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2-7 ついに勇者登場! ダイキ、フルパワー!
勇者、襲来!
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「ぼくは、一緒に歩いてくれる人が欲しい」
拒絶の言葉ととらえたのか、キュラちゃんが寂しそうな顔をする。
「トシコと出会って、ぼくは前に進めた。後ろだけ心配する関係ではない、新しい出会いに刺激を受けた」
「もういらないのかもん?」
自分が捨てられたと、キャラちゃんは思い込んでいるようだ。
「いらないなんて。ぼくは、キュラにも同じ出会いを体験してもらいたかったんだ。ぼくの背中だけ見ていたら、きっと視界が狭まって、いずれは何も見えなくなる」
「ワタシは、お兄ちゃんの背中だけ見ていたいもん」
「ぼくと同じ景色を、見ていないだろ」
キュラちゃんがハッとなった。
「お前は、ぼくというフィルター越しにしか世界を見ていない。でも、トシコさんは一緒に並んで同じ景色を見てくれている。だから、ぼくはトシコさんを選んだ」
ネウロータくんの説得を、キュラちゃんは黙って聞く。
「お前がキライになったんじゃない。トシコさんが好きなんだ。キュラにも、いい人が見つかって欲しい」
「キュラは、足かせなのかもん?」
「邪魔なもんか。キュラはぼくの大切な妹だ。だからこそ、一人前になって欲しい。素敵な人に出会ってもらいたいんだ」
愛が強い故に、突き放そうとした兄と、依存してしまった妹、か。難しいね。
「お前をひとりぼっちにしたのか、ぼくのせいだ。お前を独占することで、お前の人生を台無しにしたくない」
お兄さんの声が届いたのか、キュラちゃんが武装解除を始めた。
彼女を覆っていた巨大イソギンチャクが、ドロドロに溶け出す。
「離れていても、お兄ちゃんを好きでいていい?」
「当たり前だ。キュラ……ぼくも、キュラが大好きなんだ」
ネウロータくんが、キュラちゃんを抱きしめようとした……そのとき!
「危ない!」
急にチサちゃんが飛び出し、二人の間に入る。
瞬間、巨大な刃がネウロータくん兄妹の間に。
二人を引き剥がしたチサちゃんを、光る刃は貫こうとした。
「チサちゃん!」
すかさず、ボクは黒龍鱗を最大出力で展開する。
攻撃は、どうにかそらした。
「うそぉ!」
黒龍鱗が、ボロボロに欠けている。光の剣によって、黒龍鱗はあっさりと破られてしまった。
「ダイキ、下がって!」
チサちゃんが人間大の火球を放ち、ボクごと後ろに飛び退く。
光の戦士も、後ろへと飛んだ。
しかし、火球をまともに浴びて、壁に激突した。
「やっつけた?」
「まだ。あいつは、強い」
不気味に笑いながら、戦士がムクリと起き上がる。
「誰?」
「これは……勇者!」
まったく余裕のない声で、チサちゃんが叫ぶ。
黄色い光に包まれた戦士である。
背丈はチサちゃんたちと同じくらいだ。
光が人間を形作っているといえるだろう。衣装などは光っていて、正確な造形は確認できない。身体つきは小さいが、気配は歴戦の闘士を思わせる。
何より、目も鼻もない。口だけが、不気味に嗤っていた。口角が上がったままで固定されている。
「あれこそ、伝説の勇者、【エレクチオン】ですわ!」
ベルガの声色が本気だ。
拒絶の言葉ととらえたのか、キュラちゃんが寂しそうな顔をする。
「トシコと出会って、ぼくは前に進めた。後ろだけ心配する関係ではない、新しい出会いに刺激を受けた」
「もういらないのかもん?」
自分が捨てられたと、キャラちゃんは思い込んでいるようだ。
「いらないなんて。ぼくは、キュラにも同じ出会いを体験してもらいたかったんだ。ぼくの背中だけ見ていたら、きっと視界が狭まって、いずれは何も見えなくなる」
「ワタシは、お兄ちゃんの背中だけ見ていたいもん」
「ぼくと同じ景色を、見ていないだろ」
キュラちゃんがハッとなった。
「お前は、ぼくというフィルター越しにしか世界を見ていない。でも、トシコさんは一緒に並んで同じ景色を見てくれている。だから、ぼくはトシコさんを選んだ」
ネウロータくんの説得を、キュラちゃんは黙って聞く。
「お前がキライになったんじゃない。トシコさんが好きなんだ。キュラにも、いい人が見つかって欲しい」
「キュラは、足かせなのかもん?」
「邪魔なもんか。キュラはぼくの大切な妹だ。だからこそ、一人前になって欲しい。素敵な人に出会ってもらいたいんだ」
愛が強い故に、突き放そうとした兄と、依存してしまった妹、か。難しいね。
「お前をひとりぼっちにしたのか、ぼくのせいだ。お前を独占することで、お前の人生を台無しにしたくない」
お兄さんの声が届いたのか、キュラちゃんが武装解除を始めた。
彼女を覆っていた巨大イソギンチャクが、ドロドロに溶け出す。
「離れていても、お兄ちゃんを好きでいていい?」
「当たり前だ。キュラ……ぼくも、キュラが大好きなんだ」
ネウロータくんが、キュラちゃんを抱きしめようとした……そのとき!
「危ない!」
急にチサちゃんが飛び出し、二人の間に入る。
瞬間、巨大な刃がネウロータくん兄妹の間に。
二人を引き剥がしたチサちゃんを、光る刃は貫こうとした。
「チサちゃん!」
すかさず、ボクは黒龍鱗を最大出力で展開する。
攻撃は、どうにかそらした。
「うそぉ!」
黒龍鱗が、ボロボロに欠けている。光の剣によって、黒龍鱗はあっさりと破られてしまった。
「ダイキ、下がって!」
チサちゃんが人間大の火球を放ち、ボクごと後ろに飛び退く。
光の戦士も、後ろへと飛んだ。
しかし、火球をまともに浴びて、壁に激突した。
「やっつけた?」
「まだ。あいつは、強い」
不気味に笑いながら、戦士がムクリと起き上がる。
「誰?」
「これは……勇者!」
まったく余裕のない声で、チサちゃんが叫ぶ。
黄色い光に包まれた戦士である。
背丈はチサちゃんたちと同じくらいだ。
光が人間を形作っているといえるだろう。衣装などは光っていて、正確な造形は確認できない。身体つきは小さいが、気配は歴戦の闘士を思わせる。
何より、目も鼻もない。口だけが、不気味に嗤っていた。口角が上がったままで固定されている。
「あれこそ、伝説の勇者、【エレクチオン】ですわ!」
ベルガの声色が本気だ。
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