家庭菜園物語

コンビニ

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4章

くださいな

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★エリゼ視点

 リリアさんの誘拐事件については無事解決はしたが、家に帰った後に一悶着があった。
 なんせ、伝説上の人物である国母様だけでなく、もう1人のハイエルフであるモモまで連れてきたので、城の中もそうだけど、父上やルーク、騎士団長を含めたその他の連中が大騒ぎしている。

「ルーク、私に挨拶をしにくる暇があるなら、リリアちゃんの側にいなさい。これは命令です」

 モモが厳しめな口調でルークに命令をして、直ぐにルークは席を外すことになったが、団長、副団長も席を外したそうにしている。

「ライアン君だったよな。私もモモも疲れている。君以外は下がらせてもいいよ」

 さくらさんの発言に周りの人間は安堵して、退席し始める。父上があんなにゲンナリとした表情をしているのは非常に印象的だ。さくらさんを相手しなければならないと思うと緊張もするんだろう。
 基本的にはよほど失礼なことをしなければ怒る人でもないのに、あとはお酒でも出しておけは上機嫌になる。
 流石に全員を退席させることはできなかったので、メイドとしてイライヤさんが残ったが飄々とした顔をしている。
 流石は当時の私に臆せず立ち向かっただけはある、肝が据わっている。

「さくらさん、お酒でも出しましょうか?」
「おお、気が利くではないかエリゼ」
「お酒なんてダメですからね。話が終わってからです」

 モモの一喝でお酒はダメとなってしまった。さくらさんがショボーンとしている。
 これまでの経緯などを説明、相手がどのような存在か共有をして、関係各所への注意の促しなどが話された。当然、相手についてはこの世界の神様の元彼であれヒモだったなど共有することもできないので、神に強い恨みを持つ者くらいの共有だ。

「話は終わったし、酒を飲んでもいいか?」
「お好きにどうぞ」
「どうだ、エリゼも飲むか?」
「いいですね!」
「ちょっと、お酒は20歳を超えてからって約束だったでしょ!」
「それはモモと父との約束だろう? 私は誓った記憶がないけど」
「エリゼ? 怒るよ」

 もう怒ってるじゃん!
 モモのゲンコツを受けて、リリアさんのお見舞いに行こうと部屋の前までやってきたが、メイドさんが外で待機しており、何やら紙にメモを取っている。
 貴族というのは面倒なことで回数などをメモされるのだ。

「エリゼ、後にしようか」
「そうだね。あんなことがあれば色々と燃えがるんでしょ。悪いことではないし、結婚式前ではあるけど、どうせ結婚するんだしいいんじゃないかな。モモさんや、お姉ちゃんはモモさんの恋愛、結婚後の話も聞きたいのじゃがね」
「後でね、気が向いたらね」

 後でしてくれるのか、ふむふむ。
 モモとこうして一緒にいるのは懐かしい。楽しくなってくる。
 続いてルルイゼのお見舞いに行くと、レオン、エリン、パスルが護衛についていてくれたようで、全員が揃っていた。

「ルルイゼと、ぱ、パスル?」
「ああ、モモお姉様、お会いしたかったです!」

 にじり寄ってくるパスル。落ち着かせるために頭を鷲掴みにして、地面とキスをさせる。

「モモへの手紙でも書いていただろ?」
「変わってるけど優秀な神官を仲間にしたとは聞いてたけど、パスルだとは思わなかった」
「パスルがしたことも聞いている。モモにとっては不快だっただろうけど、心を入れ替えて? 変えてはないか、彼女なりに色々な協力をしてくれたんだ。前のことを水に流せてとは言わないが、私の大事な仲間なんだ」

 怪訝そうな顔をしたモモだったけど、静かに頷いてくれた。

「いいか、パスル。手を離すけど、モモの靴を舐めたり、抱きついたりするなよ。いい子にするんだ」

 ゆっくりと手を離すとパスルが優雅にスカートをつまみ上げてお淑やかな令嬢にように挨拶をする。

「モモお姉様、お久しぶりです。エリゼお姉様の妹である、パスルです。なのでモモお姉様の妹になりました。パンツ下さい」

 邪気を感じない、綺麗な、綺麗な笑顔だった。
 隣にいたモモはパスルを素通りするとそのままレオン達に声をかける。

「エリゼと冒険者をしていたエターナルセンチネルズの皆さんですよね、話は聞いています」
「えた? ええー、そんな名前でエリゼお姉様は活動していたんですか?」
「ふふん、ルルイゼ、かっこいいだろ?」

 私が考えました!

「私もかっこいいなーって話てたの! だからサイラ君には夫婦のチーム名を決めないか相談したんだけど、そういう風習はないからやめておこうって言われちゃって」
「そうか、それは残念だったな。モモも冒険者になることがあればかっこいいチーム名を決めるといいぞ」
「パンツ」

 後ろから圧を感じる。
 パスルがまだ諦めていないようだ。その瞳には前に使った聖遺物のお願いをしてくれるって言ってたよねって書いてあった。そうだ、そんな約束をしていた。

 モモに説明をすると、そんな変な魔法を作っていることに嫌悪感を示してはいたが、聖なる魔法はそういうパターンもあるとなんとか説得したのと、私や街を守ったことは事実なのでモモから髪が進呈されることになった。

「こんなもんでいい?」
「ギャー! モモ、切りすぎだ!」

 長くて白い、美しい髪が半分以上カットされてしまった。
 ショートカットのモモも可愛いけども!
 
「モモ様を、モモ様を感じる!」

 変態はモモから受け取った髪を、やばい薬でもやっているかのように吸引している。
 
「モモさん、女の子がそんな無造作に髪を切ってはいけません」
「えー、だってエリゼだって昔やってたし」

 ルルイゼが慌てて、櫛や鋏を用意してくれる。

「あれは私も勢いでやっただけなんだよ。髪を整えれる者を呼んでくるから待ってろ」

 結果的にだが、呼んできたメイド連中はハイエルフの方の髪を切るのは恐れ多いと、泣きながら土下座をされてしまい、パスルがノリノリで髪を整えることになった。
 髪をなんで切れるのかと聞いたら、モモのお世話をするために必要になるかもしれないと資格まで取得したらしい。他にどんなことができるのかは怖くて聞くことができなかった。


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