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そんなこんなで、狐酔酒が案内したいところとやらに到着した。
そこは商店街だった。
アーチ状の屋根に覆われてる。
アーケードとかいうやつだ。
「ここだ。本町商店街。シャッター街だけどな」
狐酔酒がそう紹介してくれた。
昔は栄えていたのかもしれないが、今は狐酔酒の言う通り、シャッターばかりが目立つ。
「静かだね」
時間のせいなのか、昼間でもこうなのか、誰もいない。
「ここを夜中に歩くのが好きなんだよ」
狐酔酒はそう言うと、妖風が信じられないといった顔で狐酔酒を見た。
「怖くないの? 誰もいないじゃん」
「誰かいた方がこえーだろ」
「ん? 確かに? いや、でも」
妖風は混乱したのか、首を傾げて考え始めた。
「でも私ちょっと狐酔酒君の感覚分かるかも。こういう、本来賑わっている場所が静かなのって新鮮でいいよね」
栗原が狐酔酒に共感を示した。
「さて、じゃあちょっと歩こうぜ。ここってよりも、少し歩いたとこにある景色を佐々木に見せたいんだよ」
どうやら狐酔酒が僕に見せたかったのは、この夜の商店街だけではないらしい。
僕たちはそれから静かな商店街を4人で歩いた。
妖風はおっかなびっくり周囲を警戒するようにキョロキョロしながら歩いていた。
意外と怖がりなのかもしれない。
「怖がりなギャルっているんだねぇ」
僕が適当なことを言うと、妖風は
「そりゃいるでしょ」
と短く返してきた。
しばらく歩くと、狐酔酒が僕に見せたかったのが何なのか分かった。
目の前、商店街の先に暗い夜の海が現れたのだ。
「おぉ……」
声を漏らした僕を見て、狐酔酒がニヤリと笑った。
「すげぇだろ。この商店街、こっから出ると海に繋がってるんだよ」
「この町にこんな景色があったのね。知らなかった」
妖風が呟いた。
「妖風はこの商店街あんまり来ないの?」
そう訊いてみると
「買い物なら別でするから」
と答えられた。
商店街ってこのまま廃れていく運命なのかなと思うと少し寂しいような気がした。
そのまま進んで商店街を抜けると、海岸沿いの道に出た。
僕は狐酔酒にお礼を言った。
「ありがとう狐酔酒。おかげで珍しい景色が見れたよ」
「おう。商店街から見る海って珍しいよな」
「桜倉町個人的お気に入りスポットに登録しとく」
「ハハハ。なんだそれ」
狐酔酒は照れ臭そうに笑った。
「ってか今何時?」
妖風にそう言われて、スマホを取り出して時間を確認してみた。
「2時過ぎだね」
「え、やば。どうする窓無。そろそろ帰る?」
「そうだね。夜更かしはお肌に悪いし」
妖風と栗原は家に帰ることにしたようだ。
「じゃあ適当なとこまで送ってくわ」
狐酔酒がそう提案したことで、僕たちはもう少しだけ4人で歩くことになった。
そこは商店街だった。
アーチ状の屋根に覆われてる。
アーケードとかいうやつだ。
「ここだ。本町商店街。シャッター街だけどな」
狐酔酒がそう紹介してくれた。
昔は栄えていたのかもしれないが、今は狐酔酒の言う通り、シャッターばかりが目立つ。
「静かだね」
時間のせいなのか、昼間でもこうなのか、誰もいない。
「ここを夜中に歩くのが好きなんだよ」
狐酔酒はそう言うと、妖風が信じられないといった顔で狐酔酒を見た。
「怖くないの? 誰もいないじゃん」
「誰かいた方がこえーだろ」
「ん? 確かに? いや、でも」
妖風は混乱したのか、首を傾げて考え始めた。
「でも私ちょっと狐酔酒君の感覚分かるかも。こういう、本来賑わっている場所が静かなのって新鮮でいいよね」
栗原が狐酔酒に共感を示した。
「さて、じゃあちょっと歩こうぜ。ここってよりも、少し歩いたとこにある景色を佐々木に見せたいんだよ」
どうやら狐酔酒が僕に見せたかったのは、この夜の商店街だけではないらしい。
僕たちはそれから静かな商店街を4人で歩いた。
妖風はおっかなびっくり周囲を警戒するようにキョロキョロしながら歩いていた。
意外と怖がりなのかもしれない。
「怖がりなギャルっているんだねぇ」
僕が適当なことを言うと、妖風は
「そりゃいるでしょ」
と短く返してきた。
しばらく歩くと、狐酔酒が僕に見せたかったのが何なのか分かった。
目の前、商店街の先に暗い夜の海が現れたのだ。
「おぉ……」
声を漏らした僕を見て、狐酔酒がニヤリと笑った。
「すげぇだろ。この商店街、こっから出ると海に繋がってるんだよ」
「この町にこんな景色があったのね。知らなかった」
妖風が呟いた。
「妖風はこの商店街あんまり来ないの?」
そう訊いてみると
「買い物なら別でするから」
と答えられた。
商店街ってこのまま廃れていく運命なのかなと思うと少し寂しいような気がした。
そのまま進んで商店街を抜けると、海岸沿いの道に出た。
僕は狐酔酒にお礼を言った。
「ありがとう狐酔酒。おかげで珍しい景色が見れたよ」
「おう。商店街から見る海って珍しいよな」
「桜倉町個人的お気に入りスポットに登録しとく」
「ハハハ。なんだそれ」
狐酔酒は照れ臭そうに笑った。
「ってか今何時?」
妖風にそう言われて、スマホを取り出して時間を確認してみた。
「2時過ぎだね」
「え、やば。どうする窓無。そろそろ帰る?」
「そうだね。夜更かしはお肌に悪いし」
妖風と栗原は家に帰ることにしたようだ。
「じゃあ適当なとこまで送ってくわ」
狐酔酒がそう提案したことで、僕たちはもう少しだけ4人で歩くことになった。
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