上 下
284 / 464
第11章 神々の魔王と勇者育成計画編

強制的に姫プレイ!?な小悪魔の魔王

しおりを挟む
「みんな、ありがとう♪」

何故か? 満足そうに消えいく勇者側プレイヤー達に、〝普通にいそうな姿〟の小悪魔風少女がウィンクして手を振る。

この少女こそが〝小悪魔の魔王【マミカ】〟だった。

一昔前の…… 首から上をひとくちにされた魔法少女に、似た様な名前をしている彼女は…… 不思議な〝魅力〟を持っていた。

現実の世界でも、容姿は普通…… 成績や運動も普通よりもちょっと下の〝何処にでもいる様な子〟のはずの彼女……

その彼女は……〝好かれる才能〟を持っていた。

家や学校、街中で…… 彼女が関わったもの全てが彼女に好感を持ち、犬や猫、野鳥ですら…… 彼女になつく有り様だった。

そうなると、普通ならば少なからず嫉妬や妬みを持たれるはずなのだが……

不思議と彼女に対して、そう言う感情を持つ者達は生まれなかった。

そんな彼女が、新世界に興味を持って始める時に……

「種族? ランダムで♪」

彼女は…… 新世界で〝夢魔〟になった。

夢魔なったマミカ…… そんな彼女の現実世界の不思議な魅力は、新世界でも発揮されて……

多くのプレイヤーや緑人、新世界の動物達にフィールドモンスターが、彼女にGやアイテムを貢ぎ始めて…… 強制的に〝姫プレイ〟の様になっていた。

流石に悪いと感じたマミカは、プレイヤーや緑人達には〝御返し〟をしていたのだが……

あまりの多さに、御返しを断念して、ソロプレイを始めるも…… その後も、貢ぎは止まらない……

特にフィールドモンスター達が驚きの行動を始める……

マミカが冒険の為にフィールドに出て、武器を構えると……

フィールドモンスター達が、マミカの持つ武器に飛び込むのだ!

後に…… その光景を見たプレイヤーから、バグ報告を受けた運営が解析した時に……

夢魔のユニークスキルの魅了系スキルの影響だと判明し、夢魔プレイヤーがマミカの真似に挑戦したが……

マミカと違い、一撃を受けると激昂してしまい…… その激昂したモンスター達の反撃で、プレイヤーが死に戻ると言う結果だった。

そうして…… フィールドモンスター達に経験値いのちを貢がれたマミカは……

急速にLvアップを果たし、高Lv者しか挑めないダンジョンに挑める様になっていた。

そして…… マミカは出会う…… 魔王の名を冠する最強の夢魔に……

「我は夢魔の魔王…… ロード・オブ・インキュバス…… 夢魔の蒼人よ…… 我すら魅了するか…… そなたこそ…… 夢魔の魔王に相応しい…… 我の全てを捧げよう!」

夢魔の魔王は…… マミカの手に握られた細剣を、おのが心臓に突き立て自決した。

そして、マミカは魔王になった……

彼女が夢魔の魔王になった時に…… 他の魔王には無いユニークスキル〝魅了吸収チャームドレイン〟が発現した。

プレイヤーなどの魅了耐性を持つ者達に、夢魔が持つ魅了系スキルの最上位スキル〝魅了支配〟は効き辛いが……

〝魅了吸収〟は違う…… ほぼ高確率で、敵対者を軽い魅了状態にし…… 魅了状態になった瞬間に、魅了状態の相手〝ステータスの一部を吸収〟するのだ。

敵対者の力を吸収して弱体化させるこのスキルに、彼女の〝好かれる才能〟が重なり……〝最凶の魔王スキル〟に昇格した。

勇者側プレイヤー達が死に戻ると……

「彼女なら…… 応えてくれるのかな? お婆ちゃん…… お爺ちゃん……」

異様に好かれる以外、彼女は普通の少女に育ったのは…… 祖父母の言葉を信じたからだ。

「いいかい? お前には…… 不思議と色んな者達に好かれる力がある…… けど、それに頼っては駄目だよ」

「どうして?」

「お前に好かれる為に、悪い事をする様になったり、勧める者が出るかも知れないからね……」

「わたし、悪い事しないよ?」

「そうだね…… でも、知らないで悪い事をしてしまうかも知れないよ?」

「えっ…… わたし…… やだ……」

「だから、悪い事を悪いと知る人になりなさい…… そして、悪い事は悪いと教えてくれる人と友達になるのよ……」

幼き日に、離れて住む祖父母が教えてくれた事…… その意味は、今では痛いほど解る様になった。

だから、マミカは捜している……

彼女を〝姫〟扱いしないで、一緒に泣き笑いしてくれる対等な存在を……

「あの〝獣人魔王〟なら…… 私に〝悪い事は悪いと〟教えてくれるかな?」

あの日…… CMの中で戦う獣人の女性に、少女は……

たくさんの人に囲まれた……〝孤独な自分〟を救ってくれる存在に見えていた……

「早く…… 会いたいな……」

 ・
 ・
 ・

「くっ…… また殺られたか……」

「突入部隊全滅を確認! 各部隊長の復活は…… 一時間近くかかる模様です!」

この勇魔大戦イベントは…… 質量に任せたゾンビプレイ防止の為に、Lvに応じて復活する時間が違う仕様になっていた。

Lvが高Lvなプレイヤー達は、復活するのに長い時間を要するので…… 勇者側プレイヤー達は攻勢に出れずに迷っていた。

「やはり、勇者達を送り込むしか……」

「それで全滅でもしてみろ…… 俺達の敗北だぞ?」

「しかし、この状況下では…… 勇者達に賭けるしか……」

「あのめておんを見ろ! 奴の様に対策されていたら…… どうする!」

「くっ…… やむを得んな…… 緑人達に増援を頼もう!」

「お困りですか?」

「お前は!?」

「金庫番が何故? 此処に……」

「ちょっとした商談に…… ところで、お困りですか?」

「何が言いたい……」

勇者側プレイヤーの指揮官が疑い深げに問うと、金庫番と呼ばれた人物は胡散臭げな笑みで……

「我々を…… 雇いません?」

と言った直後に…… 金庫番の後方から巨大陸上戦艦が姿を現した。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

【完結】日本で生まれたのに見た目はファンタジーな私!日本語しか喋れないんだけど、何か悪いの?~ピンク髪のヒロインはVRゲームの中で恋愛する~

黒幸
恋愛
旧々題『ピンク髪のヒロインは今日も不機嫌』 旧題『日本で生まれたのに見た目はプリンセスな私!日本語しか喋れないんだけど、何か悪いの?~ピンク髪のヒロインは電子の妖精の夢を見るか?~』 三度目の正直で今度のタイトルで決定です。 2022/1/15に本編は完結しました! アリスは幼馴染のタケルと友達以上恋人未満の関係。 傍目には両想いにしか見えない二人の関係はもどかしいまま、一向に進まない。 彼女は想いを素直に口に出せない天邪鬼な性格。 そんな彼女はタケルが全て、分かってくれた上で自分と付き合ってくれていると信じて、疑っていない。 自分は恋物語のヒロインなのだと思い、日々を過ごしていた。 本編25話、後日談16話の構成となっています。 表紙はノーコピライトガール様のイラストをお借りしています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...