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第三部 エピローグ ラスボス「勇者」登場! 最終回層へ!

サウナ神との別れ

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 最終階層に行く前に、もう一度ビバノンに泊まりたいと言うので、みんなでククちゃんの旅館に。

「楽しいね。チサちゃん」 
「やっぱり、みんな仲良しが楽しい!」

 みんなで背中を流し合い、チサちゃんは喜びを顕にした。

「ホントよ! 一人で突っ走っても見えてこないものがあると学んだわ!」
 マミちゃんも、満足げである。

「持つべきものは、親友なのでしょうな」
「アンタも頼れる仲間をお作りなさいよね!」
「フレンズ!」

 いいことを言ったケイスさんを、マミちゃんが足蹴にした。

「ああ。マミの言うとおりだな。魔王の奴ら、イキイキして帰っていったから。普段はギラギラしているのに」

 ネウロータくんは、他の魔王ともよく遊んでいる。
 なので、彼らの心境が変化したことを敏感に感じ取ったのだろう。

「次は手強くなるかも。でもどうしてだろ? やけに清々しいのよね。戦ったとしてもわだかまりが残らない気がするの」
 トシコさんも、次の戦いに不思議な予感をつのらせているようだ。

「今日は、ワタクシたちもちゃんとお邪魔しますわ」
 前回とは打って変わって、ククちゃんがバスタオル一枚でお風呂場に顔を出す。

「くうう、気持ちいいですわ!」
 肩まで浸かって、ククちゃんは爽快感のこもるため息を漏らした。

「ククお嬢様、もうちょっとくっつきましょう」
「いいですけど、ベタベタすると暑苦しいですわ!」
 ククちゃんは、過剰なスキンシップまではお気に召さないらしい。

 今度こそ、気兼ねなくサウナに入る。 

「おうダイキ、久しいのう!」

 サウナにて、全身が機械の黒い学ラン天使と、白いセーラー服の天使が出迎えてくれた。

「ソーッ!」

 再会を喜び、ボクとソーが抱き合う。

「どうしたの、もうサウナ神のバイトはいいんでしょ?」

「それが、我々三人は、ここで雇ってもらうことになったんだ」
 セーラさんが、教えてくれた。

「えっ、今三人って?」

「いらっしゃいませ」
 ミニ浴衣とハッピ姿で現れたのは、なんとオーシャさんだ。
 そんな格好だと、ヨアンさんと見間違えるほどに若い。

「お母様⁉」
 呆気にとられて、ヨアンさんが変な声を出す。

「ふふーん。今日から、この旅館で働かせてもらうことになったんだ」
「それはそれは。おめでとうございます」
 ヨアンさんが、オーシャと抱き合う。

「ダスカマダ王とは?」
「また家族そろって王宮で暮らさないか、って言われたけどね。勢力争いに巻き込まれるのはゴメンなんだ」

 オーシャさんは、ツテを頼ってここに身を置いた。

「でも、歌の放浪はいいのですか?」
 歌ってさすらうのが好きなオーシャさんが、一つの場所にとどまれるのだろうか。

「女将さんと意気投合しちゃってさ。離れがたくなっちゃった」

 今は飲み友達として、毎晩飲んでは娘自慢に花を咲かせているらしい。

「これからはここでさ、二人を応援しているから! ママさんチームでさ!」
「心強いですわ!」

 ヨアンさんより、ククちゃんの方がうれしそうに告げる。

「お母様、ありがとうございます。ワタシも、みんなには負けません。もう魔王じゃなくてもいいなんて零しません。勝ちにいきます」

 魔王として、ヨアンさんは手強い相手になりそうだ。

「では、今日は楽しんでいってくれ」
「ワシらサウナ神のこと、忘れんとってくれな!」

 サウナ神+オーシャさんによる、ウチワパフォーマンスが始まった。

 熱波が、三人の仰ぐウチワによってサウナルームじゅうを駆け巡る。

 これを味わうために、まだ戻ってきたんだ。

「気持ちいい!」
「そうですねーえ」

 ん? 聞いたことのある声がしたけど。

「ママもそう思う?」
「はい。思いますよー」

 サウナには、先客がいた。片隅で足を組んで座っているのは……。

「ロイリさんっ、いつの間に⁉」
「やっはろー」

 なんと、ロイリさんがくつろいでいた。バスタオル一枚で。

「ロイリさんも、サウナにハマっちゃったんですか?」
「そうなんですよー熱い風が心地よいですねー。さすが、サウナ神ですねー」

 すっかり、ロイリさんはできあがっている。

「ロイリ様、娘たちがお世話になりました」
 ウチワでボクたちを仰ぎながら、オーシャさんがロイリさんにお礼を言う。

「こちらこそー。娘と遊んでくれてありがとうございますー」

 サウナイベントが、お母さん同士のあいさつに変わった。

 こうなると、お母さんという人種は長い。

 今日はここまでにした。

 ボクたちは着替えて、浴場から出る。

「ダイキ、チサ。他の魔王も。またこっちに来る機会があったら、楽しんでいってくれ」
「レースも、いつでも相手になる」

 これで、ソーとセーラさんとはお別れだ。

「ククちゃん、ヨアンさん、最後にお母さんと」
「よろしいので?」

 チサちゃんと手をつないで、二人でうなずき合う。

「ボクらは、食堂にいるね。話が終わったら、戻っておいで」 
「はい。行ってきます」

 ヨアンさんとククちゃんは、走って女将さんとオーシャさんの元へ。親子でこれまでの思い出を話し合うのだろうな。

 最終階層は、激戦になるはずだ。しばらく家族とは会えない。


 今は、家族だけにしておこう。
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