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第三章 百合おじにライバル出現……と思ったら同類だった。

第24話 百合の究極奥義

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「フフフ! ハハハハ!」

 オレは、おかしくなって笑う。

「ユリウスくん? どうした?」

「これが笑わずにいられるか! 滑稽だ! しょせんオレは、おじゃま虫にしか過ぎないか!」

 デーモンのために働かされて、あげく死ぬとは。
 そういう設定だったのか、ユリウスは。
 まったく、滑稽だ。
 骨の髄まで主体性のない、ドクズ野郎じゃないか。

 オレは、つくづく自分がイヤになる。
 こんなどうしようもないヤツに、転生したとは。

「とうとう気が触れたか。お主の場合、ようやく本来の性格を取り戻したといえるか?」

 カコデーモンが、笑っているオレをそう分析する。

「さあ、自分の本来の仕事を思い出したなら、使命をまっとうせよ!」

「……オレの使命は、百合を保護することだ!」

 オレは、デーモンの横っ面に飛び蹴りを食らわせた。 
 
「てやあ!」
 
 魔族の胸板にに、連続でパンチを見舞う。顔面や腹、胸に拳を叩き込む。

「貴様! 魔族への忠誠を忘れたのか!?」

「そんな約束なんぞ、知らん!」

 ただ、オレは自分の信じた道を進むのみ!

「究極の奥義を、ぶちかましてやる!」

 オレは両手を、腰に構える。百合のツボミを象るように、両手を重ねた。

「リリィィーッ、スマアアアッシュ!」

 両手で作った百合の構えで、魔族の腹を貫く。

「散華!」

 魔族の体内で、オレは両手を開いた。百合の花を咲かせるように。

【リリー・スマッシュ】はオレが編み出した、光属性最強のマギアーツである。
 相手に膨大な量の光属性魔法を叩き込むのだ。

「ぐおおおおおおおお!?」
 
 魔族の体内で、魔力の爆発が起きる。

「おおおお、これが百合! 真の百合! 見事なり!」
 
 カコデーモンの肉体が、崩壊をしていく。

「だが、我々の計画は終わらぬ。やがて魔王様は、この地に……てぇてぇエエエエエエエ!」

 デーモンの身体から、光が溢れ出した。魔族を滅ぼす、浄化の光属性が。
 そのまま、デーモンは完全に消滅する。

「ふううううう」

 オレは、呼吸を整えた。

 三人はただ、オレをじっと見つめている。

「こういうわけだ。オレは、魔族に操られていたみたいだな」

 そんな状態のオレを、学校が、ティナやトマが受け入れてくれるはずがない。
 
「ユリウス王子」

 だからオレは、ティナとトマに消されたわけか。
 殺されて当然の行いを、オレはしていたと。

「魔族の関係者が学校にいたら、かなりまずいことになる。退学にするなら、それでよい。さあガセート先輩、ご決断を」

 オレはガセート先輩の前で、ヒザをつく。

 首をはねられても、いいように。

 

「その必要はございません」

 
 オレの後ろに、メンドークサが現れた。

 
「ワタシはユリウス王子のお世話役および密偵をしております、メンドークサ」

 メンドークサは一同に頭を下げた後、オレに向き直る。

「王子、あなたの正体、及びトマ王子がなぜティナ様を殺めようとしていたか、が判明いたしました」
 
「おおかたオレが、『男装している王子を女性と見破られたくなければ、ティナを亡き者にしろ』とでも脅したんだろ?」

「……お見事な推理力です」
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