家庭菜園物語

コンビニ

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3章

お茶会

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 さくらさんが言う自主性にのっとって、お掃除業者を立ち上げたのに、やりすぎるなと注意を受けることになってしまった。
 洗濯機の情報については王坂にいる勇者、聡介さんがお父さんのとこに行って鑑定しているであろうから、私達が作成した情報を回したらお礼のお金をもらうことができた。
 是非、引き続き研究機関としての役割を継続してほしいとのことで、ビクド、王坂、ソード家からは研究資金の提供を受けれることになった。

 自分が勉強していることで成果を上げれば国から支援を受けれるということがわかれば生徒達のやる気には更に火がつき、校舎裏に設置されている、クラブ活動が更に活発になりはじめている。

「モモ様、お久しぶりです」
「あ、はい」

 図書館で本を読み漁っていたら、あまり話したくない連中が声をかけてくる。
 ソード家の兄妹だ。妹が私に近づけないとわかれば、今度は兄直々にですか。

「翌週、お茶会があるのですが、よければ一緒にいかがですか? カイラ様もいらっしゃるんですよ」

 王坂の王様の妹のカイラはお菓子が食べれるなら誰の誘いでも受ける。基本的にはお菓子を食べ終わると山に帰ってしまう。寮ではなく山にだ。
 あの子は山の方が楽しいと、学校に来るのは汚れてしまったのでお風呂に入る時と、剣術や槍クラブなどの武術関連のクラブ連中と訓練をする時くらいのものだけど、上手く捕まえることができればお菓子で誘い出すことは可能。何のためにこの学園にきているのかだろうかと考えてしまうことはあるけど、さくらさんにはたまに直接相手をしてもらっているようなので、それだけでも価値があるのかもしれない。

 あとはソード家の兄の方が剣術クラブなど複数のクラブに在籍しているはずなので、上手く捕まえたんだろう。基本的には無能ってわけではないんだよね。

「考えておきます」

 あまり話したくもないので、早々に本立ち去る。せっかく、本を読んでいたのに、貸し出しができないのが痛い。貴重な本が多いことから貸し出しは許可されていない、勝手に持ち出せば即退学になると厳しいルールもあるのが面倒くさい。ルールはルールなので当然、直訴したりはせず守るんだけど。

 部屋に戻るとリリアちゃんが可愛らしくあわあわしていたので、頭を撫でて話を聞いてみる。

「ルルイゼ様にお茶会に誘われて、モモ様も連れてくるようにって」

 手には金貨が10枚握られている。お金を渡されなくたって、リリアちゃんが断れるはずがない。
 上位の貴族に目をつけられても平民の子達であれば国から出ればいい、でもリリアちゃんは傾きかけているとはいえ、貴族の子なのでそう簡単にはいかない。私と友人関係にあれば悪い影響も出てしまうか。
 友人も好きに作れないなんて、ハイエルフって種族は少し煩わしい。

「そのお金はもらっておいたらいいよ。わかった、私が責任を持って皆殺し、違った半殺しにしてくるから安心して」
「やめてぇえええ! モモ様やめてぇ! 半分でもダメェ!」
「だって煩わしいでしょ? 大丈夫、リリアちゃんは私が守るよ」
「モモ様……素敵。って違います! ダメです! 私のためになんてやめてください。ちゃんと断ってきますから」

 断ったら断ったで、リリアちゃんの立場悪くなるのは間違いないだろう。
 今回は参加するしかないか。その場であの兄妹に話をつければいい。

「大丈夫、今回は参加するから。リリアちゃんは出来るだけ恩着せるような言い回しで、話してきて。なんだったらもっとお金をもらってきてもいいと思うよ」
「モモ様!」

 胸元に抱きついてくるリリアちゃんを抱きしめる。可愛い。妹がいたらこんな感じかな?
 リリアちゃんが部屋を出て行った後にお茶会用の準備を考える。お茶会なんて参加したことないし、何か持っていけばいいのかわからない。
 お父さんからもらった紅茶の茶葉と無駄に高そうなティーセットでも持っていけばいいかな?
 友達と飲みなさいとは書かれてたけど、まだ飲んだことはなかった。
 ハーブティーの方でもいいけけど、お父さんと一緒にいた時はお茶を淹れるのも面倒くさいとか思ったことなかったのに、自分だけってなると食事なども疎かになってしまう。
 
 ハイエルフって種族には怠惰っていう呪いでもかかっているのだろうか。
 単純に張り合いがなくなってしまっているだけなのかな。

 リリアちゃんが戻ってくるまで時間もかかるだろうし、気分転換と、薬草の研究のために校舎裏、更に山に入った中にある薬草なども栽培している、クラブに足を運んでみる。
 お父さんの種や聡介さんの解析の力もあって、作物を育てる研究は進んでいるが、ここでも似たような研究をしている子達も数名いる。

 少し興味深い研究をしている子がいる。在来、お父さんが持ち込んだものではなくこの世界に元から存在している種同士を交配させてよりよくできないかと研究している子だ。
 お父さんの種の方が食べることについては、群を抜いて素晴らしいとのことだけど、この世界に元からある作物の方が治療であったり、効能の効果が高いとのことで、薬草を中心に薬膳であったり薬の研究をしている。

「サイラ君、調子はどう?」
「も、モモ様」

 メガネをかけた、私の白髪とは違う、綺麗な銀色の髪をした少年。って言っても私よりも1つ年上ではあるんだけど、身長も変わらなくて幼い顔立ちをしているので、年上って感じはあまりしない。
 女性と話すのが苦手らしくて、私が声をかけるといつもオドオドしているのも少し可愛い。

「し、失敗でした」
「そっか。次だね、次」
「はい」

 サイラ君の王国出身の子で、住んでいて村での薬草や野菜などの栽培手法などをさくらさんに認められてこの学園に来たらしい。
 家族はお母さんが数年前に亡くなってしまったらしいけど、村の人達の助けを得て、種の交配や畑の改善などを行なっていて、王坂などで進んでいる研究に近い内容だけど、そこまで劇的な効果があるものではないので王国内での評判と評価は低いとのこと。
 サイラ君のような人が王国内でも増えれば、もっと食糧事情も改善されるのに勿体無い。
 



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