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トンカツ
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昨晩の飲み会がモモにバレて、1週間の禁酒令が発令されてしまった。約束を破ったことでモモが涙目になっていて申し訳ない気持ちが勝った。飲み会をするならなするで相談をするべきだったなぁ。
今日も午前中にはクルークさんと農作業をして、ソーズさんとドナルドさんに木の伐採をお願いする。筋トレしないのかとソーズさんには粘られたが、筋トレではないことを改めて説明して効率化を図って分担をするという話をしてなんとか納得してもらった。
言うても家庭菜園レベルなので農作業なんて直ぐに終わってしまう。同様にモモ達の動物のお世話もそこまで時間がかからないので、ソーズさんが一仕事終えるまでは勉強をしてもらい、クルークさんとこれからの農業計画について話たり、食事を作ったりという時間に充てる。
解析の勇者が王坂国に来るかもしれないということなので、サンプル品となるプロテインやもやし、醤油、味噌、納豆などを用意する。道中で腐ってしまうものもあるかもしれないが、現地の食材や菌などで再現が可能か、その勇者ならわかるかもしれないとのことだ。
懸念事項としては種などなまだしも、購入品の持ち出しには大福も難色を示したようだが、サンプル程度に少し持ち出すならと許可をもらえた。
「今日の晩ご飯は何にするか。大福が狩ってきてくれた豚っぽい魔物の肉が余ってるし、明日帰る予定の皆んなの英気を養うためにもトンカツにするか」
「ハハッ! 外では考えられない贅沢な品ですね」
豚肉? に塩胡椒をして、小麦粉、卵、パン粉を塗す。今回は塩胡椒以外は全てうちで生産できたもので完結している。
パン粉も食パンを作って冷凍庫で冷凍にした後、おろし金ですり下ろし作成した。手間はかかるが、ただでさえ美味いものを美味い品で作るとなれば……涎が垂れそうになる。
クルークさんと順番にトンカツを揚げていく。クルークさん以外はそこそこ量を食べるので、1枚で足りるとは考えられないのでどんどん揚げていく。余ったら余ったで使い道はあるし、問題はない。
トンカツを揚げる匂いに釣られてか、いつもより早い時間に帰宅したのはモモとカイラちゃんだ。俺達が揚げたトンカツを見てキャッキャと喜んでいる。
「2人共、お風呂を先に済ましちゃいなさい」
「はい!」
「はーい」
カイラちゃんが来てくれたのは本当によかった。モモが随分砕けた、子供らしい一面を多く見せてくれるようになった。
父子になったとはいえ、モモは少し遠慮している部分はあった。外様からきたカイラちゃんには違和感が多かったらしく、モモはカイラちゃんとお父さんやお母さんとの話を色々聞いたみたいで、いい意味で俺に甘えてくれるようになった。お風呂には一緒に入らなくなってしまったという、父離れの一面も出てきたが。
「ただいま、戻りました」
「兄貴」
「お疲れ様です。食事の用意はしているので、手を洗ってモモ達が上がったらお風呂に入っちゃってくださいねー」
「ドナルド殿、一緒に入りますか!」
「兄貴」
見た目おっさんの2人が一緒に風呂とかマジかよ。仲がいいことで。
ドナルドさんとソーズさんはたまに筋肉談義とかしてるし、気が合うのだろう。
暫くして女子組がお風呂から上がってお互いの髪を代わりばんこに乾かしあっている。よき友情だ。
「なぁ、モモの父上。モモはいつからさくら様の学校に来るのだ? あたしは建設から手伝いに春から行く予定なのだ」
「その辺はさくらさんとモモと話し合ってからかなー」
「モモ、あたしと一緒に春から行こう!」
モモが俺とカイラちゃんを交互に見て少し困っている。モモが春からいなくなる……モモが望むのであればいいんだけど、まだ成人もしてないし、こんな短い期間でいなくなっちゃうなんて。
「私はまだ行くつもりはないかな。お父さんやお姉ちゃんに教わりたいことも多いし、学校が完成してからまた考えるよ」
「そっかー、また一緒に遊べるといいな」
「そうだね。一緒に学校いけるの楽しみにしてる」
学校に行くとなれば、下宿だよなぁ。仕方ないとはいえ、色々考えていかないとな。
「にゃーん」
先のことよりも、早くトンカツを出せと姉さんがお怒りだ。
まだソーズさん達もお風呂なんですから待ってくださいよ。
「にゃーん」
刻一刻とトンカツが冷めてしまうと、興奮気味だ。さっきお風呂に行ったばかりだし、先に出してしまうか。
千切りのキャベツとトンカツを乗せて、姉さんはレモンを御所望だったので、最初からレモンをかけて大盛りのご飯と味噌汁、漬物のセットで出す。
同じようにして、モモ達と大福にも先にトンカツを並べていく。
「にゃーん」
いただきますの号令で、サクサクといい音色が部屋中に響く。
「お父さん、美味しい!」
「そりゃーよかった。カイラちゃんも今日でとりあえずは一緒に食べる晩ご飯は最後だから、明日に備えていっぱい食べてな」
カイラちゃんがトンカツを咥えたまま、何それ聞いてませんけど見たいな目で俺を見てくる。そのまま、どういう事ですかと、クルークさんに視線を向けると、ハハッと誤魔化し笑いながらカピパラが遠くを見つめるだけだった。
今日も午前中にはクルークさんと農作業をして、ソーズさんとドナルドさんに木の伐採をお願いする。筋トレしないのかとソーズさんには粘られたが、筋トレではないことを改めて説明して効率化を図って分担をするという話をしてなんとか納得してもらった。
言うても家庭菜園レベルなので農作業なんて直ぐに終わってしまう。同様にモモ達の動物のお世話もそこまで時間がかからないので、ソーズさんが一仕事終えるまでは勉強をしてもらい、クルークさんとこれからの農業計画について話たり、食事を作ったりという時間に充てる。
解析の勇者が王坂国に来るかもしれないということなので、サンプル品となるプロテインやもやし、醤油、味噌、納豆などを用意する。道中で腐ってしまうものもあるかもしれないが、現地の食材や菌などで再現が可能か、その勇者ならわかるかもしれないとのことだ。
懸念事項としては種などなまだしも、購入品の持ち出しには大福も難色を示したようだが、サンプル程度に少し持ち出すならと許可をもらえた。
「今日の晩ご飯は何にするか。大福が狩ってきてくれた豚っぽい魔物の肉が余ってるし、明日帰る予定の皆んなの英気を養うためにもトンカツにするか」
「ハハッ! 外では考えられない贅沢な品ですね」
豚肉? に塩胡椒をして、小麦粉、卵、パン粉を塗す。今回は塩胡椒以外は全てうちで生産できたもので完結している。
パン粉も食パンを作って冷凍庫で冷凍にした後、おろし金ですり下ろし作成した。手間はかかるが、ただでさえ美味いものを美味い品で作るとなれば……涎が垂れそうになる。
クルークさんと順番にトンカツを揚げていく。クルークさん以外はそこそこ量を食べるので、1枚で足りるとは考えられないのでどんどん揚げていく。余ったら余ったで使い道はあるし、問題はない。
トンカツを揚げる匂いに釣られてか、いつもより早い時間に帰宅したのはモモとカイラちゃんだ。俺達が揚げたトンカツを見てキャッキャと喜んでいる。
「2人共、お風呂を先に済ましちゃいなさい」
「はい!」
「はーい」
カイラちゃんが来てくれたのは本当によかった。モモが随分砕けた、子供らしい一面を多く見せてくれるようになった。
父子になったとはいえ、モモは少し遠慮している部分はあった。外様からきたカイラちゃんには違和感が多かったらしく、モモはカイラちゃんとお父さんやお母さんとの話を色々聞いたみたいで、いい意味で俺に甘えてくれるようになった。お風呂には一緒に入らなくなってしまったという、父離れの一面も出てきたが。
「ただいま、戻りました」
「兄貴」
「お疲れ様です。食事の用意はしているので、手を洗ってモモ達が上がったらお風呂に入っちゃってくださいねー」
「ドナルド殿、一緒に入りますか!」
「兄貴」
見た目おっさんの2人が一緒に風呂とかマジかよ。仲がいいことで。
ドナルドさんとソーズさんはたまに筋肉談義とかしてるし、気が合うのだろう。
暫くして女子組がお風呂から上がってお互いの髪を代わりばんこに乾かしあっている。よき友情だ。
「なぁ、モモの父上。モモはいつからさくら様の学校に来るのだ? あたしは建設から手伝いに春から行く予定なのだ」
「その辺はさくらさんとモモと話し合ってからかなー」
「モモ、あたしと一緒に春から行こう!」
モモが俺とカイラちゃんを交互に見て少し困っている。モモが春からいなくなる……モモが望むのであればいいんだけど、まだ成人もしてないし、こんな短い期間でいなくなっちゃうなんて。
「私はまだ行くつもりはないかな。お父さんやお姉ちゃんに教わりたいことも多いし、学校が完成してからまた考えるよ」
「そっかー、また一緒に遊べるといいな」
「そうだね。一緒に学校いけるの楽しみにしてる」
学校に行くとなれば、下宿だよなぁ。仕方ないとはいえ、色々考えていかないとな。
「にゃーん」
先のことよりも、早くトンカツを出せと姉さんがお怒りだ。
まだソーズさん達もお風呂なんですから待ってくださいよ。
「にゃーん」
刻一刻とトンカツが冷めてしまうと、興奮気味だ。さっきお風呂に行ったばかりだし、先に出してしまうか。
千切りのキャベツとトンカツを乗せて、姉さんはレモンを御所望だったので、最初からレモンをかけて大盛りのご飯と味噌汁、漬物のセットで出す。
同じようにして、モモ達と大福にも先にトンカツを並べていく。
「にゃーん」
いただきますの号令で、サクサクといい音色が部屋中に響く。
「お父さん、美味しい!」
「そりゃーよかった。カイラちゃんも今日でとりあえずは一緒に食べる晩ご飯は最後だから、明日に備えていっぱい食べてな」
カイラちゃんがトンカツを咥えたまま、何それ聞いてませんけど見たいな目で俺を見てくる。そのまま、どういう事ですかと、クルークさんに視線を向けると、ハハッと誤魔化し笑いながらカピパラが遠くを見つめるだけだった。
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