしくなさいな」と、コナツがトウコをたしなめる。
「ペールディネ騎士隊、一三番隊長のフェリシア・モーテンセンよ。よろしく」
フェリシアと名乗った女性が、俺たちに頭を下げてきた。
「ランバート・ペイジだ。よろしく頼む」
「勇者ランバート、今後はこのフェリシアに何でも言ってちょうだい」
そういい、フェリシアは握手を求める。
「それと、こちらが報酬よ」
言ってから、フェリシアが俺に麻の袋を渡す。
中は、多額の金貨だ。金塊すら入っている。
おそらく、ハンターなどしなくても一生遊んで暮らせるだろう。
しかし、俺もコナツも受け取らなかった。
「王様、物はいらねえです。それより、こちらでの経営許可ってのは、もらえませんかね?」
「構いません。適切な場所を提供しましょう。無償で結構です」
店の規模や条件などは、可能な限り融通するという。それはありがたい。
だが、なおもフェリシアは、報酬額を減らしてよこしてくる。
「だから、いらないと」
「活動資金よ。受け取りなさい」
「ありがとう」
報酬額は減った。
が、イチからペールディネで経営を始めるよりずっと安上がりである。
「ただ、条件を飲んでいただきたいのです」
「なんでしょう?」
不利な要求でも、受けるしかないだろう。
断ったなら、どうなることか。
しかし、サピィを差し出せというなら、俺だってことを構える次第だ。
「このアイテムだが、我々ペールディネでも扱えないでしょうか?」
「フィーンドジュエルを用いたレアアイテムを、差し出せと?」
「そうです」
どうする? たしかに、ジュエルを使った武装は魅力的だろう。
しかし、製造法が特殊なのだ。
ヘタに扱えば、サピィに危害が及ぶ……。
「言われると思ったぜ」
コナツが、卑屈な笑みを浮かべた。
「お前自身はどうなんだ、コナツ?」
「戦争の道具にするってんなら、ゴメンだね。魔物退治や、攻撃しないで国防のみなら、考えなくもない」
コナツの言うとおりだ。
これらの武器は、弱いハンターのために作った。
国力を増強するために作ったわけじゃない。
しかし、これらの武装が国を守った。それも、また事実だ。
独占は今後、許されないだろう。
どこまで許容するか。
「もちろん、戦争に役立てようなどとは思いません。自衛目的です。そうはいっても、攻撃してきた国に反撃するなら用いることを、ご勘弁願えませんか?」
「ま、まあ、そういうことでさぁ。ワガママでもうしわけないっすね。へへ」
敵意はないことを、コナツは不器用ながらアピールする。
レアアイテムだって、戦争の道具には使われているんだ。
俺たちの作るジュエル装備だって、有事の際は仕方なく使用されるだろう。
特別扱いはできない、というわけだ。
「して、いかがでしょう?」
「それが実は、俺達の一存では決められない」
煮え切らない俺の態度によって、王の間に緊張が走った。
「もったいなきお言葉」
ペールディネの王都に招かれ、王に直接お礼を言われた。
俺も膝を折り、頭を下げている。コナツやトウコも同様だ。
ペールディネ王の間は、昔ながらの風景でありながら、ところどころに機械部品が仕込まれている。
監視カメラなどもありそうだ。
国王は中年の男性で、物腰も非常にやわらかい。
「あなた方がいなければ、この地は魔族に攻撃されて、多くの民の命が失われたことでしょう」
今回の戦闘で、ペールディネ国王は多くの秘宝を奪われた。
それよりも、民の命を最優先するとは。
「いえ。国王こそ甚大な被害を受けらたはず。特にアイテムなどは」
「たしかに、我らが騎士たちが集めてきたくれた貴重品です。しかし、民の命は何ものにも代えがたい」
王の言葉に、騎士たちも同意している様子だ。
「して褒美をと思ったのですが、これ、フェリシア」
国王は一人の女性騎士を呼び寄せる。
金髪を後ろにアップした、成人女性だ。
豪華な金属ヨロイに身を包んでいる。
「あ、盗賊団を壊滅させた人だ!」
トウコが立ち上がって、騎士を指差す。
「これ、おとなしくなさいな」と、コナツがトウコをたしなめる。
「ペールディネ騎士隊、一三番隊長のフェリシア・モーテンセンよ。よろしく」
フェリシアと名乗った女性が、俺たちに頭を下げてきた。
「ランバート・ペイジだ。よろしく頼む」
「勇者ランバート、今後はこのフェリシアに何でも言ってちょうだい」
そういい、フェリシアは握手を求める。
「それと、こちらが報酬よ」
言ってから、フェリシアが俺に麻の袋を渡す。
中は、多額の金貨だ。金塊すら入っている。
おそらく、ハンターなどしなくても一生遊んで暮らせるだろう。
しかし、俺もコナツも受け取らなかった。
「王様、物はいらねえです。それより、こちらでの経営許可ってのは、もらえませんかね?」
「構いません。適切な場所を提供しましょう。無償で結構です」
店の規模や条件などは、可能な限り融通するという。それはありがたい。
だが、なおもフェリシアは、報酬額を減らしてよこしてくる。
「だから、いらないと」
「活動資金よ。受け取りなさい」
「ありがとう」
報酬額は減った。
が、イチからペールディネで経営を始めるよりずっと安上がりである。
「ただ、条件を飲んでいただきたいのです」
「なんでしょう?」
不利な要求でも、受けるしかないだろう。
断ったなら、どうなることか。
しかし、サピィを差し出せというなら、俺だってことを構える次第だ。
「このアイテムだが、我々ペールディネでも扱えないでしょうか?」
「フィーンドジュエルを用いたレアアイテムを、差し出せと?」
「そうです」
どうする? たしかに、ジュエルを使った武装は魅力的だろう。
しかし、製造法が特殊なのだ。
ヘタに扱えば、サピィに危害が及ぶ……。
「言われると思ったぜ」
コナツが、卑屈な笑みを浮かべた。
「お前自身はどうなんだ、コナツ?」
「戦争の道具にするってんなら、ゴメンだね。魔物退治や、攻撃しないで国防のみなら、考えなくもない」
コナツの言うとおりだ。
これらの武器は、弱いハンターのために作った。
国力を増強するために作ったわけじゃない。
しかし、これらの武装が国を守った。それも、また事実だ。
独占は今後、許されないだろう。
どこまで許容するか。
「もちろん、戦争に役立てようなどとは思いません。自衛目的です。そうはいっても、攻撃してきた国に反撃するなら用いることを、ご勘弁願えませんか?」
「ま、まあ、そういうことでさぁ。ワガママでもうしわけないっすね。へへ」
敵意はないことを、コナツは不器用ながらアピールする。
レアアイテムだって、戦争の道具には使われているんだ。
俺たちの作るジュエル装備だって、有事の際は仕方なく使用されるだろう。
特別扱いはできない、というわけだ。
「して、いかがでしょう?」
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煮え切らない俺の態度によって、王の間に緊張が走った。
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