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第五章 絶体絶命!? 炎の地下遺跡

第33話 岩山の遺跡

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「コーキ一人で戦う気!?」

「やってみる。みんなはボクの言う通りにして!」

 パロンたちに指示を出して、単身クトーニアンを相手する。

『我らクトーニアンは、再び地上を支配するのだ! 邪魔立てするなら、貴様らを養分にしてくれる!』

「そのために、世界樹をコントロールしていたのか!?」

『世界樹は我らに恩恵をもたらすべきモノだ! 貴様ら人類が持つべきではない!』

「そんなことを言っているから、世界樹の方に愛想をつかされるんだ!」

 ボクは、ツタを相手の触手へ振り下ろした。


「ぬあ!?」

 敵の触手が、ドロっと溶け出す。

「貴様、なにをした!?」

「何もしていないよ。ボクはね」

 単にボクは、触手をツタで攻撃していただけ。
 しかし、そのツタに細工をした。パロンの生成した毒ポーションを流し込み、クコのソーンバインドと混ぜて攻撃してカモフラージュした。ヴェリシモの氷エンチャントを施し、触手が当たった瞬間溶けるようにしかけたのである。
 ボクは、クトーニアンの触手を全部腐食させた。果物の酸を強化して、触手に浸透させたのだ。

『なんたるおぞましき力! ウッドゴーレムごときに!』

「ウッドゴーレムごときだなんて蔑んでいるから、お前は負けるんだよ」

『黙れ、仮初の命の分際で!』

 やけに必至だな。自分だって、アンデッドではないか。

「チェックメイトだ。果物の酸で溺れて死になさい」

 ボクはクトーニアンの棺の隙間に果物を仕込む。毒性の果物で、棺の中を満たした。

『ぬおおおお! 身体が溶ける! 毒など我には効かぬはずなのに!?』

 棺から、酸が溢れ出す。

「蠱毒がどうのって、自分で言ってたじゃん。毒のある果実同士を戦わせたんだよ。あんたの棺の中で」

 とびっきり毒性の高い果実が生き残って、それがお墓を満たしたのだ。

「あんたは、この世界にひどいことをした。世界にムリヤリ割って入り、国交も断絶した。この世界に、あんたの居場所はないよ」

「ごおおおお!」

 棺もろとも、クトーニアンはドロドロに溶けていった。

「敵性反応なし。クトーニアンの駆除を確認」

 ピオナから通達を受けて、ボクは安堵する。

「はあっ、はあっ。敵のボスだから、どうなるかと思ったよ」

 しぶとそうだったが、倒せてよかった。

「どこから湧いてきたんだろう?」

「クトーニアンは、我が世界樹の敵です。地下から浸透してきて、水を奪い合います」

 基本は、海からの侵略者らしい。水分のあるところを求めて、地上へ這い上がってくるらしい。

「クトーニアンの完全駆除には、海を枯らすしかありません。しかし、そんなことをすれば世界は崩壊します」

 過剰に海から襲ってくる度に、駆除するしかないようだ。

「個体だけなら、さして強くありません。過剰に恐れることは、ありませんよ。ですが、恐ろしい作戦を練っていたそうで」

「どんな?」

「塔を建てて、天空から海水の雨を振らせる計画があったとか」

 うわああ。気が長い話だな。

「我々が岩山を解体していたから、力をつけてしまったんですかい?」

「あたしらの活動は、ムダ骨だったってことかよ?」

 スプルスさんと娘のナップルが、肩を落とす。

「そんなことはない! みなよくがんばってくれた。おかげで、この遺跡の調査が進んだのだ」

 ヴェリシモさんが、ドワーフのみんなを励ましている。

「みなさんがいなかったら、クトーニアンは存在すら確認できず、村も全滅していたことでしょう。ありがとうございます」

 ボクは、石ころを持ってピオナに確認する。

 ピオナの反応を見て、仮説が正しいとわかった。
 たしか、塔を建てていたとかなんとか。

「この岩山は、山じゃない。ガレキだ」

 塔が壊れて、こんな岩山になったんだろう。

 地層になるまでなんて、どれだけの素材が使われたのか。山が機能しなくなるくらい、削り落とされたのだろう。

「再生できそう?」

「加工されすぎて、不可能ですね。とはいえ温泉は生きていますから、自然が完全に死んだわけでは」

 なら、緑化すれば山の元気が戻るかな。

 ボクは苗を植えて、山の再生にとりかかった。


 そして、現在に至る。
 

                    (第五章 完)
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