6 / 30
9:00 P.M.
9:00 P.M.
しおりを挟む
桜との通話を終えた僕は、カーテンを少し開けて窓の外を見てみた。
空は良く晴れていて星がちらほら見える。
天文部に所属している僕は、同じく天文部に所属している天艶から貸してもらった星座の本を開いて、実際の夜空と見比べてみた。
すぐにオリオン座を見つけた。
しばらくぼんやりとそれを眺め、カーテンを閉めた。
やっぱり星は実家の方が良く見えるな、と僕は思った。
僕や天姉やけいの実家であるあの家は山奥にあった。
周りに何の明かりもないため、満天の星空を当たり前に見ることができていたのだ。
引っ越してきてからあの光景が特別なものであったということを改めて実感した。
ホームシックという程のことでもないが、僕はあの家のことを考え始めた。
僕たち家族が七人で過ごしていたあの家には、今はもう四人しかいない。
僕たち三人がいなくなった分だけ寂しくなったあの家の様子を想像して、少しだけ感傷的な気分になった。
僕は再び星座の本に目を落とした。
そしてこの本を貸してくれた子のことを思った。
天艶は面白い子だ。
思考回路が面白い。
頭は結構良いほうなのだが、多分結論を出す時にだけIQが下がっている。
出会ったばかりの時にした会話で、天艶は僕とけいのことについてかなり核心に迫る推理を披露してくれたのだが、彼女が出した結論は僕たちが忍者であるということだった。
それまでの推理が全部無かったことだったかのように、けいのゴザル口調を根拠として僕たちの正体が忍者であると結論付けたのだ。
僕は天艶のこの「終わり良ければすべて良し」ならぬ「終わり良くないすべて台無し」な推理が結構好きだ。
推理を披露してくれた時の天艶の真剣な表情を思い出して、僕はクスッと笑った。
空は良く晴れていて星がちらほら見える。
天文部に所属している僕は、同じく天文部に所属している天艶から貸してもらった星座の本を開いて、実際の夜空と見比べてみた。
すぐにオリオン座を見つけた。
しばらくぼんやりとそれを眺め、カーテンを閉めた。
やっぱり星は実家の方が良く見えるな、と僕は思った。
僕や天姉やけいの実家であるあの家は山奥にあった。
周りに何の明かりもないため、満天の星空を当たり前に見ることができていたのだ。
引っ越してきてからあの光景が特別なものであったということを改めて実感した。
ホームシックという程のことでもないが、僕はあの家のことを考え始めた。
僕たち家族が七人で過ごしていたあの家には、今はもう四人しかいない。
僕たち三人がいなくなった分だけ寂しくなったあの家の様子を想像して、少しだけ感傷的な気分になった。
僕は再び星座の本に目を落とした。
そしてこの本を貸してくれた子のことを思った。
天艶は面白い子だ。
思考回路が面白い。
頭は結構良いほうなのだが、多分結論を出す時にだけIQが下がっている。
出会ったばかりの時にした会話で、天艶は僕とけいのことについてかなり核心に迫る推理を披露してくれたのだが、彼女が出した結論は僕たちが忍者であるということだった。
それまでの推理が全部無かったことだったかのように、けいのゴザル口調を根拠として僕たちの正体が忍者であると結論付けたのだ。
僕は天艶のこの「終わり良ければすべて良し」ならぬ「終わり良くないすべて台無し」な推理が結構好きだ。
推理を披露してくれた時の天艶の真剣な表情を思い出して、僕はクスッと笑った。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
人類vs魔族vs先生の話
夜桜紅葉
ファンタジー
人類、魔族共通にして最大の脅威である小野寺桜澄を倒すため、人類は魔王に交渉を持ち掛けることにした。
そこで選ばれたのは四人の勇者。
彼らの使命は、人類が小野寺桜澄と戦争する際に魔族の協力を得られるようにすることだ。
人類だけでは小野寺桜澄に勝つことはできない。
彼らの交渉に世界の命運がかかっているといっても過言ではないのだ。
しかし、彼らは内心あまり乗り気ではなかった。
なぜなら彼ら四人にとって小野寺桜澄は育ての親のような存在だったからだ。
そんな彼らは旅立ちの日に異世界から召喚されたもう一人の勇者に出会うことになる……
「血のない家族」の番外編。
話を書く話でけいが書いた話の続きの話です。
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+、ツギクルにも掲載しています。
【完結】箱根戦士にラブコメ要素はいらない ~こんな大学、入るんじゃなかったぁ!~
テツみン
青春
高校陸上長距離部門で輝かしい成績を残してきた米原ハルトは、有力大学で箱根駅伝を走ると確信していた。
なのに、志望校の推薦入試が不合格となってしまう。疑心暗鬼になるハルトのもとに届いた一通の受験票。それは超エリート校、『ルドルフ学園大学』のモノだった――
学園理事長でもある学生会長の『思い付き』で箱根駅伝を目指すことになった寄せ集めの駅伝部員。『葛藤』、『反発』、『挫折』、『友情』、そして、ほのかな『恋心』を経験しながら、彼らが成長していく青春コメディ!
*この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件・他の作品も含めて、一切、全く、これっぽっちも関係ありません。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
魔法少女の敵なんだが魔法少女に好意を寄せられて困ってる
ブロッコリークイーン
青春
この世界では人間とデスゴーンという人間を苦しめることが快楽の悪の怪人が存在している。
そのデスゴーンを倒すために魔法少女が誕生した。
主人公は人間とデスゴーンのハーフである。
そのため主人公は人間のフリをして魔法少女がいる学校に行き、同じクラスになり、学校生活から追い詰めていく。
はずがなぜか魔法少女たちの好感度が上がってしまって、そしていつしか好意を寄せられ……
みたいな物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる