佐々木恭介の深夜徘徊

夜桜紅葉

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10:00 P.M.

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 下駄を履いているから足を踏み出す度にペタペタと音が鳴る。

最近は学校の通学靴を履くことが多いから聞くことが少なくなってしまったが、僕はこの音が結構好きだ。

特に寒いせいか足元にばかり意識が行くが、少し歩くと足の寒さに慣れてきて今度は耳に意識が集中し始めた。

多分今鏡を見たら耳が真っ赤になっているのを確認することができるだろう。
寒いを通り越して少し痛くなってきた。

なんとかするために耳を指でつまんで揉み揉みしてみた。

すると血行が良くなったような感じがして少しだけ寒さが和らいだ気がする。

そして耳の次は手の冷たさに気がついた。
僕は手をグーとパーにするのを何度か繰り返した後に、口元にやって
「はぁー」
と息を吹きかけた。

そうして少し温かくなった手を袖に突っ込むようにして腕を組んだ。

今夜はこの動作を幾度となく繰り返すことになりそうだと思った。

しばらくの間は寒さをどうにかするのに夢中になっていたが、それが落ち着いてくると周りの様子に気を配る余裕ができた。

ひっそりとしている。

別に昼間でもそこまで賑やかなわけではないが、それにしても静かだ。

どこかの家から少しだけ漏れているテレビの音や、街灯に虫が体当たりする音くらいしか聞こえてこない。

車もあまり通らない。
今のところ不審者は見かけていない。
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