上 下
265 / 302
4-3 ラストダンジョンへ!

魔王と魔法少女との差

しおりを挟む
 チサちゃんと、魔法幼女アーデルハイドとの戦いは、まだ続いていた。

「くらえー。ウルトラデラックス・ハートアタック!」
「フリーズアロー」

 相手を押しつぶすほどデカいハート型の光弾を、チサちゃんが氷の矢で撃ち抜く。

「これならどうだー。グレートデンジャラスキック!」
「ドラゴンスクリュー」

 アーデルハイドが放った跳躍からの蹴りを、チサちゃんは抱きかかえた。そのまま体を捻って相手を倒す。

「やるなー。このこの」

 足を抱える腕を引き剥がそうと、アーデルハイドはチサちゃんの手に自分の足をひっかける。

 至近距離から蹴られると思ったのか、チサちゃんはすぐに離れた。なんか、プロレス慣れしているように思える。ボクと融合して、勝手を覚えたんだろうか?

 いかにも子どもが考えつきそうな強そうに見えるネーミングの技を、アーデルハイドは次々と繰り出している。

 対してチサちゃんは、必要最低限の出力で効果的な技を放ち続けた。場数の違いだろう。チサちゃんは数々の実戦をくぐり抜けてきた。

 明らかに、アーデルハイドはムダ撃ちしている。だが、アーデルハイドは邪神の加護を受けているのだ。まだ余裕はあるはず。

「チサちゃん、辛くなったら言ってね」
「大丈夫。アーデルハイドと遊ぶ」
「わかった。見ているから楽しんでねっ」

 チサちゃんの様子を見ている限り、大丈夫だと思う。 

「ん? 待てよ? なんかアーデルハイド、疲れてない?」

 さっきから、アーデルハイドの攻撃が寝技ばかりになってきた。

「うおおー。くすぐり攻撃」

 アーデルハイドが、チサちゃんに覆いかぶさってくすぐろうとする。攻撃のパターンも、効果的だが単調になっていた。

 黙ってやられる、チサちゃんではない。脇固めに移行する。

「やっぱりだ」

 まだ余力があるチサちゃんに対し、アーデルハイドはぜえぜえ言っている。

「ダイキのような玉座が、アーデルハイドにはいないからな」

 ボクは魔力タンクだ。存在しているだけで、チサちゃんに加担していることになる。

「魔力を邪神から分けてもらっていると言っても、恒久的にエネルギーを補給しているわけじゃない。必ずガス欠が生じる」

 エィハスの読み通り、アーデルハイドの息が上がってきた。

「となると、勝敗は見えたかも知れないな」

 とはいえ、ボクはただ勝敗の行く末を見守るしかない。

 チサちゃんが、トドメに差し掛かる。アーデルハイドの履いているブーツを脱がし、足の裏をくすぐり始めた。

「ぎゃはははは! こうさんこうさーん!」

 アーデルハイドがタップし、戦闘は終了する。

「さてみんな、お茶にしようか」

 エィハスが、お茶とお菓子を用意した。

「はーい」
「やったー」

 チサちゃんもアーデルハイドも、ただの子どもに戻る。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ユウ
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...