佐々木恭介の深夜徘徊

夜桜紅葉

文字の大きさ
上 下
18 / 30
12:00 A.M.

12:00 A.M.

しおりを挟む
 コンビニに入った狐酔酒は真っ先に飲み物が置いてあるところに向かった。

こんな時間なのに僕たちの他に二人も客がいるようだ。

狐酔酒はスポーツ飲料を手に取って僕に見せびらかすようにした。

「運動してからこれ飲むとマジでうめぇんだ。あとでひと口やるよ」
「へぇー。ありがと」
「あとは、ガムでも買おうかな」

そう言って狐酔酒はお菓子が置いてあるコーナーに足を向けたのだが、そこで店内にいる僕たち以外の二人の客と目が合った。
同級生だ。

「お! 妖風あやかぜ栗原くりはらじゃん。奇遇だなぁ」
狐酔酒に声を掛けられた二人組は驚いた顔でこちらを見た。

「ん? あ、狐酔酒と……さ、佐々木? なんであんた和服なのよ……」
妖風が僕の服装について言及してきた。

妖風のフルネームは妖風緋彗ひすい
地雷系メイクにハマっているギャル、らしい。
けいがそう言ってた。

妖風は『可愛いもの愛好会』という部活に所属している。

「僕の普段着だよ」
僕が答えると、妖風は胡散臭そうに僕を見た。

「小野寺といい、あんたといい……あんたたちの前の学校で和服が流行ってたとか?」
「そうかもね」
「そうかもねってどういうことよ。まぁどうでもいいけど」

話を聞いていた栗原は苦笑いしてから僕に言った。
「こんばんは、狐酔酒君と佐々木君。狐酔酒君はともかく、佐々木君とはあまりちゃんと話したことなかったよね?」

「ないね。この前けいと一緒に可愛いもの愛好会の見学に行ったときに自己紹介されたのは憶えてるけど」
「そうだよねぇ。じゃあ私の名前は憶えてるかな?」

「栗原窓無まどね。妖風の友達で趣味は思考放棄だっけ?」
「完璧じゃ~ん」
栗原はケタケタ笑った。

狐酔酒が言った。
「栗原とはオレもあんま絡みないよな」
「まぁ違うクラスだしねぇ。ってかこの中じゃ私だけクラス違うじゃん。やだ~」
栗原はまた一人で楽しそうに笑った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

執事👨一人声劇台本

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
執事台本を今まで書いた事がなかったのですが、機会があって書いてみました。 一作だけではなく、これから色々書いてみようと思います。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

未冠の大器のやり直し

Jaja
青春
 中学2年の時に受けた死球のせいで、左手の繊細な感覚がなくなってしまった、主人公。  三振を奪った時のゾクゾクする様な征服感が好きで野球をやっていただけに、未練を残しつつも野球を辞めてダラダラと過ごし30代も後半になった頃に交通事故で死んでしまう。  そして死後の世界で出会ったのは…  これは将来を期待されながらも、怪我で選手生命を絶たれてしまった男のやり直し野球道。  ※この作品はカクヨム様にも更新しています。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...