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第五章 フリーター、大魔王からJKのダンジョンを守る ~親娘対決編~

第33話 大逆転

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 スゴロクは、中盤戦に。

「カズヤさんすごいです。商家の娘が惚れましたわ! タラシ全開ですわ!」

 アンが、オレに無礼極まりない言葉を放つ。

「これは、マス目のせいでだなあ!」

「とはいえ、タラシなのはリアルでも変わりないが」

 ドナにまで。ひどい。

「今んところ、金が順調に増えてるんはカズヤさんなんよねえ。アーシも奮闘しとるんじゃが」

「じゃけん、一番進んどるんは、このワシじゃ!」

 ベテランの貫禄で、ドゥーおじはスゴロクという運ゲーをこなしている。

「あー。しもうた。一回休みじゃ!」

 シルヴィアはトラブルマスに入り、自身が乗る商船が難破してしまう。無人島コースに。

「こっちはマフィアにハチの巣にされたわ! かろうじて生きているけど、一回休みよ!」

 ユーニャさんも、一回休みのマスを踏む。

 次に、オレの番である。

「……妻がカズヤくんに寝取られたわい」

 言い方ぁ!

「おめえは娘だけではのうて、嫁も奪うんか? 節操がないのう」

「待ってくださいよ。人聞き悪いですねえ!」

 ゲーム世界とはいえ、ひどいなあ。

「ワシは……ヤンデレカードじゃと?」

 包丁を持った女性が、ドゥーおじに取り憑く。

 ヤンデレがいると、今までサポートしてくれた女性陣が追放されてしまう。いわゆる、デバフのカードだ。

「困ったゾイ。今まで妻でバフがかかっとったのに、カズヤくんに追いつかれそうじゃ」

「じゃけんど、あんたの敵はアーシじゃけん」

 今のところドゥーおじがトップで、オレは二番手についている。
 シルヴィアはようやく無人島を出て、三番手だ。しかし、無人島を買い取って、お金は最も稼いでいた。このままゴールすれば、トップになる。無人島ルートを無事に通過したことで、ゴールまでショートカットできていた。

 だが、ラストで両者行き詰まることに。

 すごろくあるある。出目ぴったりでなければゴールできないワナに、ドゥーおじは陥っていた。ダイスを二つ使うルールが、ここでアダに。

「おのれー。せっかくヤンデレのデバフを剥がしたと言うに!」

 ドゥーおじは、あと三が出れば勝ちだ。しかし、シルヴィアがすぐ後ろにつくまで、ゴールを言ったり来たりしている。

 ここで、おじが新ルールを追加してきた。

「ピンゾロが出たら、お前が抱えとるヤンデレがこっちに襲撃しに来て、ワシは振り出しに逆戻りじゃ」

「マジですか」

「その代わり、お主らの資金は親の総取りできるようになるぞ。一気にトップ通過じゃ!」

 理不尽なルール変更に、プレイヤーからブーイングが飛ぶ。

 運命のダイスが、投げられた。

 出た目は……ピンゾロだ。 

『来ちゃった』

「ぬうおおおおお!」

 実体化したヤンデレが、ドゥーおじのマスにソロリソロリと近づき、おじをボコボコにした。

 そのスキに、シルヴィアが単独ゴール。

「ワシの負けじゃー」

 ドゥーおじが、あっさり負けを認める。



 ちなみにオレは、最終局面で魔王に惚れられていた。

「最後までタラシじゃったのう」

「タラシね」

 シルヴィアもユーニャさんもひどくない?
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