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2-7 ついに勇者登場! ダイキ、フルパワー!

ダイキの怒り

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 勇者は涼しい顔で、ボクたちの攻撃を受けている。
 ダメージが通っていないのか、顔は笑ったままだ。
 四人から同時多発的に打撃をもらっているのに。

「手強いわ!」
 マミちゃんも、余裕がない。
 普段は好戦的で、強い相手にはワクワクするのに。
 タンク側に回っているせいか、イライラが募っているらしい。

 まるで、ロボットを相手にしているようだった。



「トシコ、どうしてだもん! どうしてワタシなんて助けたもん!」
 キュラちゃんが、涙を流しながらトシコさんに寄り添う。


「ネウロータくんがあなたの存在を教えてくれたとき、決めたの。絶対に、あなたとも納得してもらおうって。でも、ダメだったわ。私は、あなたを守り切れなかった。あなたが魔王の玉座を探すまで、見届けようと思っていたのに」

 トシコさんのパワーが弱っていくのが、ボクにも伝わってきた。

「しゃべるな! もう寝てろトシコさん!」

「そうさせてもらうわね」
 ゆっくりと、トシコさんが目を閉じる。死んでないといいけど。

「待ってて」
 キュラちゃんが、両手を掲げる。

 ラメェのパーツが、光になってキュラちゃんに集まってきた。
 優しい光を放つ手で、キュラちゃんはトシコさんの傷口をなでる。

 傷は塞がった。あとは、トシコさんが意識を取り戻すかどうか。

 今、ネウロータくんは戦力にならない。ゼーゼマンやベルガと一緒になって、トシコさんに治癒魔法を施しているからだ。

 勇者の剣を押さえ込んでいる、マミちゃんの息が上がっている。ケイスさんに、勇者の蹴りがヒットする回数が増えていた。

 どうすれば。

「質問なんだけど、キュラちゃんって、勇者に倒されなきゃいけないの?」

「違う」と、チサちゃんは首を振る。
「そこまで、致命的な行動は取っていない。まだ未遂。今回の件は、本当にイレギュラー」

 なにか、ボクたちでも看破できないトラブルがあったと。



「チサちゃん、ちょっと本気を出していいかな?」



「ダイキ?」
 ボクの言葉に、チサちゃんが困惑した表情を浮かべる。




「たしか、黒龍ルチャって、レスラータイプの玉座だったんだよね?」

「そう。黒龍拳も、彼が独に開発したプロレス技」

「だったらさ、今こそ使うべきなんじゃないかな」
 容赦のない声色で、ボクは言う。こんな怖い声が出せるんだなと、我ながら思った。


「どうしたの、ダイキ?」


「ボクだって、怒ってるんだ!」

 ボクは感情を爆発させる。

「だってそうじゃないか! どうしてこんなに人が傷つかないといけないんだ! ボクたちの問題じゃないか!」
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