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第六章 天空の住人と対話
第40話 クトーニアンとの和平
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クトーニアン穏健派であるハィラさんは、和平交渉に来たのだった。
「コーキ、受けるの?」
心配げに、パロンがボクに声をかけてくる。
「うん。ボクはそのつもり。だけど、みんなの意見も聞きたい」
この村は、ボク一人のモノじゃないからね。
「ワタシは別にいいかな。クトーニアンはともかく、あの子は信用できるよ。討伐されちゃうリスクがあるのに、一人できたっていう度胸もある」
「……ワシは、なんとも言えぬ。信用はしてやりたいが、彼女のバックに良からぬものがおる可能性も捨てきれん。森に攻め込まれては、我々では止められんじゃろうし」
全面肯定なパロンとは対照的に、クコは慎重だ。
「ナップルと、ヴェリシモさんは?」
ボクが聞くと、「アタイはいいかな?」とナップルは賛成してくれた。
「私は考えたい。民を危険に晒すわけにはいかないからな」
やはり、立場的にヴェリシモさんの賛同は得づらいのかも。
「そうですね。今のところ、意見は割れています。とにかく、じっくり話し合いましょう」
「ありがとうございます」
みんなのところに戻って事情を話すと、ドムさんが難しい顔をする。
「和平ですか。月日とは面白いもんですね。そういう時代が来るとは。しかし、ただでさえ頭の硬い天使共をやり込むのは、骨が折れそうですね」
セラフ王の説得は、少々困難を極めるだろうとのこと。「クトーニアン絶対殺す天使」として、恐れられているそうだからね。
「ドムさん。どうすれば、和平に望めると思います?」
「向こうの世界樹を倒せば」
クトーニアンの世界樹は、邪神の象徴として崇められているという。
「ねえハィラさん。世界樹って、壊して大丈夫な感じ?」
闇の世界樹について、ハィラさんに尋ねてみた。
「はい。我々穏健派は、そちらから魔力をもらっていないので」
ハィラさんによると、世界樹をやっつけるのはOKらしい。
よかった。大使が死んじゃったら、和平ってレベルじゃないからね。
「穏健派にも世界樹が枝葉として存在しまして、その木を糧としています」
「クトーニアンの世界樹って、どんな感じなの?」
「サンゴです。触手がワキワキってうねっていて、かわいいのです」
「ほ、ほう」
あんまり想像したくないね。穏健派は助けたいけど、センスなどは理解できそうにないみたい。
「ですが、クトーニアン側の世界樹は、我々穏健派の世界樹をも支配しようとしてきています。いつ乗っ取られてもおかしくありません。そうなれば、我々の思考もクトーニアンに染まってしまいます」
「依存度が高そうだね?」
「はい。魔力は世界樹に任せっきりでして」
ひとまず、相手側と話し合うことで決着が着いた。
その間に、人間側もそれぞれ地元と話し合うという。
(第六章 完)
「コーキ、受けるの?」
心配げに、パロンがボクに声をかけてくる。
「うん。ボクはそのつもり。だけど、みんなの意見も聞きたい」
この村は、ボク一人のモノじゃないからね。
「ワタシは別にいいかな。クトーニアンはともかく、あの子は信用できるよ。討伐されちゃうリスクがあるのに、一人できたっていう度胸もある」
「……ワシは、なんとも言えぬ。信用はしてやりたいが、彼女のバックに良からぬものがおる可能性も捨てきれん。森に攻め込まれては、我々では止められんじゃろうし」
全面肯定なパロンとは対照的に、クコは慎重だ。
「ナップルと、ヴェリシモさんは?」
ボクが聞くと、「アタイはいいかな?」とナップルは賛成してくれた。
「私は考えたい。民を危険に晒すわけにはいかないからな」
やはり、立場的にヴェリシモさんの賛同は得づらいのかも。
「そうですね。今のところ、意見は割れています。とにかく、じっくり話し合いましょう」
「ありがとうございます」
みんなのところに戻って事情を話すと、ドムさんが難しい顔をする。
「和平ですか。月日とは面白いもんですね。そういう時代が来るとは。しかし、ただでさえ頭の硬い天使共をやり込むのは、骨が折れそうですね」
セラフ王の説得は、少々困難を極めるだろうとのこと。「クトーニアン絶対殺す天使」として、恐れられているそうだからね。
「ドムさん。どうすれば、和平に望めると思います?」
「向こうの世界樹を倒せば」
クトーニアンの世界樹は、邪神の象徴として崇められているという。
「ねえハィラさん。世界樹って、壊して大丈夫な感じ?」
闇の世界樹について、ハィラさんに尋ねてみた。
「はい。我々穏健派は、そちらから魔力をもらっていないので」
ハィラさんによると、世界樹をやっつけるのはOKらしい。
よかった。大使が死んじゃったら、和平ってレベルじゃないからね。
「穏健派にも世界樹が枝葉として存在しまして、その木を糧としています」
「クトーニアンの世界樹って、どんな感じなの?」
「サンゴです。触手がワキワキってうねっていて、かわいいのです」
「ほ、ほう」
あんまり想像したくないね。穏健派は助けたいけど、センスなどは理解できそうにないみたい。
「ですが、クトーニアン側の世界樹は、我々穏健派の世界樹をも支配しようとしてきています。いつ乗っ取られてもおかしくありません。そうなれば、我々の思考もクトーニアンに染まってしまいます」
「依存度が高そうだね?」
「はい。魔力は世界樹に任せっきりでして」
ひとまず、相手側と話し合うことで決着が着いた。
その間に、人間側もそれぞれ地元と話し合うという。
(第六章 完)
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