3 / 18
ひよこ鑑定士になりたい
ポ
しおりを挟む
私が聖女になる前のことです。
私はポリスメンに捕まりました。
唐突な展開により、紳士淑女である読者の皆様は大変混乱遊ばされているかと存じますが、とりあえず続けさせていただきます。
取り調べ室に連れてこられた私は椅子に座らされました。
対面に座ったポリスメンはいかにも厳格そうな中年の男でした。
足の小指をタンスの角にぶつけて痛みを堪える時のように険しい表情をしています。
厳格ポリスメンは睨むように私を見て言いました。
「無銭飲食をしたということですが」
私はすぐに否定しました。
「ち、違うんです。私の話を聞いてください」
「はい。聞きましょう」
厳格ポリはどっかりと椅子に座り直して腕を組みました。
さっき捕まった時、私が何を言っても
「言い訳は署で聞きますから」
と決まり文句のようなことを言ってまったく取り合ってくれなかったのですが、ようやく話を聞いてもらえるようです。
「わ、私は店に入った時点では確かに財布を持っていたんです。食事中に鞄からハンカチを取り出した時にもその姿をこの目ではっきりと確認しました。でもお会計の時に鞄の中を探してもなかったんです……」
厳ポリはわざとらしく二度頷きました。
「なるほどね。それで? あなたは一体なぜ財布が鞄から消えてしまったと思うんです? まさか財布が勝手に歩いて鞄の外に出て行ったなんて言わないでしょうな?」
厳ポは皮肉っぽくそう言いました。
「そんなことは言いません。でも、事実として私の鞄に財布が入っていないということは、誰かに盗まれてしまった可能性が高いんじゃないでしょうか」
私が顔色を窺うようにそう言うと、ポは鼻で笑いました。
「盗まれたぁ~?」
「あ、いや……すみません」
ポが大きな声で嫌味ったらしく言ってきたので、私はつい謝ってしまいました。
私は心底イライラしましたが、気が弱いので声に出して抗議することはできません。
ビクビクしながら、誰にも聞こえないくらい小さく舌打ちするので精一杯でした。
私はポリスメンに捕まりました。
唐突な展開により、紳士淑女である読者の皆様は大変混乱遊ばされているかと存じますが、とりあえず続けさせていただきます。
取り調べ室に連れてこられた私は椅子に座らされました。
対面に座ったポリスメンはいかにも厳格そうな中年の男でした。
足の小指をタンスの角にぶつけて痛みを堪える時のように険しい表情をしています。
厳格ポリスメンは睨むように私を見て言いました。
「無銭飲食をしたということですが」
私はすぐに否定しました。
「ち、違うんです。私の話を聞いてください」
「はい。聞きましょう」
厳格ポリはどっかりと椅子に座り直して腕を組みました。
さっき捕まった時、私が何を言っても
「言い訳は署で聞きますから」
と決まり文句のようなことを言ってまったく取り合ってくれなかったのですが、ようやく話を聞いてもらえるようです。
「わ、私は店に入った時点では確かに財布を持っていたんです。食事中に鞄からハンカチを取り出した時にもその姿をこの目ではっきりと確認しました。でもお会計の時に鞄の中を探してもなかったんです……」
厳ポリはわざとらしく二度頷きました。
「なるほどね。それで? あなたは一体なぜ財布が鞄から消えてしまったと思うんです? まさか財布が勝手に歩いて鞄の外に出て行ったなんて言わないでしょうな?」
厳ポは皮肉っぽくそう言いました。
「そんなことは言いません。でも、事実として私の鞄に財布が入っていないということは、誰かに盗まれてしまった可能性が高いんじゃないでしょうか」
私が顔色を窺うようにそう言うと、ポは鼻で笑いました。
「盗まれたぁ~?」
「あ、いや……すみません」
ポが大きな声で嫌味ったらしく言ってきたので、私はつい謝ってしまいました。
私は心底イライラしましたが、気が弱いので声に出して抗議することはできません。
ビクビクしながら、誰にも聞こえないくらい小さく舌打ちするので精一杯でした。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
私は聖女(ヒロイン)のおまけ
音無砂月
ファンタジー
ある日突然、異世界に召喚された二人の少女
100年前、異世界に召喚された聖女の手によって魔王を封印し、アルガシュカル国の危機は救われたが100年経った今、再び魔王の封印が解かれかけている。その為に呼ばれた二人の少女
しかし、聖女は一人。聖女と同じ色彩を持つヒナコ・ハヤカワを聖女候補として考えるアルガシュカルだが念のため、ミズキ・カナエも聖女として扱う。内気で何も自分で決められないヒナコを支えながらミズキは何とか元の世界に帰れないか方法を探す。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜
星井柚乃(旧名:星里有乃)
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」
「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」
(レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)
美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。
やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。
* 2023年01月15日、連載完結しました。
* ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました!
* 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。
* この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。
* ブクマ、感想、ありがとうございます。
もういらないと言われたので隣国で聖女やります。
ゆーぞー
ファンタジー
孤児院出身のアリスは5歳の時に天女様の加護があることがわかり、王都で聖女をしていた。
しかし国王が崩御したため、国外追放されてしまう。
しかし隣国で聖女をやることになり、アリスは幸せを掴んでいく。
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる