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第三章 フリーター、美少女魔王たちと寮の候補地を視察をする
第15話 JK魔王、森林型ダンジョンを買う
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魔王ドナと話をまとめるため、ドロリィスはオレたちとだけ話し合うこととなった。
「シルヴィア、本当に買うんだな?」
「どうせダンジョンは、卒業過程で作らんとアカンのじゃ。ちょうどええわ。素材の仕入先としても、申し分ないけん」
若き屋台引きに、後悔はないようだ。
「では我々は、運動場で食後の運動をしてくる。込み入った話だから、席を外したほうがいいな」
「ありがとう、ドラちゃん」
「気にするな。商売ごとの話は、よくわからんからな!」
ドロリィス先導で、シルヴィアとドナ以外の女性陣は訓練に向かうこととなった。シビアな金の話になるかも知れんし。
「えー。どうしてあたしまで」
シノブも、みんな同様ブルマーに着替えさせられている。
「泣き言は無用。基礎体力をつけることも、ロボットを扱うのには必要なのですわ」
「わたしがついています。一緒にがんばりましょう、シノブちゃん」
アンとフィーラに腕を引っ張られながら、シノブがグラウンドを走り出す。
「あの、できればロボさんを呼び出してくださいませ。わたくしの召喚獣と戦わせたいので」
「わかった。手加減はしないので。アンネローゼさん」
「問題ございませんわっ」
シノブとアンが、並走する。
「ほいじゃあ魔王ドナに、カズヤさん。詳しい話をしようかのう」
オレたちはシルヴィアとともに、廃校舎の裏にある森の中へ。
「やっぱりええ土じゃ。これなら、ええ作物が採れるけん」
「買うと言っていたが、金はあるのか?」
「建物を買うくらいには、蓄えがあるけん」
シルヴィアが、スマホで通帳残高を見せてくれた。たしかに、この施設を買い取るくらいには問題ない。
「すごいな」
「こーんなガキの頃から、ビジネスしとりますけん」
自分の腰の位置まで、シルヴィアは腕を下げる。
「決め手はなんだったのだ?」
「やっぱり自然じゃのう? ブヒートくんが安心してクラスには、都会はデカすぎて狭すぎるんじゃ」
ブヒートという巨大イノシシを飼うには、それくらい大きな山が必要らしい。エサはシルヴィアの魔力でいいというが、スペース的にはこの広さがほしいという。
「買った後で、ブヒートくんが風呂に入れるようにリフォームできんか?」
「手配しよう」
「頼んます」
シルヴィアは頭を下げる。
「とはいえ、今後の運用方法は、聞かせておいてくれ」
農場にするにしても、それ以上に発展できんのでは? と、ドナはシルヴィアに問いかけた。
「できるけん」
「どうやって? 人は来ないぞ」
屋台の収益だけでは、この建物の賃料は賄えない。なんせ、高級旅館並だ。
「人が来るようにすれば、ええだけじゃ」
「方法は?」
「【道の駅】じゃ」
この校舎周辺に畑を作り、特産品を作るという。それを、廃校の一階で売るのだ。
「ここは寂れた土地じゃが、ネットの口コミをたどれば見つけてもらえるはずじゃ。『秘境』として認識してもらえるじゃろう」
温泉もあるため、レジャー施設としての価値も高い。
「しかし、あんたら魔王だよな? ダンジョンとかはどうするんだ?」
「道の駅っちゅうんは、表向きじゃ」
山の表面は、薬草取りや狩りなどの簡単な冒険用に開放する。
地下に、迷いの森のような遺跡型ダンジョンを設置する予定だという。こちらは、熟練の冒険者用だ。
「なるほど。観光客を装った冒険者たちを、相手にするんだな?」
「そのとおりじゃ」
キャンパーや登山客には、安全に遊んでもらう。冒険者には、配慮する必要はない。
校舎に作った各部屋は、グランピング客の他に、冒険者も泊まってもらうという。
「アーシがつくる道の駅には、ギルドも兼ねとるけん」
「抜かりはないな。気に入ってもらえたか?」
「やはりここの温泉は、手放せん。こんなええ物件、見逃す手はないけん」
俄然、魔王業務にやる気を出している。
「急にどうした? 自分は魔王業なんて柄ではないと、言っていたではないか」
「この場所なら、アーシは喜んで魔王になれる気がするんじゃ。それに」
シルヴィアが、ブヒートを召喚した。しかし、一匹ではない。大きいのと中くらいのと、小さいのが二匹である。
「イノシシたちには、家族がいたのか」
「この子たちが安心して地球に住めたら、アーシも地球で魔王活動がやりやすいのうと思うてな」
「地球にこだわりがあるんだな?」
「たしかに、地球は魅力的じゃ。近代文明もあって、こういう自然も残っておって、雑多な感じがええ。ちゅうても、別に地球じゃなくてもええんよ」
とにかく、地元を離れられればそれでいいと。
「地元は嫌いなんだな?」
「あんましのう」
「表向きは企業グループで、裏では悪の組織って手もあるぜ。それで、地元の目もごまかせるかと」
「親がそれなんじゃ」
苦笑いをしながら、シルヴィアは事情を説明し始めた。
「……アーシの実家は、あんたらの世界でいうところの、『反社』なんよ」
シルヴィアの家系は、バリバリ悪の組織らしい。
「それで、実家が嫌なんだな。難しいなそりゃあ」
親があくどい組織だと、どうしてもその印象が娘にもついて回る。親の力でのし上がったのだろう、と。
「じゃけんアーシは、『あれが親』っちゅうイメージも覆さんとならんのじゃ」
親の後押しがなくてもやれると、周囲に思わせなければならない。
その一心で、シルヴィアは活動を続けていたのだ。
「だから、平和的な世界を望んでいたんだな?」
「まあのう。それでも、切った張ったはついてくるんじゃろうけど。実際、親と同じ道を歩んでおるし……」
「でも、大きな夢じゃないか。オレは応援するぜ」
「ありがとう、カズヤさん」
話がまとまったところで、ドナがシルヴィアの前に立つ。
「では、キーを渡す」
ドナが、ダンジョンポイントを差し出した。
シルヴィアはダンジョンポイントを購入し、晴れてこの建物はシルヴィアのものに。
「リフォームはしてやるが、代金はそちらで頼む」
「まかせんしゃい」
夕飯は、シノブが「ハンバーガーが食べたい」といい出したので、チェーン店へ。
商談成立の祝杯ということで、シルヴィアが全額出すといい出した。
「いや。ここはオレが持とう。みんな、遠慮せずに食べてくれ」
幸い、例の玄室ダンジョンの召喚士がかなりがんばって家賃を納めてくれている。色を付けて払ってくれるので、懐に多少のゆとりがあるのだ。
「あとで請求しろ。接待費として処理してやる」
「いいのか、ドナ?」
「ここでムリをされる方が、こちらとしては堪えるのだ。お前には、企業体力をつけておいてもらわないと」
そのために、金は大事にしてもらいたいとか。
「これ、やってみたかったんじゃ」
シルヴィアが、ポテトをトレイにバサーっとぶちまけた。
「ハンバーガーショップは、人類の宝ですわね」
ポテトをサクサクと食べなが
「ほうじゃ、昔はダイナーっちゅうて、お皿やドリンクバーが当たり前にあったんじゃ。それに対して、包み紙で食べるハンバーガーは画期的だったんじゃ」
ドロリィスも、自分の三段重ねバーガーについていたポテトを、シルヴィアのポテトに混ぜた。
「とあるセールスマンが、そのハンバーガーショップのフランチャイズに動き出した。店が増えたら、自分の売っているミルクセーキも売れると思ってな。ところが堅物な経営陣のせいで、店の方針が変えられない。悩んでいたところ、不動産経営にシフトして会社を乗っ取ったんだ」
「どうやって?」
「建築物ではなく、土地そのものを買い取ったのだ」
「発想が、悪魔的だな」
「悪魔でも、震えが止まらなかった。『こんな抜け道があったとは』とな」
ドナが、蠱惑的な笑みを浮かべる。
翌日、オレたちは例のごとく、崖にある玄室ダンジョンへ。
「すいませーん。売上をいただきに来ましたー」
扉が開いている。
「失礼しまあああああ!」
「ほわあああああ!」
なんと、召喚士は着替え中だった。
しかも、その召喚士には谷間があるではないか。
「あんた、女の子だったの!?」
「シルヴィア、本当に買うんだな?」
「どうせダンジョンは、卒業過程で作らんとアカンのじゃ。ちょうどええわ。素材の仕入先としても、申し分ないけん」
若き屋台引きに、後悔はないようだ。
「では我々は、運動場で食後の運動をしてくる。込み入った話だから、席を外したほうがいいな」
「ありがとう、ドラちゃん」
「気にするな。商売ごとの話は、よくわからんからな!」
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「えー。どうしてあたしまで」
シノブも、みんな同様ブルマーに着替えさせられている。
「泣き言は無用。基礎体力をつけることも、ロボットを扱うのには必要なのですわ」
「わたしがついています。一緒にがんばりましょう、シノブちゃん」
アンとフィーラに腕を引っ張られながら、シノブがグラウンドを走り出す。
「あの、できればロボさんを呼び出してくださいませ。わたくしの召喚獣と戦わせたいので」
「わかった。手加減はしないので。アンネローゼさん」
「問題ございませんわっ」
シノブとアンが、並走する。
「ほいじゃあ魔王ドナに、カズヤさん。詳しい話をしようかのう」
オレたちはシルヴィアとともに、廃校舎の裏にある森の中へ。
「やっぱりええ土じゃ。これなら、ええ作物が採れるけん」
「買うと言っていたが、金はあるのか?」
「建物を買うくらいには、蓄えがあるけん」
シルヴィアが、スマホで通帳残高を見せてくれた。たしかに、この施設を買い取るくらいには問題ない。
「すごいな」
「こーんなガキの頃から、ビジネスしとりますけん」
自分の腰の位置まで、シルヴィアは腕を下げる。
「決め手はなんだったのだ?」
「やっぱり自然じゃのう? ブヒートくんが安心してクラスには、都会はデカすぎて狭すぎるんじゃ」
ブヒートという巨大イノシシを飼うには、それくらい大きな山が必要らしい。エサはシルヴィアの魔力でいいというが、スペース的にはこの広さがほしいという。
「買った後で、ブヒートくんが風呂に入れるようにリフォームできんか?」
「手配しよう」
「頼んます」
シルヴィアは頭を下げる。
「とはいえ、今後の運用方法は、聞かせておいてくれ」
農場にするにしても、それ以上に発展できんのでは? と、ドナはシルヴィアに問いかけた。
「できるけん」
「どうやって? 人は来ないぞ」
屋台の収益だけでは、この建物の賃料は賄えない。なんせ、高級旅館並だ。
「人が来るようにすれば、ええだけじゃ」
「方法は?」
「【道の駅】じゃ」
この校舎周辺に畑を作り、特産品を作るという。それを、廃校の一階で売るのだ。
「ここは寂れた土地じゃが、ネットの口コミをたどれば見つけてもらえるはずじゃ。『秘境』として認識してもらえるじゃろう」
温泉もあるため、レジャー施設としての価値も高い。
「しかし、あんたら魔王だよな? ダンジョンとかはどうするんだ?」
「道の駅っちゅうんは、表向きじゃ」
山の表面は、薬草取りや狩りなどの簡単な冒険用に開放する。
地下に、迷いの森のような遺跡型ダンジョンを設置する予定だという。こちらは、熟練の冒険者用だ。
「なるほど。観光客を装った冒険者たちを、相手にするんだな?」
「そのとおりじゃ」
キャンパーや登山客には、安全に遊んでもらう。冒険者には、配慮する必要はない。
校舎に作った各部屋は、グランピング客の他に、冒険者も泊まってもらうという。
「アーシがつくる道の駅には、ギルドも兼ねとるけん」
「抜かりはないな。気に入ってもらえたか?」
「やはりここの温泉は、手放せん。こんなええ物件、見逃す手はないけん」
俄然、魔王業務にやる気を出している。
「急にどうした? 自分は魔王業なんて柄ではないと、言っていたではないか」
「この場所なら、アーシは喜んで魔王になれる気がするんじゃ。それに」
シルヴィアが、ブヒートを召喚した。しかし、一匹ではない。大きいのと中くらいのと、小さいのが二匹である。
「イノシシたちには、家族がいたのか」
「この子たちが安心して地球に住めたら、アーシも地球で魔王活動がやりやすいのうと思うてな」
「地球にこだわりがあるんだな?」
「たしかに、地球は魅力的じゃ。近代文明もあって、こういう自然も残っておって、雑多な感じがええ。ちゅうても、別に地球じゃなくてもええんよ」
とにかく、地元を離れられればそれでいいと。
「地元は嫌いなんだな?」
「あんましのう」
「表向きは企業グループで、裏では悪の組織って手もあるぜ。それで、地元の目もごまかせるかと」
「親がそれなんじゃ」
苦笑いをしながら、シルヴィアは事情を説明し始めた。
「……アーシの実家は、あんたらの世界でいうところの、『反社』なんよ」
シルヴィアの家系は、バリバリ悪の組織らしい。
「それで、実家が嫌なんだな。難しいなそりゃあ」
親があくどい組織だと、どうしてもその印象が娘にもついて回る。親の力でのし上がったのだろう、と。
「じゃけんアーシは、『あれが親』っちゅうイメージも覆さんとならんのじゃ」
親の後押しがなくてもやれると、周囲に思わせなければならない。
その一心で、シルヴィアは活動を続けていたのだ。
「だから、平和的な世界を望んでいたんだな?」
「まあのう。それでも、切った張ったはついてくるんじゃろうけど。実際、親と同じ道を歩んでおるし……」
「でも、大きな夢じゃないか。オレは応援するぜ」
「ありがとう、カズヤさん」
話がまとまったところで、ドナがシルヴィアの前に立つ。
「では、キーを渡す」
ドナが、ダンジョンポイントを差し出した。
シルヴィアはダンジョンポイントを購入し、晴れてこの建物はシルヴィアのものに。
「リフォームはしてやるが、代金はそちらで頼む」
「まかせんしゃい」
夕飯は、シノブが「ハンバーガーが食べたい」といい出したので、チェーン店へ。
商談成立の祝杯ということで、シルヴィアが全額出すといい出した。
「いや。ここはオレが持とう。みんな、遠慮せずに食べてくれ」
幸い、例の玄室ダンジョンの召喚士がかなりがんばって家賃を納めてくれている。色を付けて払ってくれるので、懐に多少のゆとりがあるのだ。
「あとで請求しろ。接待費として処理してやる」
「いいのか、ドナ?」
「ここでムリをされる方が、こちらとしては堪えるのだ。お前には、企業体力をつけておいてもらわないと」
そのために、金は大事にしてもらいたいとか。
「これ、やってみたかったんじゃ」
シルヴィアが、ポテトをトレイにバサーっとぶちまけた。
「ハンバーガーショップは、人類の宝ですわね」
ポテトをサクサクと食べなが
「ほうじゃ、昔はダイナーっちゅうて、お皿やドリンクバーが当たり前にあったんじゃ。それに対して、包み紙で食べるハンバーガーは画期的だったんじゃ」
ドロリィスも、自分の三段重ねバーガーについていたポテトを、シルヴィアのポテトに混ぜた。
「とあるセールスマンが、そのハンバーガーショップのフランチャイズに動き出した。店が増えたら、自分の売っているミルクセーキも売れると思ってな。ところが堅物な経営陣のせいで、店の方針が変えられない。悩んでいたところ、不動産経営にシフトして会社を乗っ取ったんだ」
「どうやって?」
「建築物ではなく、土地そのものを買い取ったのだ」
「発想が、悪魔的だな」
「悪魔でも、震えが止まらなかった。『こんな抜け道があったとは』とな」
ドナが、蠱惑的な笑みを浮かべる。
翌日、オレたちは例のごとく、崖にある玄室ダンジョンへ。
「すいませーん。売上をいただきに来ましたー」
扉が開いている。
「失礼しまあああああ!」
「ほわあああああ!」
なんと、召喚士は着替え中だった。
しかも、その召喚士には谷間があるではないか。
「あんた、女の子だったの!?」
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