百合に挟まれて死ぬ悪役王子に転生した百合男子、百合ップルを見守ります!

椎名 富比路

文字の大きさ
上 下
18 / 36
第三章 百合おじにライバル出現……と思ったら同類だった。

第18話 百合ップルを追う、不審者二人

しおりを挟む
 話を聞いて、ティナとトマ王子は承諾した。

「ユリウス王子は?」

「もちろん、行こう」

 シナリオ上、オレはあのダンジョンで死ぬこととなっている。
 だからこそ、行く必要があった。
 オレはティナやトマ王子と敵対しないことで、死亡フラグがなくなった。
 だが、油断はできない。ダンジョン行きが、オレの死亡トリガーである可能性も否定できないからだ。

 死亡フラグをへし折って生き延びることが、オレの目的ではない。
 オレの最終目標は、二人が幸せになる世界を作ることだ。

 まだ世界は、百合に寛容ではない。
 オレが、この世界を変える。
 
 なので、ダンジョンに向かう必要があるのだ。

 見届けてみたい。自分があっけなく、最期を遂げるのか。あるいは……。
 
「すぐにでも、出発できますが?」

「まあ、そう焦らずとも。翌朝出発だ」

 腰を上げたティナを、ガセート先輩が引き止める。
 
 具体的な日時は、生徒会の女子生徒が教えてくれた。

 ダンジョンへは、数日かけての旅となる。
 欠席中の成績などは、ダンジョン攻略で免除されるとか。

「ありがとうございます」
 

 用事が終わって、オレたちはようやく解放された。

 さて、ティナとトマ王子の帰り道でも、ストーキングするとしよう。

 アレから、学園周りのきな臭いエリアなどを、叩き潰してきた。

「感謝しておいてやるぞ、ヤン王女」

 オレの肩近くで浮いている、ヤン王女の使い魔に礼をいう。

『あたしは、トマ王子の安全を確保したいだけよ! ティナとはいつまでも、ライバルなんだから!』

 使い魔越しに、ヤン王女がツンデレセリフを吐いた。

 ヤンはリモートで、まだ二人を追いかけている。
 
『それにしても、この間の女は何者なのかしら? 顔がトマ王子に、めちゃくちゃ似ていたけど』

「そのくらいにしておけよ。さっさと帰るんだ」

 長時間の使い魔召喚は、魔力炉に負担がかかる。特に、遠方を映し出す類は、膨大な魔力を消耗するのだ。どれくらいヤバイかと言うと、将来的な潜在魔力の上限値や、魔法発動時の出力量に障害が発生する。

『えっ、気にしてくれているの?』

「そんなわけないだろ。早く召喚を解け。魔術回路に支障が出るぞ」
 
 使い魔にぶりっ子ポーズをさせるな、と。気持ち悪いのだ。

 ヤンの使い魔が、消滅した。

 これでトマ王子とティナが、百合ん百合んであることがバレないはずである。

「相変わらず、尊いな」

 カフェでお茶をしている二人を、物陰でストーキングをしていた。
 他愛のない会話をしているだけなのに、周りに花が咲いている。

「実によき。やはり百合こそ至高」

「ひいいい!」
 
 オレが隠れていた街路樹が、ガセート先輩に変わった。

 いつの間に擬態していたんだ!? オレが気付けないとは。

「あまり、驚くなよ。二人にバレてしまう」

「うむ。ということは、先輩も」

「そうだよ。僕は百合スキーさ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

処理中です...