イケメン王子に転生したけど、常時発動スキル【おじさん構文】でヒロイン全員リバースしたZO☆ でも悪い気を取り除くだけだから安心だね❤

椎名 富比路

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第三章 魔王の配下をリバースさせちゃうYO❤

第13話 街を襲ってきた盗賊団を、懲らしめちゃうZO❤

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 教えてもらった村に到着すると、ほとんど荒れ地となっていた。

「ひどい有り様だな」

 人っ子一人いない。
 みんな、殺されてしまったのか?

「ジュライ王子。近くの街に、住民は避難しているそうだぞ」

 高い塀が印象的な、街に到着する。

「クッコ・ローゼンハイムだ。話は通っているか?」

「はっ。クッコ王女。お通りください」

 前もって、伝達用の鳩をこの街に放っていた。
 おかげでスムーズに、街に入ることができる。

 街の冒険者ギルドで、話を聞くことに。
 受付であいさつをすると、黒いアイパッチをしたオッサンが、カウンターの奥から出てきた。彼が、ここのギルドマスターらしい。
 
「村人は、我々が保護している。しかし、よその国との交易ができない状態だ」

 ギルマスが、腕を組みながら話す。
 
「たしかに。父ローゼンハイム王によると、『ここのエールやコメは超ウマい』との話だったが」

「今や、収穫できなくなって久しい」
  
 村人の大半は、近くの街に逃げてしまったという。村を取り戻したくても、その度に盗賊団の襲撃を受けるらしい。

「海路や陸路を独占することが、奴らの目的だったようだ」

「勇者は、なにもできなかったのか?」

「一人じゃムリさ。冒険者の力を借りなければ」

 勇者一人ががんばっても、いたちごっこが続く。
 一つの盗賊団を潰したところで、他の地点に別の盗賊団が結成される。

「奴らを操っているのが、元サブのギルドマスターだ」

「なんでまた、サブのギルマスが、こんなことを」

「魔王に買収されたのだ。まったく。元々意思の弱いやつだったが、カネに目がくらんで魔王にこちらの情報を売っていたのだ」

 それがバレて追放され、今は完全に魔王側についているという。

「バカが! 国民としての誇りはないのか!?」

「あいつにはねえよ。昔っからな」

 憤るクッコ姫に対し、ギルマスは諦観をにじませる。

 サブマスは魔術師としての腕こそ一流だが、人間性は最悪な人物だったらしい。

「気をつけろよ。俺の目も、あいつの毒にやられたんだ」

 ギルマスが、自分の目を指差す。

「盗賊団だ!」

「この街にも、やってきたか」

「割と、しょっちゅう現れるんだぜ」

「ふむ。では、二度と来たくなくなるように、返り討ちにしてやろう」

 オレがいうと、チチェロたちもうなずいた。


 外壁の外では、盗賊がはしごを使ってよじ登ろうとしている。

「フゥヤ! 壁を守れ!」

「イエッサーっス」

 フゥヤがミニオンを配置し、はしごを次々と外す。

 はしごを倒された盗賊たちが、落下していった。

 反撃の火矢も、フゥヤのスケルトンには通じない。

「今だ。突撃しろ!」

 騎士団が突撃し、チチェロが盗賊団のリーダー格を吹っ飛ばす。

「クソが! 先生、お願いしますぜ!」

「ぐおおおおお!」

 牛の頭を持つ大男が、デカい棍棒を持って現れた。

「ミノタウロスだと!?」
 
 クッコ姫が、兵隊を下げる。

「サブマスターだが、ヤロウはモンスターテイマーだ。モンスターを手なづけちまう」

「おのれ!」

 ミノタウロスの腹に、クッコ姫が突きを食らわせた。
 中級程度の魔物なら、たやすく貫ける。ミノタウロスも、同様のはずだった。

 ミノタウロスの腹はなぜか、クッコ姫の剣戟を弾き飛ばす。
 
「なに!?」

「がああああ!」

 ミノタウロスの棍棒が、クッコ姫に迫ってきた。

「姫様、危ない!」

 チチェロが姫に飛びかかって、かばう。

 その拍子に、棍棒がチチェロの足にひっかかった。

「わあああああ!」
 
 クッコ姫を抱えたまま、チチェロが横へ何度も回転する。
 
「おっと!」

 猛烈な勢いで向かってくる二人を、オレは風の魔法で減速させた。回転が収まった二人を、抱きしめる。

「大丈夫か?」

「わたしも姫も、ケガはありません。しかし、酔ってしまって」

 まだ、三半規管が戻っていないようだな。

「休んでいろ。ここはオレがやる」

「ムチャっすよ! ここはボクが」

「お前のスケルトンは、ぶっ飛ばされているぞ」

 フゥヤのミニオンたちは、ミノタウロスに手も足も出ない。

「動ける奴らは、住民の避難と盗賊団の捕縛を優先! ミノタウロスは、オレに任せろ!」

 オレは言霊によって、強制的に周りへ指示を送った。
 言霊をこうやって使っていいものか、わからないが。

「さて、ミノタウロスくん。遊んであげようNE」

「がああああ!」

 ミノタウロスが、オレに向かって棍棒を振り上げた。

「はーい。地の精霊ちゃん、ご☆ぶ☆さ☆た❤ この牛ちゃんに、泥をごちそうしてあげたいんだよ☆ねっ」

 オレは、詠唱を行う。

『ぼえええええええ!』

 木々が、盛大に樹液を吐き出した。
 樹液は土と混ざり合い、粘り気のある泥へと変化する。

 巨体を支えきれるはずもなく、ミノタウロスは重力のままに底なし沼へと落ちていった。もがけばもがくほど、ミノタウロスは足や手を取り込まれて沼へと沈んでいく。

「もっと沼らせてあげよう、NE」

 オレは、ウインクをする。

「ぎょぼえええええええええええ!」

 ミノタウロスまで、虹色のキラキラを吐き出す。

 泥とキラキラが合わさって、さらに粘り気が増した。

 ついにミノタウロスは、手の先だけ残して沼に首まで浸かる。最終的に、ボン、と、灰に変わった。
 
「やべえ。なんてヤロウだ」

 ギルマスが、目を丸くしている。

「てっきり王子様ってのは、お飾りヤロウだって思っていたぜ。あんた、大したもんだ」

「それほどでもない。みんなのがんばりがあってこそ、オレたちは勝利を手に入れたのである」

「はは。最高だぜあんた」
 
 聞き込みの結果、近くの山奥に盗賊団のアジトがあるそうだ。
 黒幕のサブマスも、そこにいるという。
 
 ふむ。行ってみようかNA☆
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