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高校生が4人並んでブランコに乗っている姿というのもなかなか珍しい光景ではないだろうか。
今が夜中で周りに誰もいないからできることなのかもしれない。
「さっき佐々木のスマホの待ち受けに小野寺いなかった?」
ふと、妖風がそんなことを言った。
「けいのことどんだけ好きなの……。見逃さないねぇ」
僕はそれとなく話を逸らすために妖風を煽った。
「うるさいわね。別に誰だって気づくでしょ。佐々木と小野寺と、あと他にも何人かいたけど、集合写真?」
話を逸らすことには失敗したようだ。
これ以上下手に誤魔化そうとするとかえって不自然だろう。
「まぁそんなとこ」
「なんの集まりなの? もっかいちゃんと見せてよ」
「オレも見た~い」
「私も私も~」
3人にそう言われて、僕は渋々スマホを取り出した。
「ほんとだ。佐々木も小野寺も写ってんな。え、白石先輩もいるじゃん」
僕は家族写真を待ち受けにしている。
「へぇー。この人が白石先輩か。確かに美人ね。めっちゃ仲良さげじゃない」
妖風が写真の中央に映っている天姉を見ながら言った。
天姉の両隣には僕とけいがいて、天姉は僕たちの肩に手を回して眩しいくらいの笑顔を浮かべている。
「というか、全員和服だ! マジでなんの集まりなの? 年代もバラバラみたいだけど」
栗原の質問に僕は
「秘密」
と答えた。
「……なんかあんたたちってさ、自分たちのこと話そうとしないわよね」
妖風がジト目で睨んできた。
「あんたたちって?」
「惚けないで。あんたとか小野寺のことよ。なんで隠すの? やましいことでもあるとか?」
「まあまあ、いいじゃねぇか別に。誰にだって話したくない事くらいあるだろ? オレも検索履歴とか見られたくねぇし」
狐酔酒が助け舟を出してくれた。
しかし、妖風は僕たちに対する不信感が拭いきれていないようなので、少しだけ話すことにした。
「僕たちが自分のことを話そうとしないのは、過去にあんまりいい思い出がないからだよ。簡単に言えば、今の親と血が繋がってないんだ。けいも同じような感じ。あとは適当に察してくれると助かる」
深夜テンションというやつだろうか。
勢いで余計なことを口走ってしまったと一瞬後悔したが、妖風の反応を見ると、別に良かったかなと思った。
これでもう根掘り葉掘り訊かれることはないだろう。
「……ごめん。なんか色々事情があったんだね。無神経だった」
「ほんとだよ。あー、昔のこと思い出して傷ついたなぁ。申し訳ない気持ちがあるなら飲み物奢ってほしいなぁ」
暗い顔をしている妖風に対して、僕は茶化すようにそう言った。
「お、奢るわよそれくらい。買ってくるから。なにがいいの?」
「妖風のセンスで」
「難しいこと言わないで」
「おいしくなかったらキレるからね」
「脅さないでよ。ちょっと待ってて」
妖風はブランコから立ち上がった。
僕も腰を上げた。
「え、ついてくんの?」
「迷子になられても困るからね」
「ついてくるなら自分で選んでよ……」
「妖風が何を選ぶのか興味があるんだよ」
「えぇ……。まぁいいけど。じゃ、ちょっと買ってくるから」
栗原と狐酔酒は同時に
「「いってらー」」
と言って僕たちに手を振った。
今が夜中で周りに誰もいないからできることなのかもしれない。
「さっき佐々木のスマホの待ち受けに小野寺いなかった?」
ふと、妖風がそんなことを言った。
「けいのことどんだけ好きなの……。見逃さないねぇ」
僕はそれとなく話を逸らすために妖風を煽った。
「うるさいわね。別に誰だって気づくでしょ。佐々木と小野寺と、あと他にも何人かいたけど、集合写真?」
話を逸らすことには失敗したようだ。
これ以上下手に誤魔化そうとするとかえって不自然だろう。
「まぁそんなとこ」
「なんの集まりなの? もっかいちゃんと見せてよ」
「オレも見た~い」
「私も私も~」
3人にそう言われて、僕は渋々スマホを取り出した。
「ほんとだ。佐々木も小野寺も写ってんな。え、白石先輩もいるじゃん」
僕は家族写真を待ち受けにしている。
「へぇー。この人が白石先輩か。確かに美人ね。めっちゃ仲良さげじゃない」
妖風が写真の中央に映っている天姉を見ながら言った。
天姉の両隣には僕とけいがいて、天姉は僕たちの肩に手を回して眩しいくらいの笑顔を浮かべている。
「というか、全員和服だ! マジでなんの集まりなの? 年代もバラバラみたいだけど」
栗原の質問に僕は
「秘密」
と答えた。
「……なんかあんたたちってさ、自分たちのこと話そうとしないわよね」
妖風がジト目で睨んできた。
「あんたたちって?」
「惚けないで。あんたとか小野寺のことよ。なんで隠すの? やましいことでもあるとか?」
「まあまあ、いいじゃねぇか別に。誰にだって話したくない事くらいあるだろ? オレも検索履歴とか見られたくねぇし」
狐酔酒が助け舟を出してくれた。
しかし、妖風は僕たちに対する不信感が拭いきれていないようなので、少しだけ話すことにした。
「僕たちが自分のことを話そうとしないのは、過去にあんまりいい思い出がないからだよ。簡単に言えば、今の親と血が繋がってないんだ。けいも同じような感じ。あとは適当に察してくれると助かる」
深夜テンションというやつだろうか。
勢いで余計なことを口走ってしまったと一瞬後悔したが、妖風の反応を見ると、別に良かったかなと思った。
これでもう根掘り葉掘り訊かれることはないだろう。
「……ごめん。なんか色々事情があったんだね。無神経だった」
「ほんとだよ。あー、昔のこと思い出して傷ついたなぁ。申し訳ない気持ちがあるなら飲み物奢ってほしいなぁ」
暗い顔をしている妖風に対して、僕は茶化すようにそう言った。
「お、奢るわよそれくらい。買ってくるから。なにがいいの?」
「妖風のセンスで」
「難しいこと言わないで」
「おいしくなかったらキレるからね」
「脅さないでよ。ちょっと待ってて」
妖風はブランコから立ち上がった。
僕も腰を上げた。
「え、ついてくんの?」
「迷子になられても困るからね」
「ついてくるなら自分で選んでよ……」
「妖風が何を選ぶのか興味があるんだよ」
「えぇ……。まぁいいけど。じゃ、ちょっと買ってくるから」
栗原と狐酔酒は同時に
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と言って僕たちに手を振った。
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