105 / 145
3章
洗濯
しおりを挟む
さくら学園と安直な名前のこの学舎には約100名の生徒がおり、半数が貴族やお偉方の子供で残り半数が平民、男女比率は7対3くらいの割合になっている。
さくらさんの方針では3年から5年くらいの学習期間も見込んでおり、次の新入生は気分次第とのことだ。長命種の気分次第となると次は何十年後になることやら。
基本的には貴族は3年で考えており、平民で向かい入れた生徒たちは特殊な技能や知識を持っている者もいるとのことで状況に応じて手元に残すなんてこともあるらしい。
「モモは100年くらいここにいてもいいぞ?」
「父が悲しむので遠慮しておきます」
無事、始業式を迎えて学園生活がスタートはなったが、決まった時間割があるわけではなくそれぞれに開催される講義に参加しながら基本的には自由な感じになっている。興味がある先生について勉強をし、学ぶ。好きに選べるからこそ、怠けることも逆に可能だ。
「貴重な資料や教鞭を振るう教師も選りすぐりだが、この学園は勉強をすることが全てではない。貴族であればコネを作ったり、将来有望な人間を勧誘してもいい、ただコネを作るだけでは時間が余りすぎる。余程のバカでないなら少しは学び、知識をなどを持ち帰ると思うがね」
とはさくらさんが言っていたものの、学校が始まって数日、思った以上にサボってる連中は多い。
何をしに学園に来ているのか、お茶会とか言って手紙もくるけど全部無視をしている。せめて直接、誘ってくるのが礼儀ではないのだろうか。
「洗濯なんて平民の仕事でしょ!」
洗濯場で貴族らしきグループの女の子達が平民グループの子に洗濯を強要しているようだ。
お茶会の用意なんか、貴族の嗜みとして多少は心得があるようだが洗濯などとなれば、自分達の仕事ではないと押し付けようとしているのだろう。
さくらさんの方針としては自分のことは自分で、という方針からご飯だけは食堂でコックさんがいるが、その他のことは自分でやることが基本なため、洗濯も自分でやらないといけない。
「リーズ様の取り巻きの令嬢です。リーズ様から洗濯を依頼されて、それをさらに押しつけるつもりなんでしょう」
リーズ? 公爵の娘とかだったかな。
私と一緒に洗濯に来ているのは、自称貧乏貴族、男爵家の娘のリリアちゃん。
ほぼ平民のような生活をしている男爵家からなけなしのお金を集めてこの学園に来た苦労人の子で、頑張り屋さんなところは好感が非常に持てる。性格も素直な子ですぐに、一方的に仲良くなってしまった。
150に満たない身長でショートの黒髪で子猫のような風貌が保護欲をそそる。なんだか黒髪が杏お姉ちゃんを思い出すのでよく愛でさせてもらっている。
「モモさん、なんで頭を撫でてるんですか?」
「んー? ついつい」
自分の洗濯くらい自分ですればいいのにね。
ここは仲裁というか、威圧でもして平定させてあげようかな。
「リンダさん、ここは神聖な学舎で学長からも自分のことは自分でするように言われてると思いますが」
私が個人的に嫌いな女子が取り巻きを引き連れて出てきた。ルルイゼ・ソード、ソード家の分家筋だったけど、お姉ちゃんがいなくなった後に女子がいないことから、分家筋から本家に養子として向かい入れられたらしい。
次期当主のルークの義理の妹というポジションだ。
「貴女には関係ないことです!」
「我々、貴族は雇用を作るために使用人に任せることはあっても、その場所に沿ってルールには従うべきです」
個人的に嫌いというのも、お姉ちゃんを追い出し連中だからだ。判断が間違っていたとは言わない。あの頃のお姉ちゃんは酷いものだったし、それでも個人的に距離を置きたくなるというか、お姉ちゃんの泣き顔を思い出してしまう。
お姉ちゃんのことを抜きにすれば優秀で正義感に溢れた人物だとは思う。
ルルイゼさんが仲裁、というか喧嘩に参加したことによって更に口喧嘩が激化し始めている。
どう収集をしたものか。ここの洗濯というのは自宅にいた時と違ってボタひとつで自動的に洗ってくれるわけではないので、洗うのも大変だし労力がかかる。
雇用を生み出すかぁー。私はお父さんのおかげで必要品は送られてくるし、さくらさんがお父さんから物資を買い取ってくれるお金が回ってくるので困窮することもない。
ただリリアちゃんのように家がお金に困っている子は少しでも家の助けになるようにと、勉強の時間の合間を縫って内職をして、定期便でまとめて商人さんに送って買い取ってもらったりなどしている。
当然、こんな辺境から買い取りに出すとなればまとめて出しても輸送金額もあるの大幅に減ってしまうなどの問題もある。
この洗濯、雇用に繋がらないだろうか? シーツなども含めれば洗濯は重労働だし、勉強する時間が減ってしまうのは本末転倒な話ではある。
洗濯機、類似するものを作ってしまうのはどうだろうか。私も楽ができるし、いいのではないでしょうか。
「お金を稼ぎたい人は集合してください」
この指とまれと、指を出したらリリアちゃんが一番に掴みかかってきた。
杏お姉ちゃんが玩具に反応したみたいで可愛い。これで人族なのだから驚きの可愛さである。
「ここは私が預かります。御令嬢達もいいですね? 一度解散してください」
リンダと言われた公爵令嬢の取り巻きは逃げるように、ルルイゼさん達は優雅に一礼をしてとりあえず立ち去ってくれた。
「あのお金稼ぎってどうするんですか?」
「モモ様にはお考えがあるんですか?」
「モモ様、耳をぺろぺろしてもよろしいでしょうか? お願いします」
後半、明らかにビクドの民が混じっているけど、ここは無視しておこう。
「商会を立ち上げましょう。まずは清掃関連業務を受け持つ商会ですかね。洗濯機、掃除機、効率よくできるように魔道具から作りましょうか。この中で物作りのクラブに属している人はいますか?」
「商会?」
「どうするんだろう?」
「モモ様の提案だよ? 間違いないよ」
「モモ様は絶対!」
「私は物作りクラブに属しています!」
クラブに入っている子も混じってくれててよかった。よしよし、キャッキャと盛り上がり始めている。森の賢者の娘、ハイエルフでさくらさんの弟子という、他力本願な力ではあるけど、周りの人の影響力のおかげで反対する人はいない。
「お金持ちの需要があるわけですから、皆んなでふんだくってやりましょうか!」
さくらさんの方針では3年から5年くらいの学習期間も見込んでおり、次の新入生は気分次第とのことだ。長命種の気分次第となると次は何十年後になることやら。
基本的には貴族は3年で考えており、平民で向かい入れた生徒たちは特殊な技能や知識を持っている者もいるとのことで状況に応じて手元に残すなんてこともあるらしい。
「モモは100年くらいここにいてもいいぞ?」
「父が悲しむので遠慮しておきます」
無事、始業式を迎えて学園生活がスタートはなったが、決まった時間割があるわけではなくそれぞれに開催される講義に参加しながら基本的には自由な感じになっている。興味がある先生について勉強をし、学ぶ。好きに選べるからこそ、怠けることも逆に可能だ。
「貴重な資料や教鞭を振るう教師も選りすぐりだが、この学園は勉強をすることが全てではない。貴族であればコネを作ったり、将来有望な人間を勧誘してもいい、ただコネを作るだけでは時間が余りすぎる。余程のバカでないなら少しは学び、知識をなどを持ち帰ると思うがね」
とはさくらさんが言っていたものの、学校が始まって数日、思った以上にサボってる連中は多い。
何をしに学園に来ているのか、お茶会とか言って手紙もくるけど全部無視をしている。せめて直接、誘ってくるのが礼儀ではないのだろうか。
「洗濯なんて平民の仕事でしょ!」
洗濯場で貴族らしきグループの女の子達が平民グループの子に洗濯を強要しているようだ。
お茶会の用意なんか、貴族の嗜みとして多少は心得があるようだが洗濯などとなれば、自分達の仕事ではないと押し付けようとしているのだろう。
さくらさんの方針としては自分のことは自分で、という方針からご飯だけは食堂でコックさんがいるが、その他のことは自分でやることが基本なため、洗濯も自分でやらないといけない。
「リーズ様の取り巻きの令嬢です。リーズ様から洗濯を依頼されて、それをさらに押しつけるつもりなんでしょう」
リーズ? 公爵の娘とかだったかな。
私と一緒に洗濯に来ているのは、自称貧乏貴族、男爵家の娘のリリアちゃん。
ほぼ平民のような生活をしている男爵家からなけなしのお金を集めてこの学園に来た苦労人の子で、頑張り屋さんなところは好感が非常に持てる。性格も素直な子ですぐに、一方的に仲良くなってしまった。
150に満たない身長でショートの黒髪で子猫のような風貌が保護欲をそそる。なんだか黒髪が杏お姉ちゃんを思い出すのでよく愛でさせてもらっている。
「モモさん、なんで頭を撫でてるんですか?」
「んー? ついつい」
自分の洗濯くらい自分ですればいいのにね。
ここは仲裁というか、威圧でもして平定させてあげようかな。
「リンダさん、ここは神聖な学舎で学長からも自分のことは自分でするように言われてると思いますが」
私が個人的に嫌いな女子が取り巻きを引き連れて出てきた。ルルイゼ・ソード、ソード家の分家筋だったけど、お姉ちゃんがいなくなった後に女子がいないことから、分家筋から本家に養子として向かい入れられたらしい。
次期当主のルークの義理の妹というポジションだ。
「貴女には関係ないことです!」
「我々、貴族は雇用を作るために使用人に任せることはあっても、その場所に沿ってルールには従うべきです」
個人的に嫌いというのも、お姉ちゃんを追い出し連中だからだ。判断が間違っていたとは言わない。あの頃のお姉ちゃんは酷いものだったし、それでも個人的に距離を置きたくなるというか、お姉ちゃんの泣き顔を思い出してしまう。
お姉ちゃんのことを抜きにすれば優秀で正義感に溢れた人物だとは思う。
ルルイゼさんが仲裁、というか喧嘩に参加したことによって更に口喧嘩が激化し始めている。
どう収集をしたものか。ここの洗濯というのは自宅にいた時と違ってボタひとつで自動的に洗ってくれるわけではないので、洗うのも大変だし労力がかかる。
雇用を生み出すかぁー。私はお父さんのおかげで必要品は送られてくるし、さくらさんがお父さんから物資を買い取ってくれるお金が回ってくるので困窮することもない。
ただリリアちゃんのように家がお金に困っている子は少しでも家の助けになるようにと、勉強の時間の合間を縫って内職をして、定期便でまとめて商人さんに送って買い取ってもらったりなどしている。
当然、こんな辺境から買い取りに出すとなればまとめて出しても輸送金額もあるの大幅に減ってしまうなどの問題もある。
この洗濯、雇用に繋がらないだろうか? シーツなども含めれば洗濯は重労働だし、勉強する時間が減ってしまうのは本末転倒な話ではある。
洗濯機、類似するものを作ってしまうのはどうだろうか。私も楽ができるし、いいのではないでしょうか。
「お金を稼ぎたい人は集合してください」
この指とまれと、指を出したらリリアちゃんが一番に掴みかかってきた。
杏お姉ちゃんが玩具に反応したみたいで可愛い。これで人族なのだから驚きの可愛さである。
「ここは私が預かります。御令嬢達もいいですね? 一度解散してください」
リンダと言われた公爵令嬢の取り巻きは逃げるように、ルルイゼさん達は優雅に一礼をしてとりあえず立ち去ってくれた。
「あのお金稼ぎってどうするんですか?」
「モモ様にはお考えがあるんですか?」
「モモ様、耳をぺろぺろしてもよろしいでしょうか? お願いします」
後半、明らかにビクドの民が混じっているけど、ここは無視しておこう。
「商会を立ち上げましょう。まずは清掃関連業務を受け持つ商会ですかね。洗濯機、掃除機、効率よくできるように魔道具から作りましょうか。この中で物作りのクラブに属している人はいますか?」
「商会?」
「どうするんだろう?」
「モモ様の提案だよ? 間違いないよ」
「モモ様は絶対!」
「私は物作りクラブに属しています!」
クラブに入っている子も混じってくれててよかった。よしよし、キャッキャと盛り上がり始めている。森の賢者の娘、ハイエルフでさくらさんの弟子という、他力本願な力ではあるけど、周りの人の影響力のおかげで反対する人はいない。
「お金持ちの需要があるわけですから、皆んなでふんだくってやりましょうか!」
応援ありがとうございます!
121
お気に入りに追加
1,025
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる