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第二章 百合王子の正体がバレそうになってドキドキ!

第12話 百合おじ、百合デート観察を満喫

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 女性の格好をしたトマ、いやマーゴットが、ティナと手を繋ぐ。

「さあ、マーゴット、参りましょう」

「あ、ああ」

「もっと女の子らしく」

「え、ええ」

 少しぎこちないが、マーゴットはそれっぽく振る舞った。

「あそこのカフェに参りましょう。安価なのに、世にも珍しい食べ物がありますのよ」

「ホントに? いただこうか……しら」
 
 あら~。
 ぎこちない会話、らしくない仕草。今まで女性扱いされてこなかった分、燃え度がアップしている。

 二人が向かったのは、たこ焼き屋だ。さすが、ゲーム世界である。こんな中世ヨーロッパ世界でも、ユーザーに親しみのある食べ物が並んでいるのだ。小説とかだとケチを付けられるが、ゲームなら許される!

 それに、たこ焼きと言えば!

「あ~ん」

 ティナが、楊枝に刺したたこ焼きを、マーゴットの口に近づける。

「あ、あ~ん」

 マーゴットも、素直に差し出されたたこ焼きを口に含んだ。

「おほお」

 熱さでオホ声を出しつつも、マーゴットはよく噛んでたこ焼きを食べる。

 あっら~。

「こんなイベント、オレが生きている頃に体験したかった」

 ああ、しみじみ。

 いつの間にか、後方腕組みおじさんになってらぁ、オレ。

「ユリウス王子になって、ようやく拝めましたね」

「うむ。おっほお!」

 あまりの尊さによそ見をしていたせいで、オレまでたこ焼きの熱さでオホ声を出してしまったではないか。

 ゲーム内だと、トマ王子ってずっと男装のままなんだよなあ。

 前世のユリウスに服をひん剥かれるってシーンは、たしかにあったけど。あれも、ちょっと肩紐が見えたくらいでとどまっているし。決定的なエロシーンなんかにはならない。
 どちらかというと、女性向けに作られていたゲームである。そのため、過激なシーンなどはカットされていた。
 それでも、十分楽しい。
 もっといやらしい肉体が見たいってのは、ゲスの勘繰りというものさ。そういうのを見たかったら、AVや成人指定マンガでも読んでいる。

 こちとら、「あ~ん」でしか得られない元気成分があるんだよ!

「見事だ。すばらしいな」

「ですね。ようやくマーゴット様も、素直になられたというか」

「おう」

 別にオレは、フェミニストやミソジニーではない。「女なんだから女らしくしろ」とか、「女性はもっと自立すべきだ」とか、特にそういう意見は持っていない。

 あの二人は単に、好きな人と一緒に過ごしたいだけだ。

 オレは、それを見守りたい。

 どんな障害が来ようと、オレが盾になる。

「どなたかと仲良くしているところ、悪いんですけど……」

 その障害ってのは、たとえば、「停学処分になったお嬢様」とかだ!
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