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最終章 妖精少女の夢は月光に…… 新世界を優しく煌めき照らす編 

【本編最終回】月光が照らすは、ロボットを夢見た妖精少女の夢の先…… 新たな〝夢〟の始まりへ!!

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『チッ、今日の【邪神星】は…… 顔がはっきり見えるな』

『この年に一度の邪神活動イベントが実装されて……〝7回目〟ですからね』

あの邪神始祖の機神強奪月崩壊事件から……〝7年目〟を迎えていた。

『今までの〝6回〟で、邪神に挑めたのは〝4回〟…… 我等レイド組は、全て惨敗した!』

『あの魔神の合体キメラは、ヤバイですからねぇ…… やはり、討伐成功クラン魔王の夜会軍に助力を頼むべきでは?』

『頼まないと思うのか?』

『えっ!? 頼んだのですか? じゃあ……』

『断られた……』

『えっ!?』

『獣人魔王を連れて来いって…… 無理難題を言われて……』

『ああ…… あの初期CMキャラの…… 無理ですねぇ……』

『最近は噂すら出ないからな…… 邪神と同じ様にバグキャラで修正されたのか?』

『どうなんでしょ? ああ、せめて獣王さんかヒーローさんが参加してくれたらなぁ……』

『プロプレイヤー達か…… メインストーリーのラスボスイベントだから、低年齢プレイヤーがいないと無理だろうな』

『クマカジャーは?』

『リアル学生らしいからなぁ…… それに修正前の魔神を倒してるから、積極的にイベント参戦してない様だぞ?』

『新世界も8年目…… プレイヤーの世代交代が激しくって、新規さんが育ってない状態ですかね……』

『今回は、月の連中も参戦するってよ』

『月の修復は進んでるの?』

『バグ修正の時に…… 半分くらいの大きさになったけど、地の最高神と魔の最高神の力を借りて、周辺のデブリとかで3分の1まで修復してるらしいからな』

『もう一つの〝月〟には、降りなかったの? 月の修復より楽そうに見えるけど?』

『あ~…… あの〝月〟なぁ? あそこはダメなんだよ……』

『なんで?』

あの邪神戦の後、月の崩壊で難民化した脱出船となった月面都市だが……

一度、月の崩壊で発生した月の破片を吸収して、新世界の月と同じ大きさになった【小妖精月フェアリームーン】に移民を試みるも……

『この星は……【混沌神】と、その混沌神を愛する者達の楽園星…… 不用意に近付いてはいけません! 混沌神を愛する【破壊神】の逆鱗に触れますよ!!』

と、光の最高神の必死の忠告により…… 移民を断念し、最高神達の力を借りて月の再建をする事になる。

『今回は勇者達が参戦するし、場所が王国内だから…… なんとかなるかもな』

『ああ…… あの【めておん】と【ギンガ】に【タツミ】かぁ…… 参戦するの?』

『参戦するにしても…… 我等のレイドに入ってくれるか?』

『くそ…… 何で、参戦する時に個人かパーティーやクラン戦かレイド戦か、別々に選べるんだよ! 俺をラスボスまで、連れて行ってくれよ!!』

『あんたみたいな寄生防止の為でしょ…… さあ、そろそろ時間だよ』

空に浮かぶ邪神星アドラギースが妖しく輝くと…… 地面から穢れが溢れ出し、魔物や邪神機の姿に変わり始める!

「始まるね…… 今日は、どうする?」

「みんなとゲームしたい!」

「ぼくも♪」

「じゃあ、レイドで参戦しよう♪ ウー、お願い」

穢れが溢れ出す様子を離れた場所から見ていた〝3人〟は、それぞれの機体に乗り込むと機神の目に光が灯る……

『おいおい…… 今回は、魔物や邪神機が多くないか?』

『なんで…… あっ! レイドの参戦人数は?』

『ちょっと待っ…… ちょっ! 1000!? なんで? まだ増えてる!?』

『はあっはっはっはっ、【聖女の盾】復活!! 我等の後ろに邪悪な者は通さん!!!』

『えっ!?【救世主メシア】が来た!?』

『いくぞ、おめぇらぁ! 邪魔な奴等をぶった切れ!!!』

『『『『『うおぉぉぉおう!!!』』』』』

『【狂剣】達も来た!?』

『あっちに陸上戦艦が!【闘う商業団】【戦狂い】【名も無き傭兵】が参戦したのか!? でも…… 何で?』

邪神星イベントにレイドで参戦していたプレイヤー達は、驚愕する……

新旧の有名プレイヤー達が次々に現れたのだ。

『いったい…… 何が……』

『よう、まだ始めたばかりかい? 敵が来るぞ! ボサボサするなよ!』

『あっ!? は、はい! 今日は…… 参戦が多いですね?』

『知らないのか? 8周年記念に邪神星イベントでラスボスに勝つとなぁ…… なんと、特別報酬が出るんだよ』

『えっ! 特別報酬ですか!?』

邪神星が現れてから、年に一度の邪神星イベントの通知が届くのだが……

今年の通知には、前の年には無い文面があった……

それには……〝今年の邪神星イベントの参戦者には…… 真なる試練が訪れるであろう〟と、書かれていた。

その文面に、プレイヤー達の憶測と噂が飛び交う……

そして…… レイド戦に〝とあるプレイヤー〟が参戦した事により、その噂が真実味を持ってしまった。

『その試練に勝てば、すげぇ報酬が貰えるって話でな…… 新旧、有名無名は関係なしにお祭り騒ぎよ!』

『だから、参加人数がとんでもない事になってるんですね……』

『ああ、有名プレイヤーが多数参戦してるから、邪神に負けねぇ! 今の内に経験値稼ぎな!』

プレイヤー達の参加人数に比例して、邪神星活動の影響で現れる魔物や邪神機が増えるが……

有名プレイヤー達が多数参戦したプレイヤー軍は、危なげ無く殲滅をして行く。

そして……

『魔神の残象を確認…… ロザウィン型です!? 何だ? 彼奴等……』

『どうした?』

『後方から数機の機神が…… ありえない速度で魔物と邪神機を殲滅しながら、ロザウィン型に突っ込んで行きます!?』

『何!?』

先行して斬り込んだプレイヤー達の後方から、大量の魔物や邪神機を討ち倒した爆煙が上がると……

物凄い速度で殲滅する機神達が姿を現す!

『来たか……』

『スゴい♪スゴい♪』

『機神の扱いは…… 流石ねぇ』

『そりゃあ~〝あの人達〟の子供達だもの♪』

『俺達も、うかうかしてらんねぇな…… なぁ?【エン】』

その様子を少し高い場所から、今回の騒動の切っ掛けになった〝とあるプレイヤー達〟……

高校生になった【トイボックス】の年少組……【エン】達が見ていた。

『ああ! いくぞ!!』

出撃するエン達だが、その機体は……

【クマカマシン】では無く、それぞれ自分用にカスタムした専用機神だった。

『久しぶりに【ユキちゃん】と【マコちゃん】に会うね♪』

『アイツは…… 最近、【カノン】と【カンナ】に構い過ぎだ』

『あらあらあらん? 妹が盗られて…… やきもち?』

『うるせぇ!』

『ほらほら、喧嘩より急げ! 思ったよりも、早いぞ!!』

受験等で、一時期離脱していたエン達が見つめる先には……

『いくよ♪ カノン兄!』

『狙い…… 射つ! カンナ、回避は任せた』

『了解だよ♪』

サブアームに持つ狙撃ライフルで、飛行する魔物や邪神機を射ち落としては……

『天に煌めく双子星…… とお! 究極、ジェミニオンキィィックゥゥゥ♪』

飛び上がり、必殺キックで敵陣に斬り込む!

『ちょっ!? 先行し過ぎ!』

『待ってよ!』

その後ろを、ユキとマコが乗る機神が追いかけるのだった。

 ・
 ・
 ・

「まったく…… あの子達たら……」

その様子を小妖精月フェアリームーンから、見守る〝存在〟がいた。

「今日も元気一杯の様だね?」

「あら? ヒーローのお仕事は大丈夫なの?」

「今日の俺は〝破壊神〟だよ。〝混沌神〟」

「そうね…… あの子達は……」

「うん?」

「来る気かしら?」

不安気な表情をする〝混沌神〟のカナエに、〝破壊神〟のジノが笑いながら……

「今日…… 宣言されたよ。〝お父さん、お母さんに会いに行くよ〟ってね」

「えっ…… それって、どう言う意味かしら?」

「あの子達は…… 真の試練で俺達に挑むつもりだよ。本気でねぇ」

「なるほどねぇ…… それじゃあ、楽しみに待つとしようか♪」

ちょっと考えてから…… 楽しそうに言うカナエを、優しく微笑みジノ、フェアリエ、ブレイブが頷いた。

「さあ、カノンとカンナ達と遊んだら…… 今度は、どんなロボット作ろうか♪」

新世界で……

ロボットを夢見た妖精少女は……

夢見た先で、愛する者達と出会い……

育んだ大切な子達と……

新たな夢へと……

翅を広げて、舞い上がる……

そんな彼女を……

妖精月の光は、優しく照らすのだった……

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