29 / 71
第四章 配信上位勢の仲間入り!?
第29話 ワラビ、エンチャント・スライムに進化
しおりを挟む
ダンジョン探索をする際、【ジャストガード】は絶対に役に立つ。
遺跡ダンジョンで、ボクは特訓をする。
「マスターツヨシ、参りましょう」
「うん。狙うはボスだよね」
もうヒヨリさんのレベルも、結構上がってきた。
三層のボスまで連れて行って、大丈夫だろう。
ボクはヒヨリさんに、成長痛を起こさせるムリをさせなかった。パワーレベリングで一足飛びでダンジョン攻略をせず、地道にヒヨリさんの成長を待つ。ダンジョン攻略自体に慣れる必要があるからだ。
その甲斐あって、ヒヨリさんは各ダンジョンの三層をなんとか歩ける程にまでのレベルに達した。生産職なので、ステータスは敏捷・耐久値・魔力量に振っている。物理攻撃担当は、あきらめているみたい。
「物理で戦う【殴りヒーラー】って冒険者も、いるみたいなんですけど。マネできそうにありません」
ヒヨリさんは、苦笑いを浮かべる。
「コルタナさんが、おかしいんですよ」
あの人は本来、ヒーラーだ。なのに格闘戦の方が強いなんて。異世界出身だと、身体能力も高いのだろう。地球人とは、身体の作りが違うのだ。そう割り切った方がいい。
ヒヨリさんもピオンも、探索系や回復魔法、各属性魔法のスキルを覚える。一つ一つの威力は、弱い。しかし、なんでもできるビルドに仕上がっていた。
四層からは、敵の強さが跳ね上がるらしい。レベルが高いに越したことはないだろう。
ワラビが、オークの横っ面に飛びかかる。しかもワラビは、インパクトの際に相手のアゴを狙っていた。弱点をピンポイントで攻撃できるとは。
オークが目を回し、気を失った。
ヒヨリさんに、トドメを刺してもらう。
「お見事です、ヒヨリさん」
「ワラビさんが一人でも、倒せましたよぉ」
ミスリルを取り込んだことで、ただの体当たりでも十分にダメージを与えられるのだ。これでメタルスライムではないから、驚きである。
敵が消滅すると、ワラビの頭上に豆電球が光った。
『モーフ・スライム ワラビのレベルが一定値に達しました。エンチャント・スライムに進化可能です』
ワラビに属性攻撃魔法を付与することが、できるらしい。しかも、ただエンチャントするより魔力も三分の一で済む。
お試しモンスターとばかりに、ゾンビ、巨大クモ、アイアンゴーレムが立ちはだかった。
まずワラビは、炎属性になった。オレンジ色に輝くワラビが体当たりをして、ゾンビを焼く。
続いてワラビは、ソーダ味のアイスキャンディーみたいな色に変化した。寒さに弱い昆虫型魔物に突進し、凍らせてから砕く。
最後は黄色い雷を全身にまとって、ワラビはアイアンゴーレムの頭上に乗った。雷撃をお見舞いし、ゴーレムのコアを破壊した。
魔物の群れはまだいたようだが、ワラビを見て逃げていく。
属性攻撃は今後必要になってくると思っていたから、ありがたい。
「また、マスターツヨシのお役に立てそうです」
「ありがとう、ワラビ。心強いよ」
ワラビは後方で魔法を撃つより、自分が魔法の塊になって動くほうが戦いやすいのだろう。
「スライムをエンチャンターにまで、育てるなんて。そんな領域に踏み込んだ冒険者は、かつていませんよ」
ヒヨリさんによると、スライムを【エンチャントメント】可能になるまで進化させた冒険者は、存在しないという。
「そのとおりです。本来なら、もっと強いモンスターと契約し直して……」
「ボクが一番信頼しているのは、ワラビだから」
さっきの戦いぶりを見て、改めて確信した。ワラビは、力強いパートナーだ。
「さて、今度はボクが強くなる番だ」
ジャストガードの練習台は、遺跡ダンジョン三層ボスの大蛇である。
無益な殺生は、好きではない。ただ、こいつは多くの冒険者を食っている。だから、容赦しなくていいだろう。
「冒険者がただ食べられるだけじゃないってところを、見せてあげる」
ボクは、ミスリルソードを構えた。
ワラビに頼んで、ヒヨリさんたちを後ろへ下げる。
防御の網目を縫うように、大蛇が視覚から襲いかかってきた。
「いけ、【ジャストガード】!」
紙一重のところで、ボクはスキルを発動させる。相手の攻撃を受け流すことはできた。しかし、カウンターにまで気が回らない。やはり訓練では、実戦と差がある。
ジャストガードは、オート発動スキルだ。ボクの神経が反応する前に、身体が勝手に動く。スキルのレベルを上げるほど、その精度は増していくのだ。
しかし、魔物の動きは予測できない。スキルに頼った攻撃・防御では、やがて頭打ちになってくる。
だから鍛錬が必要なのだと、センディさんは教えてくれた。クライアントの武器を作っていく際に、未熟な冒険者と触れ合うこともあったのだろう。
ボクもまだまだだ。そう思って今後も戦っていかないと、いつかは誰も守れずに自分も死ぬ。
「ジャストガード!」
大蛇もボクがカウンター狙いとわかっているのか、攻撃しては大きく体をそらす。
敵の口が、大きく開いた。
「マスターツヨシ、毒ブレスが来ます!」
そうだ。こいつには、この攻撃もあったんだっけ。
避けようとしても、この空間は密閉されている。ブレスが、ヒヨリさんたちに当たってしまうのだ。
「くそ! イチかバチか。ワラビ、風のエンチャント!」
「はい。マスターツヨシ」
ワラビがボクの剣に、風属性の魔法を付与した。
「【ジャストガード】!」
ボクはブレスに対して、剣を扇風機のように回転させる。
「ムチャですツヨシさん。物理攻撃にしか、ジャストガードは……えーっ!」
ヒヨリさんが驚くのもムリはない。
物理的な攻撃しか弾けないはずのジャストガードが、大蛇のブレスを弾いたのだから。
遺跡ダンジョンで、ボクは特訓をする。
「マスターツヨシ、参りましょう」
「うん。狙うはボスだよね」
もうヒヨリさんのレベルも、結構上がってきた。
三層のボスまで連れて行って、大丈夫だろう。
ボクはヒヨリさんに、成長痛を起こさせるムリをさせなかった。パワーレベリングで一足飛びでダンジョン攻略をせず、地道にヒヨリさんの成長を待つ。ダンジョン攻略自体に慣れる必要があるからだ。
その甲斐あって、ヒヨリさんは各ダンジョンの三層をなんとか歩ける程にまでのレベルに達した。生産職なので、ステータスは敏捷・耐久値・魔力量に振っている。物理攻撃担当は、あきらめているみたい。
「物理で戦う【殴りヒーラー】って冒険者も、いるみたいなんですけど。マネできそうにありません」
ヒヨリさんは、苦笑いを浮かべる。
「コルタナさんが、おかしいんですよ」
あの人は本来、ヒーラーだ。なのに格闘戦の方が強いなんて。異世界出身だと、身体能力も高いのだろう。地球人とは、身体の作りが違うのだ。そう割り切った方がいい。
ヒヨリさんもピオンも、探索系や回復魔法、各属性魔法のスキルを覚える。一つ一つの威力は、弱い。しかし、なんでもできるビルドに仕上がっていた。
四層からは、敵の強さが跳ね上がるらしい。レベルが高いに越したことはないだろう。
ワラビが、オークの横っ面に飛びかかる。しかもワラビは、インパクトの際に相手のアゴを狙っていた。弱点をピンポイントで攻撃できるとは。
オークが目を回し、気を失った。
ヒヨリさんに、トドメを刺してもらう。
「お見事です、ヒヨリさん」
「ワラビさんが一人でも、倒せましたよぉ」
ミスリルを取り込んだことで、ただの体当たりでも十分にダメージを与えられるのだ。これでメタルスライムではないから、驚きである。
敵が消滅すると、ワラビの頭上に豆電球が光った。
『モーフ・スライム ワラビのレベルが一定値に達しました。エンチャント・スライムに進化可能です』
ワラビに属性攻撃魔法を付与することが、できるらしい。しかも、ただエンチャントするより魔力も三分の一で済む。
お試しモンスターとばかりに、ゾンビ、巨大クモ、アイアンゴーレムが立ちはだかった。
まずワラビは、炎属性になった。オレンジ色に輝くワラビが体当たりをして、ゾンビを焼く。
続いてワラビは、ソーダ味のアイスキャンディーみたいな色に変化した。寒さに弱い昆虫型魔物に突進し、凍らせてから砕く。
最後は黄色い雷を全身にまとって、ワラビはアイアンゴーレムの頭上に乗った。雷撃をお見舞いし、ゴーレムのコアを破壊した。
魔物の群れはまだいたようだが、ワラビを見て逃げていく。
属性攻撃は今後必要になってくると思っていたから、ありがたい。
「また、マスターツヨシのお役に立てそうです」
「ありがとう、ワラビ。心強いよ」
ワラビは後方で魔法を撃つより、自分が魔法の塊になって動くほうが戦いやすいのだろう。
「スライムをエンチャンターにまで、育てるなんて。そんな領域に踏み込んだ冒険者は、かつていませんよ」
ヒヨリさんによると、スライムを【エンチャントメント】可能になるまで進化させた冒険者は、存在しないという。
「そのとおりです。本来なら、もっと強いモンスターと契約し直して……」
「ボクが一番信頼しているのは、ワラビだから」
さっきの戦いぶりを見て、改めて確信した。ワラビは、力強いパートナーだ。
「さて、今度はボクが強くなる番だ」
ジャストガードの練習台は、遺跡ダンジョン三層ボスの大蛇である。
無益な殺生は、好きではない。ただ、こいつは多くの冒険者を食っている。だから、容赦しなくていいだろう。
「冒険者がただ食べられるだけじゃないってところを、見せてあげる」
ボクは、ミスリルソードを構えた。
ワラビに頼んで、ヒヨリさんたちを後ろへ下げる。
防御の網目を縫うように、大蛇が視覚から襲いかかってきた。
「いけ、【ジャストガード】!」
紙一重のところで、ボクはスキルを発動させる。相手の攻撃を受け流すことはできた。しかし、カウンターにまで気が回らない。やはり訓練では、実戦と差がある。
ジャストガードは、オート発動スキルだ。ボクの神経が反応する前に、身体が勝手に動く。スキルのレベルを上げるほど、その精度は増していくのだ。
しかし、魔物の動きは予測できない。スキルに頼った攻撃・防御では、やがて頭打ちになってくる。
だから鍛錬が必要なのだと、センディさんは教えてくれた。クライアントの武器を作っていく際に、未熟な冒険者と触れ合うこともあったのだろう。
ボクもまだまだだ。そう思って今後も戦っていかないと、いつかは誰も守れずに自分も死ぬ。
「ジャストガード!」
大蛇もボクがカウンター狙いとわかっているのか、攻撃しては大きく体をそらす。
敵の口が、大きく開いた。
「マスターツヨシ、毒ブレスが来ます!」
そうだ。こいつには、この攻撃もあったんだっけ。
避けようとしても、この空間は密閉されている。ブレスが、ヒヨリさんたちに当たってしまうのだ。
「くそ! イチかバチか。ワラビ、風のエンチャント!」
「はい。マスターツヨシ」
ワラビがボクの剣に、風属性の魔法を付与した。
「【ジャストガード】!」
ボクはブレスに対して、剣を扇風機のように回転させる。
「ムチャですツヨシさん。物理攻撃にしか、ジャストガードは……えーっ!」
ヒヨリさんが驚くのもムリはない。
物理的な攻撃しか弾けないはずのジャストガードが、大蛇のブレスを弾いたのだから。
15
お気に入りに追加
1,197
あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。
地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。
俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。
だけど悔しくはない。
何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。
そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。
ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。
アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。
フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。
※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています


【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~
WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
1~8巻好評発売中です!
※2022年7月12日に本編は完結しました。
◇ ◇ ◇
ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。
ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。
晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。
しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。
胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。
そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──
ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?
前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる