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第六章 フリーター、地球人魔王と文化祭を満喫する

第40話 お世話してもらうフィーラ

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「自分が魔王にふさわしいだなんて、思っていなくて。魔王城の一件も、わたしは誰かと一緒に住めればいいかなと」

 フィーラは、あくまでも消極的だ。

「アン、フィーラをどうすればいい? どうしたら、自主性を育てられるだろうか?」

「そうですわね……カズヤさんの頼みですから、聞いて差し上げたいのですけれど。こればかりは、フィーラちゃんご本人がお気づきになるのがよろしいかと」

「あんた以外の魔王にも、聞いてみるのがいいかもしれん」

「ですわ。わたくし一人のアイデアでは、イメージが偏ってしまいますわ。いろんな人の考えを聞きつつ、ご自身の思考、イメージを膨らませていけば……」

 なるほど。寮生全員の話を聞いてみるのも、いいかもしれない。その上で、独自の考えを上乗せすると。

「けれど、結構見て回っているんですよね。ドロリィスさんがさっきいらして、話を聞き撒いたし」

「ならば、うってつけの方がいらっしゃいますわ。ニンニン」

 ちょうどアンが休憩に入るというので、同行することにした。
 オレたちが向かったのは、学食を埋め尽くす人だかりである。

 そこには、『生徒会のからあげ』という屋台があった。
 シルヴィアの店にまさるとも劣らぬ、大人気である。みんなめいめいに缶のソーダ水を片手に持って、立食でいただくスタイルだ。大阪にある、有名なホルモン焼きの店を思わせる。

「いりりりーらっしゃいいーりりりららっしゃいー。あげたてサクサクのお。文化祭恒例のぉ生徒会かるるるるあああげええええ!」

 声を張り上げて接客をしているのは、なんとユーニャさんだ。

「ふわああ!」

 オレたちの姿を見て、ユーニャさんが照れくさそうに顔を引っ込める。

「ななな、なんであんたがここにいるのよ!?」

「そんなに避けなくていいだろ? 唐揚げセットをくれるか?」

「アーシは、ヤンニョムチキンじゃ」

 いつの間にか、シルヴィアも同行していた。そういえば、デートしてくれって言っていたな。

「わたしも、同じものを」

「待った。ユーニャさん、オススメはあるか?」

 身を乗り出して、オレはユーニャさんに尋ねた。

「顔が近いわね! まあいいわ。オススメは、幸せスパイシーから揚げよ!」

 幸せなのに、スパイシーなんだな。

「できあがりよ。フィーラちゃん、召し上がれ!」

 フィーラに、ユーニャさんが「あーん」をする。

「店員が、そんな急接近していいのか?」

「いいのよ。そういうサービスなの」

 だから、屋台で立食スタイルなのか。
 ユーニャさんにあーんしてもらえるなら、そりゃあ人気モデルだろう。

 少し戸惑いつつも、フィーラはあーんに応じる。

「まあ。素敵ですわ」

 アンは、からあげをおかずにして、セットのおにぎりにパクついていた。

 オレも、もらおっと。
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