上 下
339 / 464
最終章 妖精少女の夢は月光に…… 新世界を優しく煌めき照らす編 

崩壊する月!? それぞれの決断

しおりを挟む
脱出した月面都市から、崩壊を始めた月を眺めて居た月の上層部……

「月帝様、どうしたら……」

「このままでは、崩壊した月の破片が重力に引かれて地上に…… そうなれば地上は壊滅です!」

「悲しいですが…… 月の欠片を我々で、さらに砕くしかありません…… 月面都市全域に戦闘の準備を、蒼人達に依頼を出して下さい!」

「この都市の全兵力を持って、地上を護るぞ!」

「勇者達にも出撃を頼みましょう…… これは、邪神との聖戦です!」

 ・
 ・
 ・

 ~ 地上のナインアール王国 ~

「報告! 帝国より迫る兵力を確認…… 魔人だとの事です!」

「魔人だと!? 帝国は邪神に堕ちたか…… 月が今にも割れそうな時に!」

「狙ってたんだろうね…… 月への対策を妨害するつもりかな?」

「王よ…… どう致しますか?」

「先王を追放した時から、ある人の協力で地下に国民と動植物を護るシェルターを作って正解だったわね」

「王妃様、シェルターとは?」

「私達の親友がね……〝王国の地下にレアアースの鉱脈が在りますから…… 掘って良いですか?〟って、聞いて来たから許可したら……〝けっこう深いですね…… 折角なので、掘った後地に頑丈なシェルター作りますね♪〟って、作ってくれたのよ♪ 良い子でしょ?」

「なんと!?」

「全軍に伝令なさい。民間人は王都に転移させる様にと! シェルターに避難させます」

「問題は…… 魔人と月だが…… うん? 通信だ」

『よっ、英雄。ひさしぶりだな?』

「あら、叔父様じゃないの。おひさしぶりですね」

『セルフィナの嬢ちゃんも一緒か…… なら、丁度良いな』

「【黄金卿】、貴方も大変では?」

『おうよ! あの月が降って来るってな? だからよ』

「「?」」

『英雄と嬢ちゃん、俺と一緒に〝あのいしころ〟を壊しに行かないか?』

 ・
 ・
 ・

 ~ 月の裏側…… ~

『おのれ…… 邪神共め……』

始祖の機神の内部で、邪神機に浸食される始祖の機神を見る者が居た。

『〝我が身体〟で…… また、あの破壊を繰り返す気か…… 愚かな……』

始祖の機神の頭部で回転をしている球体…… その球体こそが、始祖の機神の意思とも言えるコアユニットだった。

『忘れたのか…… 我が降り立ち…… 地上の一部が海の底に沈んだのを……』

あの神々の争い時……

日ノ本を始めとした諸島連合の島々が生まれた地殻変動は……

始祖の機神の戦闘によって起こされた。

始祖の機神が地上に降り立った時……

その巨大さから、その地は壊滅的な被害を受け海の底に沈んだのだ。

『何故…… 我はこんなに巨大なのだ……』

その気も無いのに…… 地上を壊滅的に破壊してしまった始祖の機神は……

『この地には…… 我の居場所は無い……』

地上を去ると……

月の裏側に、その身体を沈めて眠りについた……

何時か…… 平和に目覚められると信じて……

『また…… 我が破壊を生むのか…… しかし…… 我が意思を奪われるつもりは無い……』

コアユニットの球体が眩い光を放ち始める!

『うん?』

「どうしたの? 坊や?」

『こいつ…… 生意気だ。武装にロックした!』

『始祖の機神め…… 意思を持って居たのか…… だが、所詮は無駄な足掻きだ』

『頭に来たよ…… こいつの全てを奪ってやる!』

「浸食の速度が上がった…… スゴいわ! 坊や!」

始祖の機神の巨大な機体に穢れが登り上がる!

『浸食が上がった…… これまでか…… この身体に未練は無い…… だが…… ただでは、やらんぞ…… 小僧!』

『な!?』

始祖の機神の各所で爆発が起き、穢れが噴き出した!

『こいつ…… 自分で、重要な制御装置と回路を破壊した!』

『去らばだ…… 最早、我にその古い身体は相応しく無い…… 新たな神に願うとしよう……』

『待っ!?』

始祖の機神の頭部を爆発し、コアユニットは宇宙空間に流出するのだった。

 ・
 ・
 ・

 ~ フェアリーガーデン 神々の箱庭 ~

「あのバカが…… 地上を壊滅させて、どうやって再生するつもりだ!」

「自分を生み出した者が居ない事を知らないのでしょ?」

「だとしてもだ! 自分で始末出来ない事を仕出かすなんて…… 愚の骨頂! バカ過ぎる!」

「だからこそ、闇と相愛の光が自分に惚れてるなんて思い込むのよ。カナエちゃんに絡んだ勇者を有利にする為に、アレを作ったんでしょ? 作った奴がバカなんでしょうね…… どうやって勇者に倒させる気だったんだか……」

「地よ。お主の力で、月の崩壊…… 止められるか?」

「うむ…… 難しいな…… 穢れが邪魔しおる……」

「神さま方…… よろしいでしょうか?」

「あら? ロッテちゃんにせつなちゃん? どうしたのかしら?」

「カナエ様が……〝月の事〟で神様方のお力を御借りしたいと……」

「ほう♪ カナエちゃんがのう…… で、わしらは、どうすれば良い?」

「はい、先ずは…… 神様方の御力で小妖精月フェアリームーンを……」

 ・
 ・
 ・

『始祖の機神の武装は使えぬか……』

「7割りは浸食で直りますが…… 強力な武装の復旧は…… 制御装置を粉々に破壊されて…… 復元不可能です」

『まあ良い…… この巨体だ…… 降り注ぐ月の欠片を免れても、踏み潰せるだろう…… 先ずは、その力で月を砕くのだ』

始祖の機神の機体を穢れが浸食し尽くすと……

ゆっくりと…… 鋼の巨体が動き出した……

その巨体で、月を砕きながら……

『さあ…… 俺に逆らった事に後悔して、絶望するが良い……』

満足げに邪悪な顔で嗤う邪神を乗せて……

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた

兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。

夢草 蝶
恋愛
 侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。  そのため、当然婚約者もいない。  なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。  差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。  すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?

冤罪を掛けられて大切な家族から見捨てられた

ああああ
恋愛
優は大切にしていた妹の友達に冤罪を掛けられてしまう。 そして冤罪が判明して戻ってきたが

獣人の里の仕置き小屋

真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。 獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。 今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。 仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。

処理中です...