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第一章 ボッチ聖騎士です。魔女さん、友達になりませんか?
第8話 魔女さん、友だちになってくれませんか?
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「ソロ狩りのために生まれたような女だね」
「故郷で散々、『人に頼って生きるヤツは軟弱だ』と師匠から教わったので」
「過酷すぎだろ。親はなんと言っているんだ?」
「いません。生まれたときから」
赤ん坊だったわたしを、師匠が拾ってくれたのだ。
「悪いことを聞いたね」
「いえ、気にしていませんよ。その代わり、師匠には優しくしてもらったので」
師匠には、ヒラクちゃんという孫娘がいる。師匠の娘夫婦と暮らし、孫であるヒラクちゃんと一緒に、冒険者学校に通った。
「学校ではどうだったんだ?」
またしても、わたしの過去のトラウマスイッチが入ってしまう。
「今でも『二人組を作って』以上の呪詛は見当たりません」
「キミがどう暮らしていたのか、その言葉だけ聞けば一発で分かったよ。悪かった」
なぜか、同情された。
卒業後、幼なじみは晴れて僧侶となり、多くの仲間を得ている。
「でも、ヒラクちゃんに言われたんですよ。パーティを組みたくないって」
「なぜだい?」
「わたしがいると、頼っちゃうからって」
結局、冒険者学校でも友だちが一人もできなかった。せめてヒラクちゃんを助けるため、聖騎士としてがんばったのだが。
「おそらく、強さが釣り合わなかったのだろう」
「そうなんでしょうか。わたしは普通に接したいのですが」
「無理だろうな。レベルに差がありすぎる」
わたしは一人、故郷から離れたこの地で暮らしはじめた。
「毎日『ああ、寂しいなー』って思ってます。ここ最近、誰と長く話したっけ? 武器屋のおじさんくらいかな。今まで集めたアイテムを加工して、そこそこの装備を扱えるようになったけど、逆に怖がられて、誰も近づかなくなっちゃいました。冒険者って、案外臆病なんですかね?」
今までの寂しさを吐き出すかのように、わたしは矢継ぎ早に語り出す。
「ソランジュさんも一人なんですね。お手伝いさんなどは?」
辺りを見回す。人の気配がまったくしない。
「こんな小屋だからね。なんでも一人で事足りるのさ。管理する物もない。イグルさえいれば、警備など問題ないからな」
そういうソランジュさんの瞳は、どこか哀愁を感じさせた。彼女も、今まで孤独だったのでは?
「あのっ、報酬の件ですが」
「そうだった。まだ、はじめてなかったな。どうしようか、続きはベッドで」
「違います。こっちで決めちゃっていいですか?」
話を止めないと、ソランジュさんはブラすら外しそうな勢いだ。
「ああ。金でも身体でも持っていくがよい。このアイテムなんてオススメだぞ」
ソランジュさんは、ブロードソードを見せてきた。たしかに、手持ちのものよりは扱いやすそうである。
「じゃあソランジュさん、お友達になってくれませんか?」
「故郷で散々、『人に頼って生きるヤツは軟弱だ』と師匠から教わったので」
「過酷すぎだろ。親はなんと言っているんだ?」
「いません。生まれたときから」
赤ん坊だったわたしを、師匠が拾ってくれたのだ。
「悪いことを聞いたね」
「いえ、気にしていませんよ。その代わり、師匠には優しくしてもらったので」
師匠には、ヒラクちゃんという孫娘がいる。師匠の娘夫婦と暮らし、孫であるヒラクちゃんと一緒に、冒険者学校に通った。
「学校ではどうだったんだ?」
またしても、わたしの過去のトラウマスイッチが入ってしまう。
「今でも『二人組を作って』以上の呪詛は見当たりません」
「キミがどう暮らしていたのか、その言葉だけ聞けば一発で分かったよ。悪かった」
なぜか、同情された。
卒業後、幼なじみは晴れて僧侶となり、多くの仲間を得ている。
「でも、ヒラクちゃんに言われたんですよ。パーティを組みたくないって」
「なぜだい?」
「わたしがいると、頼っちゃうからって」
結局、冒険者学校でも友だちが一人もできなかった。せめてヒラクちゃんを助けるため、聖騎士としてがんばったのだが。
「おそらく、強さが釣り合わなかったのだろう」
「そうなんでしょうか。わたしは普通に接したいのですが」
「無理だろうな。レベルに差がありすぎる」
わたしは一人、故郷から離れたこの地で暮らしはじめた。
「毎日『ああ、寂しいなー』って思ってます。ここ最近、誰と長く話したっけ? 武器屋のおじさんくらいかな。今まで集めたアイテムを加工して、そこそこの装備を扱えるようになったけど、逆に怖がられて、誰も近づかなくなっちゃいました。冒険者って、案外臆病なんですかね?」
今までの寂しさを吐き出すかのように、わたしは矢継ぎ早に語り出す。
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「違います。こっちで決めちゃっていいですか?」
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「ああ。金でも身体でも持っていくがよい。このアイテムなんてオススメだぞ」
ソランジュさんは、ブロードソードを見せてきた。たしかに、手持ちのものよりは扱いやすそうである。
「じゃあソランジュさん、お友達になってくれませんか?」
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