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外伝 とある新人生産プレイヤーは…… 気付いたら、神の子供(双子)の専属メカニックになってました!?

真W.R発進!? 新世界の片隅に泣く少女…… 自由の方舟を纏いて、青き翼で翔ぶ!!

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「おい! 此方に誰か居るぞ!」

とある教団の建物に警察が踏み込でいた。

「これは…… 報告にあった〝違法改造〟のフルダイブVR機器か?」

建物の最も奥の居室…… その収納に隠された部屋で、モナも巻き込まれた事件の元となった〝大陸企業製〟のフルダイブVR機を付けられた人々が居た。

「やはり情報通りの洗脳施設だったか……」

「警部! 子供が居ます!」

「何!? くっ、すぐに救護班とフルダイブ機器の専門家を呼べ!」

「は、はい!」

 ・
 ・
 ・

「ここは……?」

「マスター! 会いたかったです」

「え!? ちょっ、ま、【マキナ】……って事は…… ここって、新世界なの?」

「そうですよ。マスター【フレディ】」

「お久しぶりね。フレディちゃん、マキナちゃん」

「えっ? れ、【麗華】……さん?」

「そう、麗華よ。W.Rの創設時以来ね」

フレディとマキナの前に、新世界の開発者の麗華が現れる。

「麗華さんが居るって事は…… やっぱり新世界なの?」

「此処は…… 新世界だけど新世界では無い場所…… 心療治療の為に作られたフルダイブ空間よ」

「心療治療…… ですか?」

フレディ達が居るのは、麗華が新世界のシステム内に作った……

〝大陸企業製のフルダイブ機器〟の被害者を受け入れる為の空間だった。

「現実の貴女は…… とある教団施設から保護されたの。そこでは、違法に改造された大陸企業製フルダイブ型VR機器を使った…… 洗脳が行われていたの」

「洗脳…… 私…… 大丈夫…… ですか?」

「今の現実の貴女の身体は、新世界のシステムを応用した医療センターでバイタルチェックと薬物反応を確認…… 新世界のシステムで精神に異常が無いかの確認中…… なんだけど、私とまともに話しているし…… どんな宗教で教団なのか解る?」

「いいえ、まったく解らないですけど?」

「どうやら…… 洗脳される前に保護されたみたいね」

「あの……」

「何かしら?」

「私…… どうなるのですか?」

「とうぶんは…… 検査入院になるわね。まだ薬物検査や洗脳の疑いがあるから…… 教団の調査で警察にも事情が聞かれると思うし」

「入院……」

「心配しなくても大丈夫よ。この医療センターは国と提携して防衛施設になっているから、セキュリティが万全よ」

「国の防衛…… 施設ですか? そんな処に居ても良いのかな?」

「一応は警察病院とか自衛隊の医療施設扱いで、貴女は被害者なんだから心配いらないわよ」

「はあ……」

「で、フレディちゃん。貴女に見て貰いたい物があるの」

麗華が指を鳴らすと、白い部屋だった空間が変わる。

「ここは…… 格納庫?」

「よう、来たな」

「貴女達は!? エミリーさんとエナさん!!」

薄暗い巨大な格納庫に変わると、エミリーとエナが現れた。

「お二方、お久しぶりです」

「ええ、フレディちゃんにマキナちゃん。事情は聞きました…… また会えて良かったです」

「私も…… もう会えないかもって……」

エミリーとエナを見て、気が抜けた様にフレディが涙ぐんで座り込む。

「マスター!?」

「フレディちゃん! 大丈夫?」

「おいおい…… 泣くな泣くな」

「だって~」

「この空間、今は時間加速しているから…… 泣くだけ泣いちゃいなさい。あんまり我慢すると爆発しちゃうからね」

麗華の言葉を聞いて、フレディが頷きながら幼い子供の様に声を上げて泣きじゃくる。

その姿を見て、エミリーとエナは顔を合わせては…… 優しくフレディを抱き寄せて、その背を撫でた。

「で…… 大丈夫かしら?」

「はい…… す、すいません……」

大泣きした目を擦りながら、フレディが気はずかしそうに立ち上がる。

「それで…… ここって……【フェアリーガーデン】ですよね? ここに呼ばれたのは?」

「ああ、それはな……〝こいつ〟を返す為にな!」

エミリーが格納庫の照明スイッチを入れると、格納庫内を光が照らし出す。

「うっ…… えっ? こ、これって!? それに……」

薄暗い格納庫に溢れた光にようやく馴れたフレディの目に、格納庫で照明に照らされる【フリーアーク】とその前に居る人達の姿が見えた。

「「「「「「おかえり!!」」」」」」

「た…… た゛た゛い゛ま゛!!」

フリーアークの前に居るW.R創設メンバー達の姿に…… フレディがまた泣いた。

 ・
 ・
 ・

『この!』

「てい!」

拘束が解けたW.R狩りの機神に、PKや盗賊プレイヤーの機神が迫るが……

「やらせないよ」

カノンとカンナが乗るジェミニオンが炎を放つ!

『があ!?』

W.R狩りの機神に迫る機体の右腕部が炎に包まれると…… 武装ごと分解した。

『チィ、奴の炎に触れるな! 機体が分解されるぞ!』

『糞が! どうなってやがる!?』

『無理に近付かずに、遠距離攻撃で囲め!』

PKと盗賊傭兵部隊の機神達が、ジェミニオンとW.R狩りの機神を取り囲む様にして…… 遠距離武装を構える。

「これは…… にい、モナちゃん」

「やばい…… かな?」

「このままでは……」

「くっ……(ここまでなの…… おねぃちゃん…… ごめ)!?」

W.R狩りの機神のコックピットで、少女の心に絶望が迫った瞬間……

「な!?」

轟音と共に取り囲んでいたPK、盗賊傭兵部隊の機神が吹き飛んだ。

「砲撃!? 何処から……」

「あれは…… 鳥?」

太陽の光がモナ達に影を落とした。

その影の正体は……

「どうだ! この威力は?」

「いつも通り、サイズが機神の武装じゃないな」

「うるさいね。巨砲こそロマンじゃないかい?」

「相変わらずですね…… マスター、家出娘を発見しました」

「まったく…… 心配していたら、まだ見ぬ妹分と仲良く遊んでるじゃないの」

PK、盗賊傭兵部隊の機神達に砲撃をする…… フリーアークのブリッチには、フレディとマキナ、W.R創設メンバー達が居た。

フレディは少女が乗るW.R狩りの機神の姿に…… 膝から崩れ落ちた。

「しかも、色々と余計な物を付け足して…… これじゃあ~ドッキングは無理か~」

頭を掻きむしりながら喚くフレディに……

「マスター、私にお任せ下さい」

「マキナ?」

マキナが2回タップを踏むと…… 床から黒電話が乗ったテーブルが現れる。

「あ~…… もしもし? お久しぶりです…… ええ、マキナです…… はい、無事にマスターと合流いたしました。つきましては、少し頼みたい事がありまして……」

「もしもしって…… マキナさん? 何方とお話」

「しぃ~電話中ですので、お静かに」

「あっ、すいません」

「…… 失礼、此方の話でして…… ありがとうございます。では…… マスター、ドッキングの準備を!」

「え、あ、はい、ドッキング準備!」

「「「「「「「了解!!」」」」」」」

マキナの言葉にフレディが合図すると…… フリーアークがW.R狩りの機神に向かって急降下を開始!

「ちょ、え~!?」

フリーアークが急降下を開始した瞬間…… W.R狩りの機神をジェミニオンの放つ炎が包んだ。

「マスター、そのまま行きましょう」

「え~もう! ドッキングシステム起動!?」

ジェミニオンの放った炎の中から…… 斑だった継ぎ接ぎの外部装甲を脱いで、一回り小さくなったW.R狩りの機神が飛び出し、可変したフリーアークの中心部に収まる。

「たく…… おかえり」

『おねぃちゃん!? た、ただいま…… ひっく……』

白い装甲が青に変わり、鳥の様な姿に変形したフリーアークの中で……

幸せの青い鳥を見失った迷子の少女は、ようやく大好きな姉達の元にたどり着いたのだった。

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