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第11章 神々の魔王と勇者育成計画編

姉弟機の思いと封印された女神の正体……

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カナエが古代のコックピットを開けた時に、フェアリーガーデンの機神格納庫にて……

ブォーン!

〝何か〟を感じ、ブレイブが起動した。

「お待ちなさい」

今にも、動き出そうとしていたブレイブの前に…… 腕を組んだ少女が立ちはだかる!

〝人化〟しているフェアリエだ。

ブレイブがフェアリエを見て、動きを停める……

「そう…… 貴方も感じたのですね?」

『…………』

ブレイブの意思がフェアリエに流れて行く……

「今…… フェアリーガーデンの中で、邪神の何かが現れた…… 様ですね」

『…………』

「邪神を許せない気持ちは理解しますけど、貴方が暴れてはダメです」

『…………』

「今回は、〝お姉ちゃん〟に任せなさい」

『…………』

「ええ、お礼参りして来ます…… 可愛い〝弟〟に代わってね」

 ・
 ・
 ・

「これは…… 今までの邪神とは、桁違いだな」

「勇者でどうこう出来る範囲を超えてるわね」

開放したコックピットから女神にまとわり付くようにして…… 邪神の神気が溢れ出す!

「いろいろと混ざり合って…… ヘドロみたいね」

溢れ出したヘドロの様な邪神の神気が盛り上がり始めた。

『…… ふっ…… はっはっはっ…… 愚か者めが、欲にかられて開け放ちよった!』

「ヘドロが喋った!?」

『誰がヘドロだ! 我は神、最高神達ですら超える絶対神なり!! 我を称えて、その身を捧げよ!!!』

ヘドロがスライムの様な人型になると、カナエ達に襲い掛かる!?

「邪神の残留思念かな?」

「邪神の親玉にしては…… 弱いよな?」

「やはり、身体が無いと…… 弱体化するんじゃないの?」

邪神ヘドロスライムが伸ばした触手を、それぞれに払い除けてカナエ達が動く!

「念の為に塵も残さないでね!」

「了解! 女神を頼んだ」

「女神確保! 浄化をお願い!」

ジノが邪神ヘドロスライムを焼き払い、ターニャが女神を引き離してカナエが浄化する。

『お…… 己ら…… ソイツを寄越せ!!!』

邪神ヘドロスライムが膨れ上がる!?

『この地ごと、貴様を飲み込んでくれるわ!!!』

「させませんよ」

『!? これは…… 神気だと! 貴様らはいったい……!?』

膨れ上がった邪神ヘドロスライムが飛び散ろうとした瞬間!?

【はうりんぐ】を構えた【フェアリエ】が、カナエの神気を利用したビーム砲撃で焼き払う!

「やるよ…… フェアリエ!」

「了解です。マスター!」

「「憑依合体!!」」

『!?』

人間サイズで憑依合体したカナエとフェアリエが、邪神ヘドロスライムの前に降り立つ……

『な、なんだ! この神気は…… こんな神気は知らない!? 貴様は…… 何者だ?』

「これから消える貴方に、名乗る名は無い! 悪意必滅…… 破邪神滅無限掌!!!」

フェアリエと憑依合体して神化したカナエは……

【無音なる世界】を発動しながら神気を込めた掌手を…… これでもかと、叩き込んだ!

『グボワァ!? ば、馬鹿なぁ……』

無音なる世界を解除すると…… 邪神ヘドロスライムが跡形も無く消滅した。

 ・
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 ・

 ~ とある女神の夢 ~

「ここは……」

(ああ…… 私が好きだった〝神界の花畑〟だ)

〝今は無き〟その光景に…… 女神は〝夢〟だと自覚した。

(愚かにも…… 光の眷属神を信じて、自ら手離した居場所……)

女神は、闇の眷属神だったが…… 彼女の姿は、光の最高神の姿に瓜二つだった。

彼女は…… 最初に生まれた初の眷属神だった。

最高神達の力で、安定した地上に光の最高神が降り立つと…… その強き光は…… 地上に〝影〟を生み出した。

光の最高神が生み出した〝影〟こそが、彼女だった。

光の最高神の姿に瓜二つの影を、光の最高神は妹として可愛がり、闇の最高神は光の最高神の妹になった影を眷属神にして可愛がった。

光と闇の最高神に可愛がられながら、幸せに過ごす影だった女神は…… 仲の良い光と闇の最高神が好きだった。

そして…… 闇の眷属神に〝ある言葉〟が吹き込まれた。

「属性が違う神が交わると…… 交わった神は消滅する」

光の眷属神の言葉を信じた闇の眷属神の女神は、光と闇の最高神を離そうした。

何よりも、光と闇の最高神が好きだったから…… その純粋な気持ちを利用されて、邪神に堕されてしまった女神は……

古代の人々の協力を得て、邪神の力をその身に封印して眠りについた……

永久に目覚めぬ覚悟を決めて……

(お姉様とお義兄様が…… 幸せになりますように……)

 ・
 ・
 ・

「本当…… 混沌神は、我等の救世主だな」

光の最高神の膝枕で、安らかな寝顔をしている闇の眷属神の女神を覗き込んだ後、闇の最高神が安心した顔で微笑んだ。

「子供達の次に、妹まで見付けてくれるなんて…… 本当、感謝しきれないわ♪」

光の最高神も、闇の眷属神の頭を撫でて嬉しそうに笑った。

その様子を見ていた妖精神と精霊神、最高神達が喜んでいた。

「あう…… あ?」「あい…… う?」

光の最高神の代わりに妖精神に抱かれた双子神が、不思議そうに声を上げる。

「はいはい♪ あなた達の叔母ちゃんよ…… お母さんにそっくりでしょう?」

「「あい♪」」

光の最高神の言葉に、双子神が元気に返事をした。

「しかし…… あやつの邪気がまとわり付いていたとはな……」

「あのヘドロスライムは…… 何者なんですか?」

カナエの疑問に、闇の最高神が少し考えた後……

「あやつは邪神達の王、光の眷属神だった者で……」

「勇者から神になった男で…… 私の〝ストーカー〟よ」

邪神の親玉は…… 元勇者のストーカーでした。

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