新世界で… 妖精少女は、ロボットを夢見る

チキンとり

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第11章 神々の魔王と勇者育成計画編

強制的に姫プレイ!?な小悪魔の魔王

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「みんな、ありがとう♪」

何故か? 満足そうに消えいく勇者側プレイヤー達に、〝普通にいそうな姿〟の小悪魔風少女がウィンクして手を振る。

この少女こそが〝小悪魔の魔王【マミカ】〟だった。

一昔前の…… 首から上をひとくちにされた魔法少女に、似た様な名前をしている彼女は…… 不思議な〝魅力〟を持っていた。

現実の世界でも、容姿は普通…… 成績や運動も普通よりもちょっと下の〝何処にでもいる様な子〟のはずの彼女……

その彼女は……〝好かれる才能〟を持っていた。

家や学校、街中で…… 彼女が関わったもの全てが彼女に好感を持ち、犬や猫、野鳥ですら…… 彼女になつく有り様だった。

そうなると、普通ならば少なからず嫉妬や妬みを持たれるはずなのだが……

不思議と彼女に対して、そう言う感情を持つ者達は生まれなかった。

そんな彼女が、新世界に興味を持って始める時に……

「種族? ランダムで♪」

彼女は…… 新世界で〝夢魔〟になった。

夢魔なったマミカ…… そんな彼女の現実世界の不思議な魅力は、新世界でも発揮されて……

多くのプレイヤーや緑人、新世界の動物達にフィールドモンスターが、彼女にGやアイテムを貢ぎ始めて…… 強制的に〝姫プレイ〟の様になっていた。

流石に悪いと感じたマミカは、プレイヤーや緑人達には〝御返し〟をしていたのだが……

あまりの多さに、御返しを断念して、ソロプレイを始めるも…… その後も、貢ぎは止まらない……

特にフィールドモンスター達が驚きの行動を始める……

マミカが冒険の為にフィールドに出て、武器を構えると……

フィールドモンスター達が、マミカの持つ武器に飛び込むのだ!

後に…… その光景を見たプレイヤーから、バグ報告を受けた運営が解析した時に……

夢魔のユニークスキルの魅了系スキルの影響だと判明し、夢魔プレイヤーがマミカの真似に挑戦したが……

マミカと違い、一撃を受けると激昂してしまい…… その激昂したモンスター達の反撃で、プレイヤーが死に戻ると言う結果だった。

そうして…… フィールドモンスター達に経験値いのちを貢がれたマミカは……

急速にLvアップを果たし、高Lv者しか挑めないダンジョンに挑める様になっていた。

そして…… マミカは出会う…… 魔王の名を冠する最強の夢魔に……

「我は夢魔の魔王…… ロード・オブ・インキュバス…… 夢魔の蒼人よ…… 我すら魅了するか…… そなたこそ…… 夢魔の魔王に相応しい…… 我の全てを捧げよう!」

夢魔の魔王は…… マミカの手に握られた細剣を、おのが心臓に突き立て自決した。

そして、マミカは魔王になった……

彼女が夢魔の魔王になった時に…… 他の魔王には無いユニークスキル〝魅了吸収チャームドレイン〟が発現した。

プレイヤーなどの魅了耐性を持つ者達に、夢魔が持つ魅了系スキルの最上位スキル〝魅了支配〟は効き辛いが……

〝魅了吸収〟は違う…… ほぼ高確率で、敵対者を軽い魅了状態にし…… 魅了状態になった瞬間に、魅了状態の相手〝ステータスの一部を吸収〟するのだ。

敵対者の力を吸収して弱体化させるこのスキルに、彼女の〝好かれる才能〟が重なり……〝最凶の魔王スキル〟に昇格した。

勇者側プレイヤー達が死に戻ると……

「彼女なら…… 応えてくれるのかな? お婆ちゃん…… お爺ちゃん……」

異様に好かれる以外、彼女は普通の少女に育ったのは…… 祖父母の言葉を信じたからだ。

「いいかい? お前には…… 不思議と色んな者達に好かれる力がある…… けど、それに頼っては駄目だよ」

「どうして?」

「お前に好かれる為に、悪い事をする様になったり、勧める者が出るかも知れないからね……」

「わたし、悪い事しないよ?」

「そうだね…… でも、知らないで悪い事をしてしまうかも知れないよ?」

「えっ…… わたし…… やだ……」

「だから、悪い事を悪いと知る人になりなさい…… そして、悪い事は悪いと教えてくれる人と友達になるのよ……」

幼き日に、離れて住む祖父母が教えてくれた事…… その意味は、今では痛いほど解る様になった。

だから、マミカは捜している……

彼女を〝姫〟扱いしないで、一緒に泣き笑いしてくれる対等な存在を……

「あの〝獣人魔王〟なら…… 私に〝悪い事は悪いと〟教えてくれるかな?」

あの日…… CMの中で戦う獣人の女性に、少女は……

たくさんの人に囲まれた……〝孤独な自分〟を救ってくれる存在に見えていた……

「早く…… 会いたいな……」

 ・
 ・
 ・

「くっ…… また殺られたか……」

「突入部隊全滅を確認! 各部隊長の復活は…… 一時間近くかかる模様です!」

この勇魔大戦イベントは…… 質量に任せたゾンビプレイ防止の為に、Lvに応じて復活する時間が違う仕様になっていた。

Lvが高Lvなプレイヤー達は、復活するのに長い時間を要するので…… 勇者側プレイヤー達は攻勢に出れずに迷っていた。

「やはり、勇者達を送り込むしか……」

「それで全滅でもしてみろ…… 俺達の敗北だぞ?」

「しかし、この状況下では…… 勇者達に賭けるしか……」

「あのめておんを見ろ! 奴の様に対策されていたら…… どうする!」

「くっ…… やむを得んな…… 緑人達に増援を頼もう!」

「お困りですか?」

「お前は!?」

「金庫番が何故? 此処に……」

「ちょっとした商談に…… ところで、お困りですか?」

「何が言いたい……」

勇者側プレイヤーの指揮官が疑い深げに問うと、金庫番と呼ばれた人物は胡散臭げな笑みで……

「我々を…… 雇いません?」

と言った直後に…… 金庫番の後方から巨大陸上戦艦が姿を現した。

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