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3-4 ダイキ VS LO【ハメルカバー】 リアル魔リカー対決!
走り屋LOコンビ【|失楽園《パラダイス・ロスト》】
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知りたくなかったなぁ。
感動の再会が、思わぬ性癖暴露になるなんて。
「いっしょにお風呂に入れないわけね!」
「貧血を起こしてしまうからだったのでしょうね」
あまり物事に動じないマミちゃんとケイスさんすら、少し動揺していた。
「わたくしも、胸が痛みましたわ。ヨアン様を足蹴にしていいものかと。ですが、ソッチのほうが喜ぶので」
「至福の時間でした」
「あなた方がいないと、ずっとこの調子なのですわ。色々とおねだりしてきて」
すごいうっとりしてる。
ヨアンさんの幻想が、ボクの中で崩れていった。
「じゃあ、オーシャさんは何のために魔界へ?」
「我々は、ずっと尾行・監視されていて」
オーシャさんは、カリダカのルートを行脚する歌手という名目で、ヨアンさんを見張っていたのである。
尾行の影は、オーシャさんだったのだろう。
ケイスさんが手を叩く。
「なるほど。強力な魔力なら、我々でも探知できます。しかし、普通の人間となると」
警戒心が緩んでしまう、と。
「発見が遅れたのは、そのせいね。私もモーロクしたわー。アイドル級に目立つ存在から追われていて、気づかないなんて」
トシコさんが、大きく伸びをする。
「仕方ありません。芸能関係は、正体を隠す術にも長けております」
「それもそうね」
しかし、親心で二人を助けてしまうかも知れない。
そう感じた王は、二人の学生風LOを雇う。
オーシャさんを監督するものとして。
「監視されつつも、私はみなさんと出会えて楽しかったです。ヴァンパイア族のクク様は、サキュバス族のチサ様を密かにライバル視していまして、なかなか打ち解けようとしませんでしたが、ケンカにならなくてよかったです」
「しかし、レースは終わってしまった」
スタンプラリーに食いつかない子どもがいるなんて、誰も予想していなかったから。
ダミーのイベントとはいえ、スタンプラリーはメリットもあったのに。
「できれば、チサ・ス・ギルとの決着を付けたかったですわ」
「私たちは、こっそり逃げました。どうなるわけでもないのに。でも見つかって」
ヨアンさんは、女帝候補として連れてこられた。
「ダスカマダ王は、どうしてあんたが魔王になるのを嫌がるの? 女の子同士だから?」
トシコさんの問いかけに、ヨアンさんは首を振る。
「そちらは、クク様のご両親が説得してくださいました」
「では、なぜなんです?」
「私が、人間だからです」
人間の魔王なんて、聞いたことがない。玉座ならありえるが。
「何の力を持たない私が魔王になってしまうと、ダスカマダ王の実力も疑われるって」
世間体を気にしているだけじゃないか。
「なんか、見下されている気がするね」
「腹が立つわね」
ボクとトシコさんが憤慨する。
「あたしも気分が悪いわ! どうして人間が魔王になったらいけないの?」
マミちゃんまで。
「体裁です。強固な力を持つダスカマダ王としては、何の力も持たない娘を魔王に祭り上げるのは、ガマンならないのです」
あまり、いいお父さんはないなぁ。
こんなこと、言っちゃダメなんだろうけど。
「二人はどんな苦難も乗り越えられるわ! もう一度話し合うべきよ!」
マミちゃんがいいことを言う。
「その言葉を待っとった!」
現れたのは、学生風LOの二人組みだった。
一人は白いセーラー服を着た天使、セーラさんで、もうひとりは学ランを着た一つ目のロボット、ソーである。
「国王は、ワシらとレース勝負して勝ったら、ヨアン様を返すっておっしゃっとる!」
レースだって?
「あの、お二人はもしかして、伝説の走り屋【失楽園】では?」
ケイスさんが、学生風LOに尋ねた。
「そう呼ばれとった気もするのう。よう覚えとらんわい」
とぼけているが、回答したようなものだ。
「舞台は天空のレース用ダンジョン、【ワターキ島】だ」
セーラさんが、要点を解説する。
ワターキ島は人が立ち入れないどころか動物も飛び込んでこないため、安全だと。
「ホントのラリー形式みたいになってきたね」
「ほうじゃほうじゃ。ワシらも久々にマジもんのレースがやれて、腕が鳴るっちゅう話や」
運転をソーが。エンジンをセーラさんが担当するらしい。
「勝ったら、ククちゃんたちに何も言わない?」
「おう言わん! 国王さんは、そうお約束してくださった!」
二人がウソをついているようには、思えなかった。
「ヨアンさん、ククちゃん。がんばって」
「待たんかい」
ボクが二人にエールを送ると、ソーは首を振る。
「レースするのは、ヨアン様のチームじゃないけん。ダイキ・オサナイ、あんたじゃ!」
ソーは、ボクを指差した。
「え?」
「あんたが二人の代理として、レースに出るんじゃ」
ウソでしょ⁉
「どうしてボクが⁉」
「あの黒竜ルチャしか扱えなんだ伝説のマシン、『ハチシャク』を動かせる玉座ダイキ・オサナイに、国王さんはえらい興味津々じゃ。あんたに出てもらうことになったんじゃ」
「ボクたちがもし、負けたら?」
質問に対して、セーラさんは言いづらそうに答えた。
「ヨアンさんとククさんは、ハメルカバーの后として生きることになる」
そんな。だってもボクは。
「魔リカーでいつもビリだったのに……」
感動の再会が、思わぬ性癖暴露になるなんて。
「いっしょにお風呂に入れないわけね!」
「貧血を起こしてしまうからだったのでしょうね」
あまり物事に動じないマミちゃんとケイスさんすら、少し動揺していた。
「わたくしも、胸が痛みましたわ。ヨアン様を足蹴にしていいものかと。ですが、ソッチのほうが喜ぶので」
「至福の時間でした」
「あなた方がいないと、ずっとこの調子なのですわ。色々とおねだりしてきて」
すごいうっとりしてる。
ヨアンさんの幻想が、ボクの中で崩れていった。
「じゃあ、オーシャさんは何のために魔界へ?」
「我々は、ずっと尾行・監視されていて」
オーシャさんは、カリダカのルートを行脚する歌手という名目で、ヨアンさんを見張っていたのである。
尾行の影は、オーシャさんだったのだろう。
ケイスさんが手を叩く。
「なるほど。強力な魔力なら、我々でも探知できます。しかし、普通の人間となると」
警戒心が緩んでしまう、と。
「発見が遅れたのは、そのせいね。私もモーロクしたわー。アイドル級に目立つ存在から追われていて、気づかないなんて」
トシコさんが、大きく伸びをする。
「仕方ありません。芸能関係は、正体を隠す術にも長けております」
「それもそうね」
しかし、親心で二人を助けてしまうかも知れない。
そう感じた王は、二人の学生風LOを雇う。
オーシャさんを監督するものとして。
「監視されつつも、私はみなさんと出会えて楽しかったです。ヴァンパイア族のクク様は、サキュバス族のチサ様を密かにライバル視していまして、なかなか打ち解けようとしませんでしたが、ケンカにならなくてよかったです」
「しかし、レースは終わってしまった」
スタンプラリーに食いつかない子どもがいるなんて、誰も予想していなかったから。
ダミーのイベントとはいえ、スタンプラリーはメリットもあったのに。
「できれば、チサ・ス・ギルとの決着を付けたかったですわ」
「私たちは、こっそり逃げました。どうなるわけでもないのに。でも見つかって」
ヨアンさんは、女帝候補として連れてこられた。
「ダスカマダ王は、どうしてあんたが魔王になるのを嫌がるの? 女の子同士だから?」
トシコさんの問いかけに、ヨアンさんは首を振る。
「そちらは、クク様のご両親が説得してくださいました」
「では、なぜなんです?」
「私が、人間だからです」
人間の魔王なんて、聞いたことがない。玉座ならありえるが。
「何の力を持たない私が魔王になってしまうと、ダスカマダ王の実力も疑われるって」
世間体を気にしているだけじゃないか。
「なんか、見下されている気がするね」
「腹が立つわね」
ボクとトシコさんが憤慨する。
「あたしも気分が悪いわ! どうして人間が魔王になったらいけないの?」
マミちゃんまで。
「体裁です。強固な力を持つダスカマダ王としては、何の力も持たない娘を魔王に祭り上げるのは、ガマンならないのです」
あまり、いいお父さんはないなぁ。
こんなこと、言っちゃダメなんだろうけど。
「二人はどんな苦難も乗り越えられるわ! もう一度話し合うべきよ!」
マミちゃんがいいことを言う。
「その言葉を待っとった!」
現れたのは、学生風LOの二人組みだった。
一人は白いセーラー服を着た天使、セーラさんで、もうひとりは学ランを着た一つ目のロボット、ソーである。
「国王は、ワシらとレース勝負して勝ったら、ヨアン様を返すっておっしゃっとる!」
レースだって?
「あの、お二人はもしかして、伝説の走り屋【失楽園】では?」
ケイスさんが、学生風LOに尋ねた。
「そう呼ばれとった気もするのう。よう覚えとらんわい」
とぼけているが、回答したようなものだ。
「舞台は天空のレース用ダンジョン、【ワターキ島】だ」
セーラさんが、要点を解説する。
ワターキ島は人が立ち入れないどころか動物も飛び込んでこないため、安全だと。
「ホントのラリー形式みたいになってきたね」
「ほうじゃほうじゃ。ワシらも久々にマジもんのレースがやれて、腕が鳴るっちゅう話や」
運転をソーが。エンジンをセーラさんが担当するらしい。
「勝ったら、ククちゃんたちに何も言わない?」
「おう言わん! 国王さんは、そうお約束してくださった!」
二人がウソをついているようには、思えなかった。
「ヨアンさん、ククちゃん。がんばって」
「待たんかい」
ボクが二人にエールを送ると、ソーは首を振る。
「レースするのは、ヨアン様のチームじゃないけん。ダイキ・オサナイ、あんたじゃ!」
ソーは、ボクを指差した。
「え?」
「あんたが二人の代理として、レースに出るんじゃ」
ウソでしょ⁉
「どうしてボクが⁉」
「あの黒竜ルチャしか扱えなんだ伝説のマシン、『ハチシャク』を動かせる玉座ダイキ・オサナイに、国王さんはえらい興味津々じゃ。あんたに出てもらうことになったんじゃ」
「ボクたちがもし、負けたら?」
質問に対して、セーラさんは言いづらそうに答えた。
「ヨアンさんとククさんは、ハメルカバーの后として生きることになる」
そんな。だってもボクは。
「魔リカーでいつもビリだったのに……」
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