44 / 302
1-4 「おさんぽ」という名の迷宮探索
第44話 ドレンと、黒龍ルチャ
しおりを挟む
「コイツの戦闘スタイルを考慮して、モンクタイプの武器防具でまとめてみたぜ」
モンク、つまりボクは武闘家タイプか。たしかに、イノシシも武器を持たずに組み伏せたからね。
「さすがの作りです。ショップ品の数倍は売値がつくでしょう」
スコップ、もとい偃月刀の出来に、セイさんが舌を巻く。
「考えましたね、ドレン。初心者は長い柄の武器を扱う方が、ケンカに強くなるとか」
「それはコイツ次第だ。チサ公に死なれたら、オレも目覚めが悪いからな」
これが俗に言う、ツンデレというヤツなんじゃないかな?
「どの武装も、この宝物庫でトップレベルの装備品です。他の冒険者から怪しまれないように、見た目を売り物レベルに変化させています。よほどの熟達者でない限り、察知されません」
セイさんの観察眼が光った。
うらやましがっているようにも見える。
「ありがとうございます。ドレン」
ドレンは「へっ」とこぼす。
「でも、どうして。協力してくれる気配なんてなかったのに」
「オレ様のパイセン、黒龍ルチャのお導きよ」
黒龍の名は、ルチャという名前らしい。
プロレスラーみたいだな。
「【黒龍拳】ってのはな、黒龍パイセンに認められたヤツにしか伝承されないんだ。ヘタに習得して、黒龍の毒に魅入られちまったヤツらを、オレは随分と見てきた。みんな血を求めて殺しまくりだ。どいつもこいつも、ロクな死に方をしなかったぜ」
それだけ、危ない武術なんだとか。
「だが、お前さんは違うようだ。黒龍のアニキが認めたんだからな」
「黒龍さんとは、ご兄弟なので?」
「オレ様は、パイセンの舎弟だった。両親が勇者の手で殺されて、やさぐれていたオレを拾ってくれたんだ」
ドレンを一人前のドラゴンに鍛えたのが、黒龍ルチャだという。
黒龍ルチャも、勇者の手で死んでしまったが。
「てめえダイキとか言ったな。チサ公を守りたいなら、本気でいきなよ。お前さんのマナは分かるぜ。だが、その優しさは敵に向けるときは気をつけるんだ。つけあがらせるなよ」
敵に情けをかけるな、と言っているのかな。
「ボクは、チサちゃんを守るために来ています。ケガをさせないように努めます」
「なんも分かってなさそうだな」とドレンに呆れられた。
「オレ様はお前さんの方が大ケガしないか、気になるけどな」
「それはわたしも、同意見」
そんなー。
「あと、コイツも忘れるなよ」
さらに念力を使って、ドレンがブレスレットをボクの手首に結んだ。
ブレスレットには、中央に青い宝石が埋め込まれている。
「これは?」
変身ツールかな? ボクはそんな歳ではないのだが。
「アイテムボックスだ。金はギルドカードを見せれば支払いできるが、アイテムはそれがないと不便だぜ」
中央の宝石にアイテムを当てると、収納が可能らしい。
「重ねてありがとうございます、ドレン」
「へっ。とっとと行きやがれ」
ドレンとは、まだ打ち解けられそうになかった。
けど、悪いヤツじゃないのは確かである。
モンク、つまりボクは武闘家タイプか。たしかに、イノシシも武器を持たずに組み伏せたからね。
「さすがの作りです。ショップ品の数倍は売値がつくでしょう」
スコップ、もとい偃月刀の出来に、セイさんが舌を巻く。
「考えましたね、ドレン。初心者は長い柄の武器を扱う方が、ケンカに強くなるとか」
「それはコイツ次第だ。チサ公に死なれたら、オレも目覚めが悪いからな」
これが俗に言う、ツンデレというヤツなんじゃないかな?
「どの武装も、この宝物庫でトップレベルの装備品です。他の冒険者から怪しまれないように、見た目を売り物レベルに変化させています。よほどの熟達者でない限り、察知されません」
セイさんの観察眼が光った。
うらやましがっているようにも見える。
「ありがとうございます。ドレン」
ドレンは「へっ」とこぼす。
「でも、どうして。協力してくれる気配なんてなかったのに」
「オレ様のパイセン、黒龍ルチャのお導きよ」
黒龍の名は、ルチャという名前らしい。
プロレスラーみたいだな。
「【黒龍拳】ってのはな、黒龍パイセンに認められたヤツにしか伝承されないんだ。ヘタに習得して、黒龍の毒に魅入られちまったヤツらを、オレは随分と見てきた。みんな血を求めて殺しまくりだ。どいつもこいつも、ロクな死に方をしなかったぜ」
それだけ、危ない武術なんだとか。
「だが、お前さんは違うようだ。黒龍のアニキが認めたんだからな」
「黒龍さんとは、ご兄弟なので?」
「オレ様は、パイセンの舎弟だった。両親が勇者の手で殺されて、やさぐれていたオレを拾ってくれたんだ」
ドレンを一人前のドラゴンに鍛えたのが、黒龍ルチャだという。
黒龍ルチャも、勇者の手で死んでしまったが。
「てめえダイキとか言ったな。チサ公を守りたいなら、本気でいきなよ。お前さんのマナは分かるぜ。だが、その優しさは敵に向けるときは気をつけるんだ。つけあがらせるなよ」
敵に情けをかけるな、と言っているのかな。
「ボクは、チサちゃんを守るために来ています。ケガをさせないように努めます」
「なんも分かってなさそうだな」とドレンに呆れられた。
「オレ様はお前さんの方が大ケガしないか、気になるけどな」
「それはわたしも、同意見」
そんなー。
「あと、コイツも忘れるなよ」
さらに念力を使って、ドレンがブレスレットをボクの手首に結んだ。
ブレスレットには、中央に青い宝石が埋め込まれている。
「これは?」
変身ツールかな? ボクはそんな歳ではないのだが。
「アイテムボックスだ。金はギルドカードを見せれば支払いできるが、アイテムはそれがないと不便だぜ」
中央の宝石にアイテムを当てると、収納が可能らしい。
「重ねてありがとうございます、ドレン」
「へっ。とっとと行きやがれ」
ドレンとは、まだ打ち解けられそうになかった。
けど、悪いヤツじゃないのは確かである。
0
お気に入りに追加
99
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
女神に冷遇された不遇スキル、実は無限成長の鍵だった
昼から山猫
ファンタジー
女神の加護でスキルを与えられる世界。主人公ラゼルが得たのは“不遇スキル”と揶揄される地味な能力だった。女神自身も「ハズレね」と吐き捨てるほど。しかし、そのスキルを地道に磨くと、なぜかあらゆる魔法や武技を吸収し、無限成長する力に変化。期待されていなかったラゼルは、その才能を見抜いてくれた美女剣士や巫女に助けられ、どん底から成り上がりを果たす。
転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜
みおな
ファンタジー
私の名前は、瀬尾あかり。
37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。
そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。
今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。
それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。
そして、目覚めた時ー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる