イケメン王子に転生したけど、常時発動スキル【おじさん構文】でヒロイン全員リバースしたZO☆ でも悪い気を取り除くだけだから安心だね❤

椎名 富比路

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第三章 魔王の配下をリバースさせちゃうYO❤

第18話 魔王(おばさん)と対決だZO★

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「いや、ジュライ王子よ。私も同行させていただく」

 勇者は、なおも食い下がる。

「危険ですぞ、お義父ちち上」

 だが、オレは勇者を引き止めた。

「王子よ。あなたから義父と呼ばれるなんて、畏れ多い」

「謙遜なさらないでくだされ」

 もうオレとチチェロの将来は、確定している。これは、揺るぎない。

「それより王子よ、大事なお話が」

……スルーされちまったよ。

「魔王について、お話が」

「知れたこと。元人間なのだろう?」

 オレが推理すると、勇者はコクリとうなずく。

「あの人物は、我々勇者一行とパーティを組んでいた。だが、魔王を討伐した直後に、自ら魔王となり」

「好き勝手に暴れているってわけか」

「同行していた天使と、説得にあたったのですが……」

「もうよい。自分を責めなさんな」

 あとは、オレに任せていただきたいんだが。

「勝手ながら、私にも、お手伝いできることが」

「ぶっちゃけ。あなたにできることは、ないぞ」

「王子!」

 そうは言っても、本当になさそうなんだよなあ。

 魔王より強いって、どう考えても同じ転生者ってことじゃん。

 こんな地球のテクノロジーを、平然と使うような相手だ。

 勇者が敵うはずがない。
 
「とにかく、案内だけはしてくれ。そこから、考えよう」

 勇者を先頭にして、魔王のいるフロアへ。
 
 
「現実はクソ!」

 魔王のフロアに入った途端、アレな発言が飛び交った。

「あらら。四天王がみーんな、やられちゃったの? あーもう! ファンタジー世界でも、現実はクソだわ! ちっとも、うまくいかないじゃない!」

 どうやら、この世界の魔王は女性らしい。
  見た目こそ美しいが、オレにはわかる。根性が、黄土色だ。
 言霊を操る能力持ち同士だから、わかる。
 このオンナの正体は、「五〇代のババア」だ。
  
「お前が魔王か?」

「そうYO★ 推しの男性声優が結婚して、ショックで転生したのYO★ で、神様に『魔法使いにして』ってお願いしたんだけどね。強くはなったけど、モテなくて」

「お前の推しってのは、もしかして……では?」

 オレは、心当たりのある人物の名前をあげた。
 
「よく知ってるじゃない? あなた、こっちの世界の住人じゃないわね?」

「そうだ。オレも、相手方の声優さんが結婚して、こっちに転生したんだ」

「因果なものNE◇ 推し同士が結婚したせいで、転生するなんTE♣」

「能力を私物化するようなやつと、一緒にするんじゃねえ」
 
 オレはコイツみたいに、魔法を私利私欲のために使わない。
 
「欲望を解放することにこそ、意味があるんでしょ?」

「それでは、愛されなくて当然だ。現にお前の側には、誰もいないじゃないか」

「ええそうよ! 家庭は崩壊! 組んだパーティは全滅! 祖国の治安も悪化したわ! でも、それがどうしたってのよ! あたしは困ってないわ! あたしが魔王になればよかったから!」

 祖国が滅び、彼女は猛烈な勢いで魔王を討伐した。しかし、彼女は自ら魔王になってしまったのだ。

「そんな。人間が、魔王に成り代わるなんて」

 信じられないという表情を、チチェロが見せる。
 
「うむ。私は天使とともに、あのオンナを説得したのだ。しかし、結局は負けた。その過程で、魔王の配下として洗脳されてしまったのだ」
 
 四天王とやらは全員、勇者の元パーティだったらしい。
 しかし、魔王となった魔法使いによって、みんな魔物に姿を変えられてしまった。

「なんという卑劣な! 覚悟!」

 クッコ姫が、我先にと切りかかった。

「あらら~。威勢の良いお嬢ちゃんNE◇ でも【スキル:ソニックスラッシュ】なんて、光の精霊ちゃんにごあいさつが足りてないんじゃなくて? もっと魔力を注ぎ込まなきゃ、いうことを聞いてくれないわYO❤」


「おえええええええええええ!」

 攻撃が辿り着く前に、姫が急ブレーキをかける。そのまま、床をキラキラで汚す。

「まったく。鈍いわNE♤ そんな力で、よくここまで戦えたものだWA◆」

 杖で、クッコ姫を殴り飛ばす。


「クッコ姫!?」
 
 チチェロが、姫をキャッチした。

「ま、魔王が……ジュライ王子と、同じ能力を!」
 
「あいつの魔力は、サキュバスなんて比ではない。脳に直接不快な魔力を流し込んできている! ジュライ王子より、粘り気があるぞ。なにより、怖気がすごい」

 オレより欲望の塊なせいで、不快指数がとんでもなく跳ね上がっているのか。

「違う。これは【おばさん構文】だ」

 おばさん構文とは、オレの持つ【おじさん構文】と対をなす言語だ。

 オレも昔、メッセアプリに構文を送ってこられたことがある。
 送り主は、取引先のおばさんだ。
 相手との距離感を考えずに送るので、寒気がする。

 こんな身近に、同じ能力者が転生していたとは。

「これはアレだな。おおかた、自分の能力に溺れたか」
 
 オレの前に転生して、一足先に魔王を討伐したはよかった。
 が、自分のチートぶりに慢心して、世界にいうことを聞かせようと動き出したのだろう。

 女神はコイツのヤバさを見抜いていたから、予防線としてオレを雇ったのかも知れない。


「二人まとめて、あの世へ送ってやる! なにより勇者の娘! こいつは推しを奪ったやつに似てるから、気に食わん!」

 勝手にブチギレている魔王が、怒りに任せて火球を杖から打ち出した。

「そこまでだ。おばさん」
 
 オレは、チチェロと姫の前に立つ。手をかざして、障壁を張った。

 敵の魔法が、障壁に当たって霧散する。
 
 これは、オレが戦うしかあるまいて。

「やはり、オレだけで戦う」
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