イケメン王子に転生したけど、常時発動スキル【おじさん構文】でヒロイン全員リバースしたZO☆ でも悪い気を取り除くだけだから安心だね❤

椎名 富比路

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第二章 魔法科学校に入ったら、女子生徒全員がリバースしたぞ

第9話 ダンジョン攻略の後は、愛妻弁当DA❤ZO

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「ふむ、気を取り直して、食事にしよう」

「ジュライ王子は、元気ですね。あれだけ言霊を使用したのに、ピンピンしているなんて」

 青ざめた顔で、チチェロがレジャーシートを地面に敷く。

 シートは日本だとゴザとかビニールである。
 異世界だからか、シートは布製だ。

「おお、リクエスト通りの品だな」

 お弁当は、爆弾おにぎりである。


「王子、それを食べますの? もっとサンドイッチとか、おしゃれな品をご用意するものかと」

 縦ロールお嬢様が、ランチをたしなみながらこちらを観察していた。
 ちなみに彼女のグループは、アフタヌーンティーセットである。しかもテーブルと椅子まであった。

「キミたちみたいなお菓子ばかりのメニューだと、お腹が空いてしまうのだよ。ガッツリしたものがほしいのだ」

 炭水化物ばかりなので、脳に満腹スパイクがかかって眠くなってしまう。が、それでも食いたい。

「わかるぜ、王子。男はどっしりしたものが食いてえよな」

「初めて、王子に親近感が湧いたぜ」

 男子生徒が、オレの弁当をうらやましがる。
 彼らの昼食も、小洒落た料理ばかり。

「こんなワンパクすぎるメニュー、初めて作りました。お口に合いますかどうか」

「会うに決まってるだろ? 愛妻弁当なんだZO」

「うっぷ……」

 チチェロが、茂みに引っ込んでいった。

「大丈夫か?」

 オレが声をかけると、チチェロは手を上げただけで答える。

「いただきます」
 
 もっしゃもっしゃと、ノリに巻かれたおにぎりにかぶりつく。

「うんま!」
 
 爆弾おにぎりの具材は、卵焼き、ほぐした川魚の身である。
 添え付けのタクアンをボリボリとかじると、また格別なのだ。異世界にお漬物の文化があってよかったぁ。ピクルスがあったからタクアンも行けるだと思って、自分で付けてみたのだ。
 チチェロ特製のピクルスも、最高である。酸味がきつくない、優しい味だ。

「チチェロさん、平民だと思ってバカにしていたけど、こんなの作ってくれるのかぁ。いいなあ」

「オレも、チチェロさんみたいな嫁がほしい!」

 強さがわかったからか、チチェロを呼び捨てにする男子はいなくなった。

「いや、諸君らのメイドさんも、すばらしい食事を用意してくれているではないか。味だけじゃなく、栄養のバランスまでしっかりと考えている。主のために作っている弁当なのだ」

「だな! ありがたくいただくぜ」

 オレが告げると、男子生徒たちもメイドさんの評価を改めたようだ。

 うんうん。いいことだ。

 しかし、メイドさんは主人を差し置いて、木陰に引っ込んでしまったが。
 
「チチェロさん、すごいっスね。めちゃくちゃうまいっス」

 フゥヤは、爆弾おにぎりをおすそ分けしてもらっている。

「ありがとうございます」

「でもジュライ王子、いいんスか? ボクまで幸せのおすそ分けをいただいて」
 
 フゥヤの弁当代は、オレが出した。

「遠足当日は、仕出しを買うから」というフゥヤに、「あなたの分も作る」と、チチェロが自費でおにぎりを作ろうとしたのである。

「遠慮するでない。チチェロの学友は、オレにとっても学友だ」

 主たるもの、侍女が懇意にしている友だちの弁当代を出させるわけにはいかん。
 これで仲良し。万事OKだ。

「王子って、マジそういうところ、イケメンなんスよねえ」

「人として、当然だろ。イケメンなんかではないぞ」

「でも、そうそうできることじゃないっスよ」

 だとしたら、貴族はあまり使用人には金をかけないのか?

「キミは、侍女を連れていないんだな?」

「そうっス。寮生活なので、基本は一人暮らしっス」

 ネクロマンサーの、訓練なんだそうだ。
 使用人はスケルトンで代用するように、王族からは指示されているらしい。
 ネクロマンサーは、寝てるときでさえ配下ミニオンを操れなければならないという。

 さすが、魔王の領土にもっとも近い国だ。面倒な一族である。

「料理はできないんだな」

「スケルトンには、舌も胃袋もないっスからね」

 いつもは、栄養補給のマジックポーションゼリーばかりなのだとか。

「ならば、うちから登校すればいい。客間は空いているぞ」

「ええ!? いやいやいや! そこまでしていただくわけには!」

「寝ているときでさえ、狙われるなんて、よほど安心して眠れていないんだろう? ならば、チチェロと共に就寝すればいい。その方が、チチェロも客間で眠れる」

 オレが何度言っても、チチェロは「使用人室で寝る」と言って聞かない。

「そ、それは、王子が自分の部屋で添い寝しろって言ってくるから……」

 チチェロが、頬を染める。


「どうして遠慮する必要がある? チチェロはオレの本妻だ。拒否権はないとは言わんが、比較的自由に過ごす権利はあるはずだ。ぜいたくしても、バチは当たらんだろ」

「当たりますよっ! もう……」

 オレタチのやり取りをみて、フゥヤはウンウンとうなずく。

「事情はわかったっス。では、ありがたくお部屋でおやすみさせていただくっス」

「よいのか?」

「このままだと、チチェロさんは一生ふかふかベッドで寝ないっス。だったら、その口実を作ってあげるっスよ」

 フゥヤの心意気、すばらしいな。

「でも、わたしが緊張してしまいます」

「どうってことないっスよ。毎晩パジャマパーティするっス」

 そうすれば、次第に眠くなってくるだろうとのこと。

「それがいい! ぜひそうしてくれ。あー。これでチチェロを、温かい布団で寝させることができるぞ」

「ホントに、心根だけはイケメンなんスよねえ、王子って」
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