おっさん、魔王の玉座になる －幼女魔王と一緒に座っているだけでレベルMAX！－

4-3 ラストダンジョンへ！

悪堕ち？ オンコ

　まさか、ボクの仲間であるオンコが、モンスターになってボクたちの前に立ちふさがるなんて。

「どうしてオンコが、フロアモンスターになっているの？」

　これって、いわゆる【悪堕ち】ってヤツだよね？
　だいたい、拷問されて心が折れるか、洗脳されて、思考自体を操られるかなんだけど。

　オンコは、そのパターンのどれにも当てはまらない。
　自分から進んでモンスター化しているように見えた。

　どういう心境の変化なんだろう？　

「なんかさ、イカのおっさんからお願いされた。『ワイに洗脳された体で頼んます』だって」

　なんていうメタな。

「で、後ろの巨大ゴーレムは？」

　オンコの後ろには、全長は三〇メートルくらいあるゴーレムが立っている。

「ウチの最終兵器だぞ」

　胸の透明なパーツに、二人のドワーフが鎮座していた。ふたりとも、男性である。

「お初にお目にかかる、ダイキ殿。我はゴマトマ王の長男ゴシャ」
「はじめまして。私は次男で、イッサと言います」

　二人の名前を聞いて、思い出す。

「ダイキが会うのは、初めてだよね？　ウチのアニキたちだよー」

　オンコって、お兄さんが二人いるって設定だったね。

「お二人も、魔王ロイリさんと邪神ラヴクラホテップさんに依頼されて？」
「左様。しかし、ダイキ殿にひと目会いたく」

　長男のゴシャさんが語る。

「妹が惚れ込んだ玉座の実力はいかがなものか、お手並みを拝見いたします！　お覚悟を！」

　次男イッサさんの合図で、戦闘が始まった。

「ゴーレム、ハッチオープン」

　ゴーレムの頭部分が、パカッと開く。

　オンコが、ゴーレムの頭脳部分に乗りこんだ。
　やたら数の多いレバーを、ガシャンガシャンと動かす。

「イヤッホーッ！　目からビームだ！」

　窪んでいたゴーレムの瞳から、傘を裏返しにしたような形のアンテナが飛び出す。アンテナから雷魔法を放ち、ボクたちを狙い撃ってきた。

「おおっと！」

　石畳が、粉々に砕ける。殺意は高めのようだ。

「くっそ」
「ダイキ、スネを狙って」
「おう！」

　ボクは、スコップでゴーレムの足に殴りかかった。

　ガキンッ、という金属音を立てて、ボクは跳ね返される。

　チサちゃんが火球の魔法でけん制するが、効いている様子はなかった。

　硬い。それにサイズも桁違いだ。

「敵より大きいということは、我々の勝利というわけだ」
「兄さん、大きさだけが取り柄ではありませんよ。やはり、オトコは硬さでないと」

　なんだか、会話だけ聞いているとヒワイだな。

「どうしよう、チサちゃん？」
「向こうが三人いるなら、こちらも合体する」

　以前勇者を倒したときに行った、チサちゃんとの合体か。