イケメン王子に転生したけど、常時発動スキル【おじさん構文】でヒロイン全員リバースしたZO☆ でも悪い気を取り除くだけだから安心だね❤

椎名 富比路

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第二章 魔法科学校に入ったら、女子生徒全員がリバースしたぞ

第7話 詠唱の授業で、先生が吐いたZO❤

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「今日は、ダンジョンで遠足でぇす」
 
 担任のヒリング先生による引率で、ダンジョンのある山へ向かう。

「お弁当は、持っていますかぁ? 忘れた人はぁ、学校を出ないうちにぃ、購買で買ってきてくださぁい。サンドイッチが安いですよぉ。イヤン、『先生がおっぱいで挟んで』だなんてぇ!」

 容赦ないヒリング先生のセクハラ下ネタに、生徒全員がドン引きする。

「ダンジョンへ向かう前に、詠唱のチェックでぇす。マジックポーションは大量に用意していますのでぇ、安心してムダ打ちしてくださいねえ。イヤン、ムダ打ちなんてぇ!」
 
 ヒリング先生は「アハァン」と、教育者らしからぬ嬌声を上げた。
 
  よく、教師の試験が通ったな。
 この人の前世は、サキュバスかなにかでは?


 気を取り直して、詠唱の授業となる。

「火の精霊よ、我が呼びかけに応え、眼前の敵を焼き尽くせ。【ファイアボール】!」

 男子生徒が、手から火を放つ。

「はい。詠唱はバッチリなんですがぁ、威力が低いですねえ。魔力増強の鍛錬が、足りていませんねえ。実戦は、ウソをつきませんよぉ」

 ヒリング先生はふざけているように見えて、生徒の動向をちゃんと見ている。

 練習が足りていなければ、必ず指摘をした。

 振る舞いはサキュバスながら、学校から信頼はされているらしい。

 伯爵令嬢こと、縦ロールの番となる。
 名前は、なんだっけ?

「燃え尽きなさいませ。【ファイアボール】!」

 縦ロールが、手から炎の玉を発射した。

 カカシ用の丸太が、半分吹き飛ぶ。

 短い詠唱ながら、すごい威力だ。
 
「はい、イヤミンティアさん。よくできましたぁ」

「ありがとうございますわ」

「ですが、燃え方が雑ですねぇ。灰の状況が、不規則でぇす。言霊を、発揮しきれていませぇん。詠唱を簡略化させ過ぎですねぇ。ただし、パワーをセーブして発動するなら、それでいいですよぉ」

「普段から下僕の尻に火を付けているせいか、クセで」

 どんな生活をしているんだろう、この悪役令嬢は。

「続いては、チチェロさん。どうぞ」

「はい」

 チチェロが現れただけで、場の空気が変わる。
 最初こそ「平民の詠唱なんて、見る価値などなかろう」と、雑談をしていた。
 しかし、チチェロからただならぬ魔力が放出されると、周囲は黙り込む。

「……火の精霊よ、我が呼びかけに応え、眼前の敵を焼き尽くせ。【ファイアボール】」

 静かに、チチェロが火球を放つ。

 丸太が、一瞬で灰になる。

「どう、でしょう?」
 
「これは、やりすぎでぇす」

 ヒリング先生が、頭を振った。

 他の生徒も、青ざめている。

「ファイアボールとは、そういう魔法ではありませぇん。攻撃魔法の、基本形でぇす。これでは、必殺技の領域になっちゃいますねえ。うかつに放てば、街にまで被害が及ぶでしょ~」

 たしか国民的特撮番組である光の巨人も、初代の光線は「基本形」らしいね。なのにそれを必殺技の領域まで昇華させたから、初代がいかに偉大なのかを証明しているという。

 チチェロって、そういう素質があったのか。
 
「す、すいません」

「いえ。魔力練度は、最高クラスですのでぇ。確実に魔物を倒すなら、これくらいドカーン! とぶつけたほうがいいですよぉ」

「ありがとうございます。失礼します」

 よくやったぞ、と、オレはガッツポーズでチチェロを励ます。

 チチェロが、わずかながら反応した。
 
 全員の魔法詠唱が終わり、オレの番となる。
 

「ジュライ王子、どうぞぉ」

「ムフフ。真打ちは最後に登場する。全部掻き出してあげるからNE」
 
 女子全員が「ウップ」と、口を抑えた。

「おえ、で、では、王子、どうぞ」

 先生に促され、オレはポーズを取る。
 
「精霊ちゃんおはー。すぐ来てこの丸太で一緒にキャンプファイアしよう。そして二人で、朝まで語り尽くすんだ。もちろん全裸で(コラ。受け止めて。【ファイアボール】❤」

 オレは投げキッスの要領で、手から火球を放出した。
 願ってもいないのに、火の玉はハート型になっている。

 フヨフヨと、ハートの火は標的に向かっていく。

 
「おっげええええええええええええ!」

 

 クラス全員が、キラキラをリバースした。


「うええええええええええ! オロロロロロロロ!」
 
 先生まで、木陰に隠れて戻している。


「こ、ここまでとは。すごすぎですね。王子」

 なんの魔法も発動していないのに、先生がマジックポーションをがぶ飲みした。

 チチェロもフゥヤも、縦ロール令嬢も。
 それでも全員、吐き気がおさまらないようだ。
 
「言霊が直接脳に響くとか、とんでもないですねぇ。制御不能のようですし」

「どうも、そうらしいですな!」

「でも、見てください」

 先生が、カカシ丸太を指差す。


「丸太が……溶けてるぞ!」
「なんだあれ!」
「物理法則、どうなってるんだよ!」
「王子、チートすぎ!」
 
 男子生徒たちが、驚愕している。

 オレも、ここまでの結果になるとは思っていなかった。

「これって、判定はどうなるんでしょうかね、先生」

「合格、っちゃあ合格なんですが。ワタシも、初めて見たケースでしてぇ」

「おお、オレ、先生の初めて奪っちゃったんですNE」

「おげえええええええええええええ!」

 また先生は嘔吐し、ポーションを飲み干す。
 それ、胃薬かなにかなの?

「はあ、はあ。ジュライ王子。あなたの魔法なんですが」

「はい先生」

「実は、ファイアボールが着弾する前に、あの丸太は溶け出していたんですよねぇ……」

 なんですと?
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