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第五章 敵の総大将が動き出しました!
第74話 またあなたですか!
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「もう後がないこの国を、シングリアは立て直してやると言ったんだ! 俺の計画を邪魔しやがって!」
「救えないね」
ギルドマスターに、無数の矢が突き刺さる。
誰が指示を出すでもなく、自然と誰しもの手が動いていた。
無数の矢に貫かれ、尚もギルドマスターは虚空に手を差し出す。
「俺は、クテイを救おうとし」
もう戯れ言は聞きたくないと思ったのか、トドメを刺したのはノドへの一撃だった。
皆が哀れなギルマスの最期を見送る中、リッコは、矢の飛んできた方角を見つめる。
すかさず、リッコは回復魔法を唱えた。
ギルマスの傷がみるみる癒えていく。
「こんな男を助けてなんになる?」
ソランジュが呼びかけるも、リッコは答えない。
息も絶え絶えだったギルマスの蘇生に、なんとか成功した。
息も絶え絶えだったギルマスの蘇生に、なんとか成功した。
「す、すま……ぐおっ!?」
直した相手の土手っ腹に、リッコは蹴りを食らわせる。
ギルマスが壁に叩き付けられ、血を吐く。
見ていた周囲の人々が、その光景に震え上がっていた。
「あなたを浄化します。拳で」
リッコは制裁の手を止めない。
「聖騎士《パラディン》パーンチッ!」
「むほぉ!」
「聖騎士キッーク!」
「ぐはあ!」
手は抜いている。
だが、立て続けに打ち込んでいるので、歴戦のギルマスもさすがに参っているようだ。
「これでも浄化できませんか? 髪の毛まで悪に染まってらっしゃるんでしょうかね?」
虫の息であるギルマスに、尚も拳を叩き込む。
「いいですか? パラディンは他の職業と違って、独自の神を信仰しています。たとえあなた方の神様がお許しになっても、わたしの神が許しません!」
「やめてくれ! 勘弁してくれ!」
「じゃあ、洗いざらい吐きましょう」
リッコはギルマスの胸ぐらを掴んだ。
「今までの悪事と、あなたの手にした役得、黒幕の正体、全部です!」
相手を脳天を地面に叩き付ける。
「楽に死ねると思ってはいけません!」
気絶した相手に向けて、リッコは吐き捨てた。
「意外と熱い性格なんですね、リッコさん。もっとドライな方かと」
「卑劣な手段で人を傷つける輩に、人権はないからね」
自分でトラブルを招いておきながら、なおも保身に走る男に対し、頭にきていた。それに……。
『カーッ! つっかえねえー!』
ギルマスの口から、ウィルオウィスプのビフロンスが吐き出される。
リッコがギルマスを痛めつけたのは、ビフロンスをギルマスの身体から追い出す必要があったからだ。
『オレが反撃に来るってよく分かったな!』
ビフロンスは、大分小さいサイズになっていた。
「矢が飛んできた方角が、大聖堂からだったので、もしやと」
『よく見てやがるぜ。だが、ここからが本番だ! グシオン軍の中でも知将と呼ばれたこのオレを敵に回したことを後悔させ』
腰の入ったジョーイの棍棒落としが、ビフロンスにクリーンヒットした。魔族が語っている間、ずっと廃語から忍び寄り、棍棒を振り上げていたのだ。
「おしゃべりはそれまでですよ、悪霊」
リッコの何倍も浄化能力の高い一撃である。
上位魔族の悪霊でさえ、ひとたまりもないだろう。
「冒険者ギルドは、即刻この男の家宅捜査と、違約金の用意を。いいですね」
ギルドの動きは早い。
「内政の段階で、完全にやられているワケではなさそうだ」
「だといいのですが」
リッコの不安が、ジョーイの一言で的中する。
「そういえば、お屋敷は?」
「しまった!」
「救えないね」
ギルドマスターに、無数の矢が突き刺さる。
誰が指示を出すでもなく、自然と誰しもの手が動いていた。
無数の矢に貫かれ、尚もギルドマスターは虚空に手を差し出す。
「俺は、クテイを救おうとし」
もう戯れ言は聞きたくないと思ったのか、トドメを刺したのはノドへの一撃だった。
皆が哀れなギルマスの最期を見送る中、リッコは、矢の飛んできた方角を見つめる。
すかさず、リッコは回復魔法を唱えた。
ギルマスの傷がみるみる癒えていく。
「こんな男を助けてなんになる?」
ソランジュが呼びかけるも、リッコは答えない。
息も絶え絶えだったギルマスの蘇生に、なんとか成功した。
息も絶え絶えだったギルマスの蘇生に、なんとか成功した。
「す、すま……ぐおっ!?」
直した相手の土手っ腹に、リッコは蹴りを食らわせる。
ギルマスが壁に叩き付けられ、血を吐く。
見ていた周囲の人々が、その光景に震え上がっていた。
「あなたを浄化します。拳で」
リッコは制裁の手を止めない。
「聖騎士《パラディン》パーンチッ!」
「むほぉ!」
「聖騎士キッーク!」
「ぐはあ!」
手は抜いている。
だが、立て続けに打ち込んでいるので、歴戦のギルマスもさすがに参っているようだ。
「これでも浄化できませんか? 髪の毛まで悪に染まってらっしゃるんでしょうかね?」
虫の息であるギルマスに、尚も拳を叩き込む。
「いいですか? パラディンは他の職業と違って、独自の神を信仰しています。たとえあなた方の神様がお許しになっても、わたしの神が許しません!」
「やめてくれ! 勘弁してくれ!」
「じゃあ、洗いざらい吐きましょう」
リッコはギルマスの胸ぐらを掴んだ。
「今までの悪事と、あなたの手にした役得、黒幕の正体、全部です!」
相手を脳天を地面に叩き付ける。
「楽に死ねると思ってはいけません!」
気絶した相手に向けて、リッコは吐き捨てた。
「意外と熱い性格なんですね、リッコさん。もっとドライな方かと」
「卑劣な手段で人を傷つける輩に、人権はないからね」
自分でトラブルを招いておきながら、なおも保身に走る男に対し、頭にきていた。それに……。
『カーッ! つっかえねえー!』
ギルマスの口から、ウィルオウィスプのビフロンスが吐き出される。
リッコがギルマスを痛めつけたのは、ビフロンスをギルマスの身体から追い出す必要があったからだ。
『オレが反撃に来るってよく分かったな!』
ビフロンスは、大分小さいサイズになっていた。
「矢が飛んできた方角が、大聖堂からだったので、もしやと」
『よく見てやがるぜ。だが、ここからが本番だ! グシオン軍の中でも知将と呼ばれたこのオレを敵に回したことを後悔させ』
腰の入ったジョーイの棍棒落としが、ビフロンスにクリーンヒットした。魔族が語っている間、ずっと廃語から忍び寄り、棍棒を振り上げていたのだ。
「おしゃべりはそれまでですよ、悪霊」
リッコの何倍も浄化能力の高い一撃である。
上位魔族の悪霊でさえ、ひとたまりもないだろう。
「冒険者ギルドは、即刻この男の家宅捜査と、違約金の用意を。いいですね」
ギルドの動きは早い。
「内政の段階で、完全にやられているワケではなさそうだ」
「だといいのですが」
リッコの不安が、ジョーイの一言で的中する。
「そういえば、お屋敷は?」
「しまった!」
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