新世界で… 妖精少女は、ロボットを夢見る

チキンとり

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外伝 とある新人生産プレイヤーは…… 気付いたら、神の子供(双子)の専属メカニックになってました!?

お姉ちゃんは、最強緑人の一人【白雷の白虎姫】!!

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「~♪」

ご機嫌な感じで、鼻歌を歌いながら着替え始めたシロ。

「カノンとカンナかぁ…… 元気に大きくなった♪」

ブルマを履いて平仮名で〝しろ〟と書かれたゼッケンの付いた半袖の体操着を持つシロの胸には…… 心臓の位置に〝蒼い刻印タトゥー〟が煌めいていた。

「あの人が…… お父さんとお母さんの言っていた。〝僕らの1番上のシロお姉ちゃん〟か……」

カノンとカンナは、新世界を始める前に両親から聞かされていた事が有った。

「お父さんとお母さんが、新世界でお仕事してるのは教えたよな?」

「「うん」」

「ぷろぷれいやーさんなんでしょ?」

「ああ、お仕事中は新世界の中の人達と同じ様に生活して居てなぁ…… お母さんと結婚したのも、新世界の中でなんだが……」

「しってる! おじいちゃんとおばあちゃんに聞いた事あるよ」

「うん」

「それでねぇ…… 新世界にも、お父さんとお母さんの子…… つまり、あなた達の〝姉弟〟が居るの」

「「きょうだい!?」」

「そうだ。新世界でしか逢えないけど、俺達の大切な家族だ」

「たいせつなかぞく……」

「おにいちゃんかな? それとも、おねえちゃん? お母さん、どっちなの?」

「それはねぇ……」

と、嬉しそうに微笑む両親の顔を思い出して、カノンとカンナは模擬戦の準備をして居た。

「だいじょうぶ? おねえちゃん……〝緑人〟だよね?」

「うん…… 新世界のキャラクターNPCのはずだけど……」

「とりあえず、模擬戦で確認しましょう。シロさんの強さを」

カノンとカンナが、シロに羽交い締めになった後……

「なるほど…… キングとクイーンに再戦する為、格闘スキルを鍛えたいと?」

「今度は、機神プロレスで挑む!」

「それには、格闘専用の機神を用意して、僕達自身の格闘スキルをLvアップしないと」

「後は…… 対人で実戦しないとかな?」

「私は、生産スキルのLvアップだねぇ……」

「とりあえず、格闘スキルで討伐クエストしまくる?」

「当分は…… そうやって、機神の素材と資金稼ぎするしか無いね」

「となると…… 盗賊狩りで対人訓練?」

「そうなるかな……」

「盗賊狩り…… 一度やったけど、盗賊って…… 臭いんだよねぇ…… ヤダなぁ……」

盗賊狩り経験者のツグミの目に光が消えた……

「それは…… 確かにヤダねぇ……」

「素材的には、金属系モンスターの方が……」

「で、でも、格闘スキルを対人で試さないと……」

「カノン兄! 臭いって事は…… 汚いんだよ!」

「う、うん……」

「格闘スキルでって事は…… 触らないといけないんだよ? カノンは、積極的に触れるの?」

「ごめん…… できれば避けたい……」

対人訓練に頭を悩ませるカノン達、その様子に……

「なら…… 私と訓練しよう……」

「「「「えっ……」」」」

シロが対人訓練の相手に名乗り出る。

「シロさんと…… 対人訓練?」

「む…… お姉ちゃん!」

「え~と…… だいじょうぶなの?」

「お姉ちゃんに…… 任せなさい!」

と、言うわけで…… シロとカノン、カンナ、ツグミは模擬戦をする事になった。

「終わったら…… みんなでクエスト……♪」

体操着にブルマ姿で準備運動するシロが呟く。

「あの…… シロさん?」

「うー…… お姉ちゃん!」

「シロ「お姉ちゃん!」…… あの…… ですねぇ……」

話し掛け様とするカノンの言葉に、シロが不機嫌に顔をそらした。

「あのねぇ…… お姉ちゃん?」

「何♪」

見かねたカンナが、シロをお姉ちゃんと呼ぶと…… シロが嬉しそうに応えた。

「お姉ちゃんは…… その…… 冒険しても、だいじょうぶなの?」

「うん?」

「その…… 死んじゃったりとか…… しない?」

「お姉ちゃんは大丈夫♪ お母さんが〝蒼人〟と同じ様に……〝死に戻りできる〟様にしてくれたから♪」

王都には〝死に戻る緑人〟が居る…… カノン達生まれる前から、プレイヤー達の都市伝説的に語られる噂である。

この噂の真相は…… 真実だった。

〝ある妖精な混沌神〟が、神になる前の魔王だった頃に…… ダンジョン開発のシークレットクエストで手にしたレアアイテム【蒼の刻印】……

このアイテムは、使用したプレイヤーの好感度が高い緑人を〝蒼人と同じ恩恵を得る〟効果が有るアイテムだった。

つまり…… シロは、寿命や特殊な条件じゃないと死がない〝プレイヤーと同じ様に強くなって生き返る緑人〟になったのだ。

そして、彼女シロは、この7年の月日をプロプレイヤー達の様に過ごして居た……

「それじゃあ…… 何時でも良いよ」

「なら……」

カノンが姿を消して、カンナとツグミが身構える!

「カノン…… 隠れん坊上手だねぇ…… けど…… ね♪」

「「「!?」」」

「カノン…… 見っけ♪」

カンナとツグミ前から消えたシロが カノンを後ろから抱き締めて居た。

「カノンは恥ずかしがり屋さん? でもね……」

「あぅん!」

カノンの首筋を舐めて、シロが呟く……

「知らなかった? お姉ちゃんからは…… 逃げられないの♪」

「「ヒィ!?」」

シロの顔を見たカンナとツグミは…… 小さな悲鳴を上げる。

夜空に輝く満月の様に、金色に輝く瞳と三日月の様につり上がった口をしたシロの姿は……

カンナとツグミの二人には、獰猛な白虎が嗤っている様見えていた。

 ~ 冒険屋に居たプレイヤー達 ~

「よっ! 久しぶり♪」

「おっ? 久しぶりだな。最近見ないけど、どうしたんだ?」

「いやぁ~…… 狂剣さんに近付く為に、特殊スキル修行中でなぁ……」

「またかよ。いい加減にやめとけて……【白虎姫】に付きまといは…… アカバンになるぞ」

「けどよ……」

「確かに……【雷装】は魅力的だよなぁ。白虎姫も可愛いし……」

「唯一の〝四神の白虎族〟の生き残りで、緑人最強の一人だからな」

四神獣族の白虎族唯一の生き残りであるシロは…… 特殊伝承スキル【雷装】の唯一の使い手で、そのスキルを求めたプレイヤー達から追われたのだが……

「しつこい奴等は、一瞬で感電死だからな」

「流石は、【白雷の白虎姫】だ」

雷装のスキルを狙い…… シロを付け回したプレイヤー達は、〝白い光〟に包まれて死に戻る事案が多発したが……

そのプレイヤー達のログに残った〝感電死〟の3文字と〝白い光〟から、【白雷の白虎姫】と呼ばれる最強緑人キャラの一人として、大人気になったのだった。

「さあ…… もっと、お姉ちゃんと遊ぼう♪」

「あう!?(ゾクゾク……)」

そうカノンに囁いては…… 無邪気に微笑んで、シロはカノンの耳に息を吹きかけるのだった。

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