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第三章 ダンジョンと、コメ栽培
第15話 スライムとの遭遇
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「コーキ、質問」
「なんなりと」
「ダムって何?」
そこからかー。
「岩と土でできた、人口貯水池だよ」
ダムってたいてい、山脈に作るんだけど、ここの人たちは渓谷の川をせき止めてダムにした。
「用途は?」
「色々さ。水をキレイにしたり、漁業や農業にも使う。電気……ボクたちの世界で主につかわれているエネルギーを、作ったりもするんだ」
「水の力で、エネルギーを作るとか。魔力みたいなものかな?」
説明が難しいよぉ。
「とにかく、馬を引かなくても馬車を動かせたりはするかな?」
「じゃあ、コーキの方がすごいじゃん」
そうなっちゃうのかぁ。まあ褒めてもらえるのは、悪い気はしないけど。
「いやいや、もっと速く走れるんだって」
「動かせる段階で、コーキのほうがすごいよ」
これ以上問答をしても、パロンは意見を曲げなさそう。
仕方なく、ボクは説明を続けた。
「この渓谷は、一部が円形に広がっている。それに、この辺りは山が大きい。水を貯めるにはぴったりだろう」
ボクたちが作っている池より、遥かに大規模なダムである。異世界に、これだけ高度な施設があったなんて。
「その大型ダムが、水が枯れたことによって機能をなくしたと」
「あるいは、魔物の暴走で、管理する人が逃げちゃったか」
とにかく、大昔の人は、相当に高い文明を持っていたに違いない。こんなクラスのダムを作れるんだから。
「ダムって、コーキの世界にもあったんだよね? こんなアイアンゴーレムとかもいたの?」
「いないよ。点検担当者も警備員さんもいたけど、みんな人間だったよ」
ロボットや監視カメラなど、ハイテクは使っているけど。
「先に行けば、ダムの水源が見つかるかも」
休憩を終えて、ボクたちはさらに奥へ。
また、ゴーレムが現れた。
「攻略法がわかったら、こっちのものだ!」
ツタで体内に侵入し、魔法石を取り除く。
熱光線を目から発射して、ゴーレムもボクの攻撃に対抗する。
でも、そんなのお見通しだ。
「パロン!」
「サンダーソード!」
ショートソードに雷の魔法を施して、パロンがゴーレムの頭に突き刺す。
ボクが敵の注意を向けさせて、パロンが攻撃を与える。
「あの大型個体が、ボスみたい!」
アイアンゴーレムの中で、ひときわ大きいモンスターがいる。戦車くらいのサイズだ。
頭部の大砲が、こちらを狙う。
「危ないパロン」
パロンの身体をつかんで、飛び上がる。
同時に、砲撃が着弾した。火球は味方のゴーレムまで、ふっとばしちゃった。
「ホントに戦車みたいだね!」
ゴーレムの砲撃から、ボクもパロンも逃げ惑う。さっきまでの敵とは段違いの強さである。
「ワシも忘れるなよ。【ソーンバインド】!」
クコが、ツタの攻撃魔法で戦車ゴーレムの足を捕らえた。鉄と土魔法の相性が悪く、足程度しか絡ませられない。が、ボクが殴りかかるには十分だ。
どうにか、他のゴーレムと同じ攻略法だったみたい。ツタを使って魔法石を抜き、ゴーレムをやっつけた。
「ん?」
ニュルッと、液体状のモンスターが、大型機械の体から抜け出てくる。
「これはスライムだね」
パロンの見立てでは、これはスライムというモンスターらしい。
実際のスライムなんて、初めて見たよ。
スライムはゼリー状の物体で、目が点々の黒豆である。ガチのファンタジー世界だから、もっとおどろおどろしい姿を想像したけど。
「なんか、弱っているみたいだけど」
皮膚が弱いから、鉄で覆っていたのか。
「今のうちに、倒さないと」
「待ってパロン。あれを見て」
とどめを刺そうとしたパロンを、ボクは止めた。
「ゴーレムが守っている先に、なにかあるよ」
「ホントだ。土の匂いがする」
スライムの方も、ボクの手のひらでずっとおとなしい。
土の香りを追って、ボクたちは先を進む。
「連れていくの?」
「なんかね、抵抗しなくなったんだ」
ボクの身体に流れている魔力を、わずかながら吸っているような。
安心しているのか、まったく微動だにしない。
「スライム、死んでしまいそうだね」
「待って。ブドウをあげよう」
ボクは、スライムにもブドウをあげた。
よかった。食べてくれている。これで回復すればいいが。
「襲ってきたんだよ? 助けるの?」
「この土地を守っていただけだよ。その防衛システムが、過剰だっただけで。話せばわかるかも」
ボクたちだって、ここの土地を再生させに来たんだ。目的は同じじゃないか。
しぼんでいたスライムは、段々と元気を取り戻す。ボクの肩の上で、ぴょんぴょん飛び跳ねた。色も心なしか、キレイになったような。泥のような茶色だったのに、みずみずしい水色に変わった。ブドウを食べたからか、やや紫っぽいかな?
「元気になったみたい」
飛び跳ねるのをやめて、スライムはニューっと身体を伸ばした。
「どうした? 何をいいたいのかな?」
「なにか、指しているね。コーキ、行ってみよう」
しばらく歩くと、出口が見えてきた。
「コーキよ、得体のしれぬ場所についたぞよ」
「なんだここは。ドーム?」
土がある、ドーム状の広場まで出てくる。
天井は、半円状のガラス窓に守られていた。
「コーキ、あれを見て!」
パロンが、中央にある葉っぱを指差す。これは、なにかの苗か。
「……折れた、木?」
広場の奥地に、しおれた木があった。何者かに守られるように、秘匿されていたのである。
「こんなところに、木があるね?」
「木も何も、これ、世界樹のひとつだよ!」
これも、世界樹?
「なんなりと」
「ダムって何?」
そこからかー。
「岩と土でできた、人口貯水池だよ」
ダムってたいてい、山脈に作るんだけど、ここの人たちは渓谷の川をせき止めてダムにした。
「用途は?」
「色々さ。水をキレイにしたり、漁業や農業にも使う。電気……ボクたちの世界で主につかわれているエネルギーを、作ったりもするんだ」
「水の力で、エネルギーを作るとか。魔力みたいなものかな?」
説明が難しいよぉ。
「とにかく、馬を引かなくても馬車を動かせたりはするかな?」
「じゃあ、コーキの方がすごいじゃん」
そうなっちゃうのかぁ。まあ褒めてもらえるのは、悪い気はしないけど。
「いやいや、もっと速く走れるんだって」
「動かせる段階で、コーキのほうがすごいよ」
これ以上問答をしても、パロンは意見を曲げなさそう。
仕方なく、ボクは説明を続けた。
「この渓谷は、一部が円形に広がっている。それに、この辺りは山が大きい。水を貯めるにはぴったりだろう」
ボクたちが作っている池より、遥かに大規模なダムである。異世界に、これだけ高度な施設があったなんて。
「その大型ダムが、水が枯れたことによって機能をなくしたと」
「あるいは、魔物の暴走で、管理する人が逃げちゃったか」
とにかく、大昔の人は、相当に高い文明を持っていたに違いない。こんなクラスのダムを作れるんだから。
「ダムって、コーキの世界にもあったんだよね? こんなアイアンゴーレムとかもいたの?」
「いないよ。点検担当者も警備員さんもいたけど、みんな人間だったよ」
ロボットや監視カメラなど、ハイテクは使っているけど。
「先に行けば、ダムの水源が見つかるかも」
休憩を終えて、ボクたちはさらに奥へ。
また、ゴーレムが現れた。
「攻略法がわかったら、こっちのものだ!」
ツタで体内に侵入し、魔法石を取り除く。
熱光線を目から発射して、ゴーレムもボクの攻撃に対抗する。
でも、そんなのお見通しだ。
「パロン!」
「サンダーソード!」
ショートソードに雷の魔法を施して、パロンがゴーレムの頭に突き刺す。
ボクが敵の注意を向けさせて、パロンが攻撃を与える。
「あの大型個体が、ボスみたい!」
アイアンゴーレムの中で、ひときわ大きいモンスターがいる。戦車くらいのサイズだ。
頭部の大砲が、こちらを狙う。
「危ないパロン」
パロンの身体をつかんで、飛び上がる。
同時に、砲撃が着弾した。火球は味方のゴーレムまで、ふっとばしちゃった。
「ホントに戦車みたいだね!」
ゴーレムの砲撃から、ボクもパロンも逃げ惑う。さっきまでの敵とは段違いの強さである。
「ワシも忘れるなよ。【ソーンバインド】!」
クコが、ツタの攻撃魔法で戦車ゴーレムの足を捕らえた。鉄と土魔法の相性が悪く、足程度しか絡ませられない。が、ボクが殴りかかるには十分だ。
どうにか、他のゴーレムと同じ攻略法だったみたい。ツタを使って魔法石を抜き、ゴーレムをやっつけた。
「ん?」
ニュルッと、液体状のモンスターが、大型機械の体から抜け出てくる。
「これはスライムだね」
パロンの見立てでは、これはスライムというモンスターらしい。
実際のスライムなんて、初めて見たよ。
スライムはゼリー状の物体で、目が点々の黒豆である。ガチのファンタジー世界だから、もっとおどろおどろしい姿を想像したけど。
「なんか、弱っているみたいだけど」
皮膚が弱いから、鉄で覆っていたのか。
「今のうちに、倒さないと」
「待ってパロン。あれを見て」
とどめを刺そうとしたパロンを、ボクは止めた。
「ゴーレムが守っている先に、なにかあるよ」
「ホントだ。土の匂いがする」
スライムの方も、ボクの手のひらでずっとおとなしい。
土の香りを追って、ボクたちは先を進む。
「連れていくの?」
「なんかね、抵抗しなくなったんだ」
ボクの身体に流れている魔力を、わずかながら吸っているような。
安心しているのか、まったく微動だにしない。
「スライム、死んでしまいそうだね」
「待って。ブドウをあげよう」
ボクは、スライムにもブドウをあげた。
よかった。食べてくれている。これで回復すればいいが。
「襲ってきたんだよ? 助けるの?」
「この土地を守っていただけだよ。その防衛システムが、過剰だっただけで。話せばわかるかも」
ボクたちだって、ここの土地を再生させに来たんだ。目的は同じじゃないか。
しぼんでいたスライムは、段々と元気を取り戻す。ボクの肩の上で、ぴょんぴょん飛び跳ねた。色も心なしか、キレイになったような。泥のような茶色だったのに、みずみずしい水色に変わった。ブドウを食べたからか、やや紫っぽいかな?
「元気になったみたい」
飛び跳ねるのをやめて、スライムはニューっと身体を伸ばした。
「どうした? 何をいいたいのかな?」
「なにか、指しているね。コーキ、行ってみよう」
しばらく歩くと、出口が見えてきた。
「コーキよ、得体のしれぬ場所についたぞよ」
「なんだここは。ドーム?」
土がある、ドーム状の広場まで出てくる。
天井は、半円状のガラス窓に守られていた。
「コーキ、あれを見て!」
パロンが、中央にある葉っぱを指差す。これは、なにかの苗か。
「……折れた、木?」
広場の奥地に、しおれた木があった。何者かに守られるように、秘匿されていたのである。
「こんなところに、木があるね?」
「木も何も、これ、世界樹のひとつだよ!」
これも、世界樹?
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