上 下
6 / 302
1-1 謎ジョブ「玉座」に再就職!?

第6話 初クエスト:魔王様と添い寝

しおりを挟む
「この世界は、地球と昼夜が逆転しています。日本の昼は、こちらの夜です」

 海外旅行もそんなカンジらしいね。余計、眠れないかも。

 そう思っていたが、知らない間にあくびが出てきた。
 眠気が止まらない。

「あれ、どうしちゃったんだろう、ボク?」
 ひょっとして、一服盛られたのでは、と考えた。

 しかし、セイさんは不自然な素振りなど見せていない。
 本当に、ボクは眠いのだ。

「ですから、本当に玉座とはお辛い仕事なのです。ですので、無理せずお休みください」

 セイさんが、指をパチンと鳴らす。
 ボクが座っている座布団が、布団に変わった。

「うわあ、ありがとうございます。便利ですね、このソファ。布団になる機能があるなんて」

「玉座は案外、大変ですから。いつでもリラックスできるような仕組みにしております。好きなときにくつろいでくださいませ」

「そういえば、ベッドではなくて、布団なんですね?」

「ご用意できませんでした。今日はそちらでお休みください」

「ボクはいいんです。チサちゃんが」

 チサちゃんは、起きてこない。
 ボクの腕の中で、健やかに眠っている。

「何をおっしゃいます。お二方は、共にお休みなさるのですよ」
 平然と、セイさんは言い放った。

「ちょちょちょっとまって! 一緒に寝るの?」

「もちろんです。あなたは玉座なのです。魔王と玉座はつきものです。常に共にあります」

 何を言っているんだと言わんばかりに、セイさんはまくし立てる。

「女性同士の方が、安心できるんじゃない?」

「ワタクシだって、できればご一緒に眠りたいですよ。ですが、ワタクシ程度のマナでは、チサ様を満足させられず」

 よほど歯がゆいのか、セイさんが思いをさらけ出す。

「どうか、一緒にお休みなってくださいませ。誰も咎めませんので」

 セイさんがボクの側に、着替えを置いてくれた。
 ゆったりしたジャージだ。
 さすがにゴムではなくヒモ製だが。
 こういう服飾技術はあるということか。

「おやすみなさいませ大毅様。また明日お目に掛かりましょう」

 セイさんが去って行く。ホントに出て行くんだ。

 ボクだって、こんな小さい子に手なんて出す気はないけど。

 チサちゃんを起こさないように、着替えて横たわった。

 天井にある、シャンデリアの明かりが、ひとりでに消える。

 娘を寝かしつける父親って、こんな感じなのだろうか。
 ボクは一人っ子な上に、姪の類いもいない。
 だから、女の子を持つ親の気持ちはよく分からなかった。
 今なら、分かる気がする。

 今日は、色々考えすぎて疲れた。身体を休めるとするか。

 そう考えただけで、まぶたが突然重くなった。
 外の雨音さえ気にならないくらい、ボクは眠りにつく。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...