上 下
62 / 230
1-5 黒幕の配下を、殴りに行きます

親バカのドワーフ

しおりを挟む
「最初は、我が娘に」

 ヘビの革で作った貫頭衣だ。大胆なスリットが入って、露出は増えた。が、見た目とは裏腹に驚異的な防御力を誇る。
 肩にはパフスリーブもあって、色気の中に少女っぽさも残っていた。

「ピンクかー。もっと格闘家っぽい、黒とか赤とかがよかったぞ」

 貫頭衣の色がかわいすぎて、トウコは文句を言う。

「黙ってろ。お前には一〇〇年早え」

「ちぇー」と、トウコが口を尖らせる。

「あんたの少女趣味が、全開だね」
「うるせえやいっ! 娘を愛さねえオヤジはいねえんだよ!」

 コナツ夫妻が、娘そっちのけでじゃれ合う。どうもコナツは、娘への溺愛度合いをこじらせてしまったらしい。

 何よりすごいのは、ヘビ革のアームガードとニーソックスである。
 薄皮ながら、ジュエルの影響でプロテクターよりも強度が高い。これなら、重いプロテクターで全身を固めなくて済む。

「あと、武器だ。両端を、球状にしてある。インパクトの瞬間に炎のエンチャントで爆風を飛ばすんだ。ただし爆風だけな。これで、移動もできる」

 高くジャンプしたければ、スタッフに足を載せてわざと床に叩き込めばいいらしい。

 早速テストすると、トウコの軽さもあって高く飛びすぎた。

「アームガードとシューズ、バトルスタッフには、各属性効果を持たせている。敵に応じてどのような属性にも対応できるから、思い切りぶん殴れ」
「ありがとう父ちゃん! でもまた予算度外視して」
「バカヤロウ。お前らどんだけジャージャー・デビルを狩り続けたって思ってやがる? 有り余るくらいだったぜ」

 素材が大量に残ってしまい、在庫処分の方が大変だったらしい。

 トウコの戦闘スタイルが、ようやく確立し始める。やはり、武器の方をサブに持っていったほうがいいだろうという結論に。


 シーデーには、火炎放射器とライフルを一体化する特殊なアタッチメントが。
 アーマーも一新し、盾役としてますます頼りになる存在に。

 なんといっても、全身オーバーホールしたのが強い。

 オーバーホールとは、すべてのパーツを部品単位で元から新調することである。
 おそらく、シーデーのメンテナンスが一番凝っていた。

「壁役としても、火力としても、お役に立ちましょうぞ」

 当のシーデーもやる気だ。

 さて、俺の装備である。アラクネとの戦闘で得たショートソードは、どうなったのか。

 しかし、俺の予想は裏切られることになる。

「これ、刃が付いてないぞ。どういうことなんだ?」

 正確には、刃が折れていた。斜めに切れている。

「完成が、間に合わなかったのか?」
「いんや。こいつは【ソード・レイ】といってな。いわゆる光子剣だ」

 ソード・レイだって?

「見た目や感覚は、片手剣だな。しかし、持ち手が長いから両手剣か?」
「ハンド・アンド・ハーフソードだ。片手でも両手でも扱える」

 イクリプスに比べると、サイズがやや小さい。もっとゴツい武器を渡してくると思っていたから、意外だった。

「お前の魔力を流し込むことによって、刀身が出るんだよ」

 半信半疑で、俺は剣に魔力を注ぐ。

 ブオン! と風を切る音が響き、黄色い刀身が飛び出た。

「おお、すごい勢いで刃が飛び出てきた」

 突然の出来事だったので、一瞬腰が引ける。

「昔は、こういった武器があちこちで散見されたのですが、懐かしいですな」

 シーデーが、過去を振り返るように語った。

「ああ。旧世代の武器だぜ。レアリティは、アーティファクト並だろう。オレも、こんなの作ったのは初めてだぜ」

 聖遺物レベルの、代物か。

 光子でできた刀身を安定させる技術が、失われてしまった。なので、今ではすっかり見なくなったという。

「威力は保証する。ディメンション・セイバーだって撃てるぜ。もっとすげえのは、『どんな属性にも変換できる』ことだ」
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

ハズレ職業のテイマーは【強奪】スキルで無双する〜最弱の職業とバカにされたテイマーは魔物のスキルを自分のものにできる最強の職業でした〜

平山和人
ファンタジー
Sランクパーティー【黄金の獅子王】に所属するテイマーのカイトは役立たずを理由にパーティーから追放される。 途方に暮れるカイトであったが、伝説の神獣であるフェンリルと遭遇したことで、テイムした魔物の能力を自分のものに出来る力に目覚める。 さらにカイトは100年に一度しか産まれないゴッドテイマーであることが判明し、フェンリルを始めとする神獣を従える存在となる。 魔物のスキルを吸収しまくってカイトはやがて最強のテイマーとして世界中に名を轟かせていくことになる。 一方、カイトを追放した【黄金の獅子王】はカイトを失ったことで没落の道を歩み、パーティーを解散することになった。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

処理中です...