イケメン王子に転生したけど、常時発動スキル【おじさん構文】でヒロイン全員リバースしたZO☆ でも悪い気を取り除くだけだから安心だね❤

椎名 富比路

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第三章 魔王の配下をリバースさせちゃうYO❤

第15話 魔王の配下を、リーバスさせたぞ☆

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 いよいよ魔王の根城へ、近づいてきた。 

 フゥヤの故郷、インキャーパレスに到着する。
 そこで、本格的な支度をするのだ。

「インキャーパレスへ、ようこそ。我が娘フゥヤスノスキも無事で、こちらも安心ですぞ」

 領主らしき男性が、代表としてクッコ姫と対話する。

「ここまで、よく持ちこたえた。感謝する」

「いえ。クッコ姫直々にお見えにならなければ、こちらもどうなっていたか」

 ソワソワしながら、領主は語った。
 なにか、あったのだろうか?

「こちらで、勇者が戦っているだろう? こちらは、そのおかげで街として機能しているのでは?」

「はい。たしかにそうなのです。勇者殿は、よく戦ってくださいました。つい先日までは」

 領主は、不穏な言い方をした。

「どうしたっスか?」

「ここ最近のことですが、勇者様がお見えになっておりません」

 いつもはインキャーパレスの宿を借りつつ、魔王軍を潰してはこちらに帰って来て、また討伐に向かうという毎日だったらしい。
 それが、途絶えてしまった。

 勇者の娘であるチチェロが、沈んだ顔になる。

「いよいよ魔王城の深淵に、到達したのかもしれません。おそらく、魔王に最接近したのだろうと、こちらは期待しているのですが、なんの知らせもないと心配でして」

 領主の話を聞いて、姫は私兵をすべてこちらに残すことになった。

「フゥヤ殿も、お父上のそばについてあげなさい」

「うっす」

 人命救助なら、スケルトンは役に立つ。しかし魔王城ともなると、そうもいかない。
 父親も相当腕のたつネクロマンサーだが、魔王がガチめに攻め込んできたら、苦戦を強いられよう。

「心配だな。チチェロ」

「はい。父になにがあったのか」

「大丈夫だ。オレがキミを守る」

「ジュライ王子! これはわたしたち家族の問題です。王子は、いざとなれば我々を見捨てて逃げて」

「バカを言うでない!」

 卑屈になっていたチチェロを、オレは叱責した。

「オレには、チチェロが必要だ。キミのお父上に、『オレがチチェロの夫になったので』と、ごあいさつしないとNE」

「うえ……ありがとうございます」

 わずかに口を抑えたが、チチェロは笑顔を取り戻す。

 ドーン! と、外で音がした。

「なにがあった!?」

 領主が、席を立つ。

 窓の向こうに、外壁が崩れる光景が映った。

 なんだ、あのデカい魔物は……。
 この間倒した、召喚士が喚び出したデーモンより、はるかに巨大ではないか。

「行こう!」

「ジュライ王子! 無謀だ!」

「クッコ王女よ。オレがいかねば、誰がやるんだ? チチェロ、ついてこい!」

 チチェロも、「はい王子」と、剣を携え直す。

「こいつを使え。役に立つぞ」

 移動の際、オレはサーベルをチチェロに託した。

「ジュライ王子の私物ではありませんか! こんな大事なもの、使えません!」

「キミが使ったほうが、凄まじい働きをする。どうか、これで街を守ってくれ」

 今にも、魔物たちが街に入ろうとしている。

「急げ!」
 
「……ジュライ王子。仰せのままに! 【アクセル・トラスト】」

 群がる魔物たちを、チチェロは風属性魔法を込めた突きトラストで吹き飛ばす。

 あれだけ殺到していた魔物共が、瞬殺とか。いくら密集していたとはいえ。
 オレの装備って、チートすぎだろ。やっぱり、チチェロに持たせておいたほうが、強いじゃん。

「最後は、あなただけです! 【アクセル・トラスト・キック】!」

 風属性魔法を込めた回転をかけて、チチェロが竜巻のような蹴りを放った。魔物の胸板にドンと、足刀を叩き込む。
 
 しかし、モンスターはビクともしない。

「ガハハハ! 魔王四天王が一人、この魔将軍さまに勝てるわけがなかろう!」

「キャハハ! おパパつよつよ~」

 ボンテージのワンピースを着たツインテールのガキが、魔将軍の肩の上で手を叩く。

 チチェロは何度も攻撃を浴びせているが、魔将軍とかいうやつにはまったく通じていなかった。

 それにしても、あのメスガキはよくあれだけ暴れている父親の上で、平然と座っていられるな……む?
 
「効かない!」

 わかったぜ。やつの強さの秘密が!
 
「いや、チチェロ。もう一発叩き込んでやれ。今度は、オレの剣で」

 オレにいい方法がある。
 
「はい。アクセル・トラスト!」

 剣を構えて、再度チチェロが突きを繰り出した。

『風の精霊ちゃん、またまたおはー。オレのヨメに、ほんのちょっとサポートをプリーズ★ でも嫉妬しちゃ……ダ❤メ❤ダ❤ゾ❤』

「ぐええええええええええええ!」

 イキっていたメスガキが、父親の上でキラキラを吐く。そのまま、失神した。

「し、しまった! 防護結界が!?」
 
 やはりな。娘に結界を張らせて無敵になっていたか。

「今だチチェロ。引導を渡してやれ」

「アクセルッ! トラストォ!」

 チチェロは最大級の魔法を込めたスラストによって、魔将軍の心臓を一突きした。
 
 父親と一蓮托生だったのか、魔将軍が絶命するとメスガキも消滅する。

「おおお。追い払うのがやっとだった魔将軍を、たった一人で」

「いえ。ジュライ王子のサポートのおかげです」

 インキャーパレスの領主から感謝の言葉を述べられ、チチェロは謙遜した。

「……王子、新手が!」
 
「な!」

 クッコ姫の叫びに、オレは反応した。

 オレがいたところには、敵の攻撃の跡が。

 クッコ姫が呼びかけてくれなかったら、オレは敵の剣に貫かれていただろう。

「一撃をかましただけで、逃げていったようだな」

 姫が周囲を見回して、無事を確認した。
 

 チチェロが、攻撃の着弾地点に手を触れる。

「この攻撃の痕跡は……父の」
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