9 / 36
第二章 百合王子の正体がバレそうになってドキドキ!
第9話 百合には、ぬくもりを。ヤンデレには、男女平等パンチを
しおりを挟む
ヤンディーネンとの、試合が始まった。
ヤンがさっそく、プールの水でサーペントを作り出す。
「ユリウスごときが、あたしに勝てるわけないでしょ!? 一度だって、あたしに勝てたことがないじゃない!」
「それはどうかな? ごたくはいい。かかってこいよ」
オレは手招きをして、ヤンを挑発した。
「大した自信ね。その鼻っ柱をへし折ってあげるわ!」
プールの水で作ったサーペントを、オレに向けて放つ。
「【氷河落とし】! ホアチョ!」
氷属性の魔法を施した足で、サーペントに「かかと落とし」を浴びせた。
サーペントが突っ伏し、プールサイドにへばりつく。
「やるじゃない。でも、これで勝った気にならないことね!」
サーペントの胴体から、水でできた衝撃波が飛んできた。
プールサイドの床や壁を切り裂いて、すべての衝撃波がオレに向かってくる。
オレは相撲のシコを踏むように、小さくジャンプして大地に振動を与えた。【震脚】という稽古法だ。同時に、火炎属性魔法を両手に施す。
「【熱波・炎烈拳】! ホアタ!」
両腕を伸ばして、そのままグルグルその場を回った。
手の炎が、衝撃波を蒸発させていく。
「マワシウケですって!? そんな高等技術、あんたに使えたの!? 訓練嫌いだったあなたが!?」
「人っていうのはな、進化していくもんなんだよ!」
「バカね! マギアーツなんて、武器がなかった時代の格闘術じゃない! そんな古い武術に、あたしの召喚魔法が負けるわけがない!」
その発想を、覆してやるよ。
オレは、ヤンに殴りかかる。
「もう一度サーペントを……」
ヤンは再び、プールの水でサーペントを作ろうとした。
「フン!」
オレがさらに大きく、震脚をする。
「なんですって!?」
召喚された瞬間に、サーペントは霧散してしまう。地面の振動で、崩れたのだ。
「どういうことなの!?」
「お前の召喚術など、土魔法を施したオレの震脚で砕ける程度のもろさだってことさ」
「だったら!」
また、水を衝撃波に変える。
面積が薄いため、震脚でも消えない。
「だが、甘いな」
今度は、オレは自分に【身体強化】の魔法を施す。
水のカッターなんぞ、当たらなければどうということはない。スイスイ避ける。
「くっ!?」
「これは、痛いぞ!」
オレは、ヤンの頬に拳をめり込ませた。いわゆる、男女平等パンチというやつだ。
拳を頬で抱きしめ、ヤンの身体が吹っ飛んでいった。
「そこまで。Winner、ユリウス!」
先生が、オレの腕を掴んで上げる。
生徒たちからも、拍手が湧いた。
「なんてやつなの!? 女の顔を殴るなんて!」
たしかに、一部の生徒からも不快感をあらわにした言葉が飛び出す。
「黙れ。これは、決闘だぞ。お前は戦場でも、同じことをいうのか?」
先生が、生徒たちを黙らせる。
「顔だけで、よかったな」
核心を突かれて、ヤンがビクッとなった。
魔物相手なら、ヤンは首が吹っ飛んでいただろう。
それに、傷つけられる箇所が『女の尊厳』であった場合は最悪だ。ヤンは一生心に傷を持ったまま、生きねばならん。
ここが学校だったから、そんな目に遭わずに済んだ。
それがわかっているから、ヤンも女子生徒も反論してこない。
「許可なく生徒たちにケガを負わせた、ヤンの罪は重い。謹慎か、退学で処理を願う」
オレたちは「決闘」という大義名分があったから、多少の覚悟はあった。
しかし、ティナへの不意打ちは、やりすぎだ。先生の言うように、「戦場だったら」といういいわけは通用しない。決闘だったら、よかっただろう。
担任が、数名の教師たちと話し合った。
決闘という非常事態になったため、立会人である担任の他に数名の教師が監視に来ているのである。
「職員会議で、話がついた。ヤンディーネン・クーセラ。お前には、自宅謹慎を言い渡す。今後、登校を控えるように」
一応授業はリモートで聞けるが、学校には二度と通えない。学校行事も、すべて欠席扱いとなる。
ただ、出ていく前にひとつ、聞いておかないと。
オレは、ヤンのそばに立った。
「昨日、ティナとトマを襲うように野盗へ指示を出したのは、お前だな?」
「そうよ。よく知ってるじゃない」
頬をおさえながら、ふてくされたように吐き捨てる。
そのこともあって、オレは怒っていた。
ヤンは殴られても、文句を言えない。
プールを退場するヤンを見つめながら、「もう一発、殴っておけばよかったか?」とも思った。
まあいい。一発殴ればいいだろう。
そんなことより、百合だろ!
さっそく医務室へGO!
「どこへいく、ユリウス!」
先生が、走り去ろうとするオレを呼び戻す。
「さっきの戦闘でちょっとケガをしました。医務室へレッツゴーしてきますね!」
オレはそそくさと、医務室へ向かう。
トマ王子のときと違って、オレに手を差し伸べてくるヤツらはいない。
嫌われ者ってのは、そういうものさ。
「あら~」
医務室では、さっそくティナとトマが抱き合っていた。
ヤンがさっそく、プールの水でサーペントを作り出す。
「ユリウスごときが、あたしに勝てるわけないでしょ!? 一度だって、あたしに勝てたことがないじゃない!」
「それはどうかな? ごたくはいい。かかってこいよ」
オレは手招きをして、ヤンを挑発した。
「大した自信ね。その鼻っ柱をへし折ってあげるわ!」
プールの水で作ったサーペントを、オレに向けて放つ。
「【氷河落とし】! ホアチョ!」
氷属性の魔法を施した足で、サーペントに「かかと落とし」を浴びせた。
サーペントが突っ伏し、プールサイドにへばりつく。
「やるじゃない。でも、これで勝った気にならないことね!」
サーペントの胴体から、水でできた衝撃波が飛んできた。
プールサイドの床や壁を切り裂いて、すべての衝撃波がオレに向かってくる。
オレは相撲のシコを踏むように、小さくジャンプして大地に振動を与えた。【震脚】という稽古法だ。同時に、火炎属性魔法を両手に施す。
「【熱波・炎烈拳】! ホアタ!」
両腕を伸ばして、そのままグルグルその場を回った。
手の炎が、衝撃波を蒸発させていく。
「マワシウケですって!? そんな高等技術、あんたに使えたの!? 訓練嫌いだったあなたが!?」
「人っていうのはな、進化していくもんなんだよ!」
「バカね! マギアーツなんて、武器がなかった時代の格闘術じゃない! そんな古い武術に、あたしの召喚魔法が負けるわけがない!」
その発想を、覆してやるよ。
オレは、ヤンに殴りかかる。
「もう一度サーペントを……」
ヤンは再び、プールの水でサーペントを作ろうとした。
「フン!」
オレがさらに大きく、震脚をする。
「なんですって!?」
召喚された瞬間に、サーペントは霧散してしまう。地面の振動で、崩れたのだ。
「どういうことなの!?」
「お前の召喚術など、土魔法を施したオレの震脚で砕ける程度のもろさだってことさ」
「だったら!」
また、水を衝撃波に変える。
面積が薄いため、震脚でも消えない。
「だが、甘いな」
今度は、オレは自分に【身体強化】の魔法を施す。
水のカッターなんぞ、当たらなければどうということはない。スイスイ避ける。
「くっ!?」
「これは、痛いぞ!」
オレは、ヤンの頬に拳をめり込ませた。いわゆる、男女平等パンチというやつだ。
拳を頬で抱きしめ、ヤンの身体が吹っ飛んでいった。
「そこまで。Winner、ユリウス!」
先生が、オレの腕を掴んで上げる。
生徒たちからも、拍手が湧いた。
「なんてやつなの!? 女の顔を殴るなんて!」
たしかに、一部の生徒からも不快感をあらわにした言葉が飛び出す。
「黙れ。これは、決闘だぞ。お前は戦場でも、同じことをいうのか?」
先生が、生徒たちを黙らせる。
「顔だけで、よかったな」
核心を突かれて、ヤンがビクッとなった。
魔物相手なら、ヤンは首が吹っ飛んでいただろう。
それに、傷つけられる箇所が『女の尊厳』であった場合は最悪だ。ヤンは一生心に傷を持ったまま、生きねばならん。
ここが学校だったから、そんな目に遭わずに済んだ。
それがわかっているから、ヤンも女子生徒も反論してこない。
「許可なく生徒たちにケガを負わせた、ヤンの罪は重い。謹慎か、退学で処理を願う」
オレたちは「決闘」という大義名分があったから、多少の覚悟はあった。
しかし、ティナへの不意打ちは、やりすぎだ。先生の言うように、「戦場だったら」といういいわけは通用しない。決闘だったら、よかっただろう。
担任が、数名の教師たちと話し合った。
決闘という非常事態になったため、立会人である担任の他に数名の教師が監視に来ているのである。
「職員会議で、話がついた。ヤンディーネン・クーセラ。お前には、自宅謹慎を言い渡す。今後、登校を控えるように」
一応授業はリモートで聞けるが、学校には二度と通えない。学校行事も、すべて欠席扱いとなる。
ただ、出ていく前にひとつ、聞いておかないと。
オレは、ヤンのそばに立った。
「昨日、ティナとトマを襲うように野盗へ指示を出したのは、お前だな?」
「そうよ。よく知ってるじゃない」
頬をおさえながら、ふてくされたように吐き捨てる。
そのこともあって、オレは怒っていた。
ヤンは殴られても、文句を言えない。
プールを退場するヤンを見つめながら、「もう一発、殴っておけばよかったか?」とも思った。
まあいい。一発殴ればいいだろう。
そんなことより、百合だろ!
さっそく医務室へGO!
「どこへいく、ユリウス!」
先生が、走り去ろうとするオレを呼び戻す。
「さっきの戦闘でちょっとケガをしました。医務室へレッツゴーしてきますね!」
オレはそそくさと、医務室へ向かう。
トマ王子のときと違って、オレに手を差し伸べてくるヤツらはいない。
嫌われ者ってのは、そういうものさ。
「あら~」
医務室では、さっそくティナとトマが抱き合っていた。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる