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1-完 闇の授業参観! 幼女魔王 対 豊満魔王
第95話 一件落着!
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「大毅さん、セイを退けたのは、亜神の力でもありません。ましてやルチャの力でもない。あなたの実力です」
期待の籠もった様子で、ロイリさんは主張した。
「ボクに、そんな力があるとは思えません」
「謙遜せずとも」
ロイリさんは笑う。
「あなたがそういう謙虚な性格だから、チサは認めたのでしょうね。あなたも、大毅さんを認めて差し上げたら?」
授業参観、最後の砦である亜神は、ばつが悪そうにうつむく。
「う、うむ。やむおえまい」
「よかったわ。ではチサ・ス・ギルよ、あなたにこの地帯の自治を認めます」
ようやく、ボクたちは認めてもらった。
「一時はどうなることかと思ったけど、丸く収まってよかったですわ。驚かせてごめんなさいね。パパね、あなたが『黒龍ルチャ』の生まれ変わりだって怖がっていましたの」
確かに、ボクはルチャの子孫らしいけど、ルチャそのものとは思えない。
「そんな黒龍ルチャが、あなたに宿ったと聞いたもんだから、てっきり」
亜神の親バカぶりも、大概だな。
「やかましい。娘を気遣うのは、親の務めでしょうが」
「あら? 大毅さんを認めつつも引っ込みがつかないって言っていたのは誰だったかしら?」
「ぬうう!」
さしもの最強玉座も、全宇宙を統べる魔王様にはかたなしである。
「パパ、素直じゃない」
「ううううるさい! チサも大人をからかうんじゃない」
人一倍子供じみた神様が、なにをおっしゃるのか。
「それでね、チサ。あなたは、どんな魔王になりたいの? 考えを教えてちょうだい」
じっくり考えた後、チサちゃんが断言する。
「みんなと仲良くなりたい。争いのない世界を作る」
チサちゃんらしい、優しい回答だった。
「すると、あなたは魔王との戦いにも興味がないのね?」
「小さな世界を巡って、兄弟同士が争うなんて、バカげてる。切磋琢磨するならまだ分かる。でも、命の奪い合いは何も生み出さない」
これが、子どもの出す発想なのか。
「それに、勇者の存在も気になる。わたしたちが横暴な行いをすれば、必ず勇者が現れて消しに来る。油断はできない」
先を見越し、それでいて適度に発展も続けていく。
前向きな意見だ。
「分かったわ。けれど、これから先、あなたの理想を妨害しようとする魔王が現れるわよ」
「でも、わたしにはダイキがいる。だから、絶対に負けない」
これ以上ない賛辞を、チサちゃんはくれた。
「ありがとう、チサちゃん。ボクを信じてくれて」
ボクはチサちゃんの玉座になって、本当によかったと思っている。ここまで信頼してもらえたのは、今まで生きてきて初めてかも知れない。
「ダイキもありがと。わたしを守ってくれて」
「うん」
ボクは、チサちゃんを抱く力を強めた。
「さすが未来のおムコさんね。孫の顔が楽しみね」
口を押さえながら、ロイリさんがウフフと笑う。
「ぬほおおお! 言わんといてぇ!」
悶絶する亜神を連れて、ロイリさんが手を振って帰って行った。
まったく、どっちが玉座でどっちが魔王なんだか。
期待の籠もった様子で、ロイリさんは主張した。
「ボクに、そんな力があるとは思えません」
「謙遜せずとも」
ロイリさんは笑う。
「あなたがそういう謙虚な性格だから、チサは認めたのでしょうね。あなたも、大毅さんを認めて差し上げたら?」
授業参観、最後の砦である亜神は、ばつが悪そうにうつむく。
「う、うむ。やむおえまい」
「よかったわ。ではチサ・ス・ギルよ、あなたにこの地帯の自治を認めます」
ようやく、ボクたちは認めてもらった。
「一時はどうなることかと思ったけど、丸く収まってよかったですわ。驚かせてごめんなさいね。パパね、あなたが『黒龍ルチャ』の生まれ変わりだって怖がっていましたの」
確かに、ボクはルチャの子孫らしいけど、ルチャそのものとは思えない。
「そんな黒龍ルチャが、あなたに宿ったと聞いたもんだから、てっきり」
亜神の親バカぶりも、大概だな。
「やかましい。娘を気遣うのは、親の務めでしょうが」
「あら? 大毅さんを認めつつも引っ込みがつかないって言っていたのは誰だったかしら?」
「ぬうう!」
さしもの最強玉座も、全宇宙を統べる魔王様にはかたなしである。
「パパ、素直じゃない」
「ううううるさい! チサも大人をからかうんじゃない」
人一倍子供じみた神様が、なにをおっしゃるのか。
「それでね、チサ。あなたは、どんな魔王になりたいの? 考えを教えてちょうだい」
じっくり考えた後、チサちゃんが断言する。
「みんなと仲良くなりたい。争いのない世界を作る」
チサちゃんらしい、優しい回答だった。
「すると、あなたは魔王との戦いにも興味がないのね?」
「小さな世界を巡って、兄弟同士が争うなんて、バカげてる。切磋琢磨するならまだ分かる。でも、命の奪い合いは何も生み出さない」
これが、子どもの出す発想なのか。
「それに、勇者の存在も気になる。わたしたちが横暴な行いをすれば、必ず勇者が現れて消しに来る。油断はできない」
先を見越し、それでいて適度に発展も続けていく。
前向きな意見だ。
「分かったわ。けれど、これから先、あなたの理想を妨害しようとする魔王が現れるわよ」
「でも、わたしにはダイキがいる。だから、絶対に負けない」
これ以上ない賛辞を、チサちゃんはくれた。
「ありがとう、チサちゃん。ボクを信じてくれて」
ボクはチサちゃんの玉座になって、本当によかったと思っている。ここまで信頼してもらえたのは、今まで生きてきて初めてかも知れない。
「ダイキもありがと。わたしを守ってくれて」
「うん」
ボクは、チサちゃんを抱く力を強めた。
「さすが未来のおムコさんね。孫の顔が楽しみね」
口を押さえながら、ロイリさんがウフフと笑う。
「ぬほおおお! 言わんといてぇ!」
悶絶する亜神を連れて、ロイリさんが手を振って帰って行った。
まったく、どっちが玉座でどっちが魔王なんだか。
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