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1-5 黒幕の配下を、殴りに行きます

機動術士 マンティダエ

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「なんですかな、あなた方は?」

 テン・リューの隣に、異様な気配があると気づく。

「お前は……」


 ヨロイの隣に立っていたのは、ジェンマととともに失踪した魔術師だった。

「たしか、女シーフの仲間だったフォート族だな?」

 俺の言葉など無視して、魔術師はサピィの方を向く。

「ジェンマ様への手土産として、このヨロイを調査してみたら、我々の邪魔をしていたのはあなただったのですね、サピロス・フォザーギル殿下」

 このフォート族は、サピィの本名を知っていた。

「あなたは、ジェンマと繋がっているのですね」


「自己紹介がまだでしたね。お初にお目にかかります。我が名はマンティダエ。ジェンマ・ダミアーニ殿下のしもべ」

 マンティダエと名乗った怪人が、腰を折る。

「世界中の【オミナス】を集める務めをしていましたら、必ずお会いできると思っておりました」


「……このデーモンたちは、テン・リューを探していたんですね!」

 そうか。この世界は、レアアイテムからのマナを補給している。それは、魔族も同じなのだろう。

「テン・リューから無限に発せられるエネルギーを吸えば、彼らはこの世界で自在に暴れられます。魔法の岩の力がなくても」

 ジェンマはヨロイがありそうなダンジョンの当たりをつけて、魔法の岩を埋めてデーモンに探させていた、というわけか。

「山のようなデーモンの死体は、なんだ?」
「ヨロイに食わせたのでしょう」
「今にも動き出しそうだな」
「実際に動きます。あれは、リビングアーマーですから! 来ます!」

 サピィの言う通り、ヨロイがひとりでに動き出した。

「さっそくですが、あなたがたには死んでいただきます」

 マンティダエとかいうフォート族が、生きたヨロイに杖の先を当てる。

「さあ、復活なさいデーモンたちよ」

 フォート族が、杖を掲げた。

 仮初の命を吹き込まれて、レッサーデーモンたちが目を覚ます。その眼はうつろだ。

 このフォート族、ネクロマンサーか。

「来るぞ、おらあ!」

 イクリプスを振り回し、ディメンション・セイバーで切り刻む。

 だが、倒しても倒しても、また再生してしまう。

「キリがないぞ!」
「テン・リューのせいです!」

 ヨロイから、何かが黒いモヤが溢れている。モヤを吸った魔物たちが、アンデッドとなって襲ってくるようだ。

「あれを壊せば、魔物たちは消えるんだな?」
「おそらくは。ですが、外に出してはなりません」

 ヨロイを操っているだろうマンティダエに向けて、ディメンション・セイバーを叩き込む。
 だが、テン・リューに片手で阻まれてしまった。

「なにい!?」
「ムダですよ。あなた方ではワタシを倒せない! 行きなさい!」
 
 マンティダエが、せっかく身につけたヨロイをあっさり脱ぎ捨てた。

 空になったにもかかわらず、ヨロイが俺たちに向かって走り出す。
 しかし、俺たちなど眼中にないらしい。跳躍からのとんぼ返りで、俺たちを飛び越えようとする。

「おらあ!」

 俺は、テン・リューの脇腹を切り裂く。

 だが、ヨロイに対したダメージは入らなかったようだ。

 リビングアーマーが、俺たちの前から姿を消す。方角からして、ペールディネの街へ向かっているようだ。

「あれはようやく見つけた、ジェンマ様への手土産! 取り逃すわけには行かないのです!」
「後を追うのです、シーデー」

 ヨロイをシーデーに追わせて、サピィ、トウコ、俺でマンティダエを取り囲む。

「承知!」

 シーデーが、俺たちの脇をすり抜けてヨロイを追跡に向かった。

 レッサーデーモンが、シーデーの行く手を遮る。

 だが、シーデーはレッサーなどものともしない。指マシンガンで一掃する。

「残るはお前だけだぞ、マンティダエ」
「なんとも、往生際の悪い」


 やけに余裕ぶって、マンティダエが大げさにため息をつく。
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