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第七章 世界樹 VS 黒の世界樹
第48話 最終話 世界を回る
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ここにいては、またクトーニアンの悪者がいつ自分を利用しに来るかわからない。
「戦いは、避けられないのですか?」
「人間にも、悪党はいよう。それと同じなのだ。人同士の争いは、避けられぬ」
どうあっても、クトーニアンの中には悪神復活を望む者がいるという。彼らは悪行の世界でしか、生きられない。
「そういう者たちに力を与えぬよう、我は別天地で生きることにした。さらばだ」
「では参りましょう、ヨル様」
ハィラさんも、まんざらではない様子だ。頼られるのは、うれしいみたい。
「コーキは、これからどうする?」
「ボクも、世界を見て回ろうかな。今まで旅してきた軌跡を、見ていきたい」
「ついていくよ」
翌日、ボクはパロンたちと、クレキシュ渓谷郡に行くことにした。
改めて、ネイス・クルオン村の人たちとあいさつをしていく。
思えばなにもなかったこの場所から、本格的な世界樹生活が始まったのだ。
「ギンコさん、行ってきます」
「気をつけなよ。それにしても、大所帯になったね」
ネイス・クルオン村のギルドマスターのギンコさんにあいさつをして、出かける。
渓谷に到着すると、相変わらず雨が振り続けている。邪教クトーニアンたちを洗い流すかのように。
「うわああ。随分と立派になって」
大きな川となった渓谷を見て、ボクはため息をついた。
「木々が生い茂っているよ」
「アプレンテスの中でも、群を抜いて荒れ放題だったのにのう」
パロンとクコが、当時を振り返る。
砂漠だった地面には、木々が生えていた。きっと隣にあるシドの森から、動植物たちが戻ってきたんだ。
薬草の採取だろうか、冒険者たちの姿も見られた。こちらを見て、手を振ってくる。ボクたちも、手を上げて返した。
トレントの様子も、見に行く。
世界樹までの道のりは、トレントが歩いていったルートに木が生えているので、すぐにわかった。
天空城に行く際に見かけたが、それ以上に大きくなっている。
「お久しぶりです、主殿」
ピオナがトレントに触れた。元主に、あいさつをする。
「ええ。コーキさまの側で大切にしてもらっております」
頭をトレントから離し、こちらに戻ってきた。
「もういいの?」
「はい。情報は村の世界樹を通して共有しておりましたので、顔見世だけの用事ですね」
ボクたちはお酒と野菜をお供えして、トレントの森を後にする。
王都ダリエンツォの温泉に浸かって、旅の疲れを落とす。
「みんなして、混浴しなくても」
裸の女性たちに囲まれて、ボクは肩身が狭い。
「いや、コーキはノーカンだからいいのだ」
「そうそう! こんな絶壁見ても、うれしくねえだろう?」
ヴェリシモさんとナップルがそう言うが、賛同できないよ。
ネイス・クルオン村まで、戻ってきた。
「コーキ、次は、どこへ行こうか?」
「そうだね。船で新天地を目指そうかな」
「いいね! 夢が広がるよね。ついていくよ」
パロンがバンザイしながら、ボクに抱きついてくる。
「船なら、こちらで用意しよう」
「ありがとうございます。ですが、人手だけください。自分で船を作って旅をします」
ここから先は、どこまでの冒険になるかわからない。だから、王都のお世話になるのも気がひけた。
「わかった。手配しよう」
数週間後、ボクの船が完成する。
王都の港から、新しい大陸を目指す。
「いいよコーキ」
「出発しよう!」
さあ、次の大陸には、どんな自然が待っているんだろう。
(完)
「戦いは、避けられないのですか?」
「人間にも、悪党はいよう。それと同じなのだ。人同士の争いは、避けられぬ」
どうあっても、クトーニアンの中には悪神復活を望む者がいるという。彼らは悪行の世界でしか、生きられない。
「そういう者たちに力を与えぬよう、我は別天地で生きることにした。さらばだ」
「では参りましょう、ヨル様」
ハィラさんも、まんざらではない様子だ。頼られるのは、うれしいみたい。
「コーキは、これからどうする?」
「ボクも、世界を見て回ろうかな。今まで旅してきた軌跡を、見ていきたい」
「ついていくよ」
翌日、ボクはパロンたちと、クレキシュ渓谷郡に行くことにした。
改めて、ネイス・クルオン村の人たちとあいさつをしていく。
思えばなにもなかったこの場所から、本格的な世界樹生活が始まったのだ。
「ギンコさん、行ってきます」
「気をつけなよ。それにしても、大所帯になったね」
ネイス・クルオン村のギルドマスターのギンコさんにあいさつをして、出かける。
渓谷に到着すると、相変わらず雨が振り続けている。邪教クトーニアンたちを洗い流すかのように。
「うわああ。随分と立派になって」
大きな川となった渓谷を見て、ボクはため息をついた。
「木々が生い茂っているよ」
「アプレンテスの中でも、群を抜いて荒れ放題だったのにのう」
パロンとクコが、当時を振り返る。
砂漠だった地面には、木々が生えていた。きっと隣にあるシドの森から、動植物たちが戻ってきたんだ。
薬草の採取だろうか、冒険者たちの姿も見られた。こちらを見て、手を振ってくる。ボクたちも、手を上げて返した。
トレントの様子も、見に行く。
世界樹までの道のりは、トレントが歩いていったルートに木が生えているので、すぐにわかった。
天空城に行く際に見かけたが、それ以上に大きくなっている。
「お久しぶりです、主殿」
ピオナがトレントに触れた。元主に、あいさつをする。
「ええ。コーキさまの側で大切にしてもらっております」
頭をトレントから離し、こちらに戻ってきた。
「もういいの?」
「はい。情報は村の世界樹を通して共有しておりましたので、顔見世だけの用事ですね」
ボクたちはお酒と野菜をお供えして、トレントの森を後にする。
王都ダリエンツォの温泉に浸かって、旅の疲れを落とす。
「みんなして、混浴しなくても」
裸の女性たちに囲まれて、ボクは肩身が狭い。
「いや、コーキはノーカンだからいいのだ」
「そうそう! こんな絶壁見ても、うれしくねえだろう?」
ヴェリシモさんとナップルがそう言うが、賛同できないよ。
ネイス・クルオン村まで、戻ってきた。
「コーキ、次は、どこへ行こうか?」
「そうだね。船で新天地を目指そうかな」
「いいね! 夢が広がるよね。ついていくよ」
パロンがバンザイしながら、ボクに抱きついてくる。
「船なら、こちらで用意しよう」
「ありがとうございます。ですが、人手だけください。自分で船を作って旅をします」
ここから先は、どこまでの冒険になるかわからない。だから、王都のお世話になるのも気がひけた。
「わかった。手配しよう」
数週間後、ボクの船が完成する。
王都の港から、新しい大陸を目指す。
「いいよコーキ」
「出発しよう!」
さあ、次の大陸には、どんな自然が待っているんだろう。
(完)
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