イケメン王子に転生したけど、常時発動スキル【おじさん構文】でヒロイン全員リバースしたZO☆ でも悪い気を取り除くだけだから安心だね❤

椎名 富比路

文字の大きさ
上 下
13 / 19
第三章 魔王の配下をリバースさせちゃうYO❤

第13話 街を襲ってきた盗賊団を、懲らしめちゃうZO❤

しおりを挟む
 教えてもらった村に到着すると、ほとんど荒れ地となっていた。

「ひどい有り様だな」

 人っ子一人いない。
 みんな、殺されてしまったのか?

「ジュライ王子。近くの街に、住民は避難しているそうだぞ」

 高い塀が印象的な、街に到着する。

「クッコ・ローゼンハイムだ。話は通っているか?」

「はっ。クッコ王女。お通りください」

 前もって、伝達用の鳩をこの街に放っていた。
 おかげでスムーズに、街に入ることができる。

 街の冒険者ギルドで、話を聞くことに。
 受付であいさつをすると、黒いアイパッチをしたオッサンが、カウンターの奥から出てきた。彼が、ここのギルドマスターらしい。
 
「村人は、我々が保護している。しかし、よその国との交易ができない状態だ」

 ギルマスが、腕を組みながら話す。
 
「たしかに。父ローゼンハイム王によると、『ここのエールやコメは超ウマい』との話だったが」

「今や、収穫できなくなって久しい」
  
 村人の大半は、近くの街に逃げてしまったという。村を取り戻したくても、その度に盗賊団の襲撃を受けるらしい。

「海路や陸路を独占することが、奴らの目的だったようだ」

「勇者は、なにもできなかったのか?」

「一人じゃムリさ。冒険者の力を借りなければ」

 勇者一人ががんばっても、いたちごっこが続く。
 一つの盗賊団を潰したところで、他の地点に別の盗賊団が結成される。

「奴らを操っているのが、元サブのギルドマスターだ」

「なんでまた、サブのギルマスが、こんなことを」

「魔王に買収されたのだ。まったく。元々意思の弱いやつだったが、カネに目がくらんで魔王にこちらの情報を売っていたのだ」

 それがバレて追放され、今は完全に魔王側についているという。

「バカが! 国民としての誇りはないのか!?」

「あいつにはねえよ。昔っからな」

 憤るクッコ姫に対し、ギルマスは諦観をにじませる。

 サブマスは魔術師としての腕こそ一流だが、人間性は最悪な人物だったらしい。

「気をつけろよ。俺の目も、あいつの毒にやられたんだ」

 ギルマスが、自分の目を指差す。

「盗賊団だ!」

「この街にも、やってきたか」

「割と、しょっちゅう現れるんだぜ」

「ふむ。では、二度と来たくなくなるように、返り討ちにしてやろう」

 オレがいうと、チチェロたちもうなずいた。


 外壁の外では、盗賊がはしごを使ってよじ登ろうとしている。

「フゥヤ! 壁を守れ!」

「イエッサーっス」

 フゥヤがミニオンを配置し、はしごを次々と外す。

 はしごを倒された盗賊たちが、落下していった。

 反撃の火矢も、フゥヤのスケルトンには通じない。

「今だ。突撃しろ!」

 騎士団が突撃し、チチェロが盗賊団のリーダー格を吹っ飛ばす。

「クソが! 先生、お願いしますぜ!」

「ぐおおおおお!」

 牛の頭を持つ大男が、デカい棍棒を持って現れた。

「ミノタウロスだと!?」
 
 クッコ姫が、兵隊を下げる。

「サブマスターだが、ヤロウはモンスターテイマーだ。モンスターを手なづけちまう」

「おのれ!」

 ミノタウロスの腹に、クッコ姫が突きを食らわせた。
 中級程度の魔物なら、たやすく貫ける。ミノタウロスも、同様のはずだった。

 ミノタウロスの腹はなぜか、クッコ姫の剣戟を弾き飛ばす。
 
「なに!?」

「がああああ!」

 ミノタウロスの棍棒が、クッコ姫に迫ってきた。

「姫様、危ない!」

 チチェロが姫に飛びかかって、かばう。

 その拍子に、棍棒がチチェロの足にひっかかった。

「わあああああ!」
 
 クッコ姫を抱えたまま、チチェロが横へ何度も回転する。
 
「おっと!」

 猛烈な勢いで向かってくる二人を、オレは風の魔法で減速させた。回転が収まった二人を、抱きしめる。

「大丈夫か?」

「わたしも姫も、ケガはありません。しかし、酔ってしまって」

 まだ、三半規管が戻っていないようだな。

「休んでいろ。ここはオレがやる」

「ムチャっすよ! ここはボクが」

「お前のスケルトンは、ぶっ飛ばされているぞ」

 フゥヤのミニオンたちは、ミノタウロスに手も足も出ない。

「動ける奴らは、住民の避難と盗賊団の捕縛を優先! ミノタウロスは、オレに任せろ!」

 オレは言霊によって、強制的に周りへ指示を送った。
 言霊をこうやって使っていいものか、わからないが。

「さて、ミノタウロスくん。遊んであげようNE」

「がああああ!」

 ミノタウロスが、オレに向かって棍棒を振り上げた。

「はーい。地の精霊ちゃん、ご☆ぶ☆さ☆た❤ この牛ちゃんに、泥をごちそうしてあげたいんだよ☆ねっ」

 オレは、詠唱を行う。

『ぼえええええええ!』

 木々が、盛大に樹液を吐き出した。
 樹液は土と混ざり合い、粘り気のある泥へと変化する。

 巨体を支えきれるはずもなく、ミノタウロスは重力のままに底なし沼へと落ちていった。もがけばもがくほど、ミノタウロスは足や手を取り込まれて沼へと沈んでいく。

「もっと沼らせてあげよう、NE」

 オレは、ウインクをする。

「ぎょぼえええええええええええ!」

 ミノタウロスまで、虹色のキラキラを吐き出す。

 泥とキラキラが合わさって、さらに粘り気が増した。

 ついにミノタウロスは、手の先だけ残して沼に首まで浸かる。最終的に、ボン、と、灰に変わった。
 
「やべえ。なんてヤロウだ」

 ギルマスが、目を丸くしている。

「てっきり王子様ってのは、お飾りヤロウだって思っていたぜ。あんた、大したもんだ」

「それほどでもない。みんなのがんばりがあってこそ、オレたちは勝利を手に入れたのである」

「はは。最高だぜあんた」
 
 聞き込みの結果、近くの山奥に盗賊団のアジトがあるそうだ。
 黒幕のサブマスも、そこにいるという。
 
 ふむ。行ってみようかNA☆
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界をスキルブックと共に生きていく

大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。

処理中です...