新世界で… 妖精少女は、ロボットを夢見る

チキンとり

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第5章 動き出す〇〇編 

戦争の終わりと現実で動く人達…

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 ~ 帝国側本陣 ~

「戦場はどうなってるんだ!」

「ハッ! 送り込んだ蒼人が教会で溢れ返ってます!」

「転移陣の9割りが沈黙! 緑人部隊を増援で送りますか?」

「馬鹿野郎! 帝国の防衛を考えろ! 蒼人なんかに任せられるか!」

「報告! 勇者様が敗北した…… との事です」

「糞がぁ~! 狂賢者に続いて、勇者もか! 勇者はどうなった!」

「聖剣を奪われたみたいです。【転身の守り】で撤退には成功し…… 体を癒す為に城で療養する模様です」

「この戦争は、我々の敗けだな…… 残りの王国側転移陣を破棄しろ!」

「!? よろしいのですか?」

「構わん! どのみち、ここは王国に近すぎる…… 旧帝都への転移陣を用意しろ! 旧帝都に後退する事になるぞ。先見隊を編成! 編成しだい転移しろ!」

「王国側の転移陣が開戦直後に潰されたのは…… 痛かったですね……」

「転移陣がバレていた時点で、帝国は…… 敗けていたのだ…… あの罠の跡を見たか?」

「見に行かなくても、見えますからね…… どうしたら、あの威力が出るのでしょう……」

「他の転移陣も、行った者が帰って来ん…… 直ぐに停止してしまった。我々は…準備段階で既に、王国の手の平の上だったのだ……」

「騎士団長様……」

「後退準備! 急げよ……」

「「「「「ハッ!」」」」」

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 ~ 皇帝の居城 ~

「皇帝様、ご決断を!」

「ここを棄てねばならんか?」

「我々の仕掛けた転移陣を逆手に取る。あの罠…… ここに留まっては、命は有りますまい…… 鉱山を確保しつつ旧帝都に後退しましょう」

「わかった…… 旧帝都に行く! 急ぎ、用意しろ!」

「「「「「ハッ!」」」」」

ピコ~ン!
『王国に攻め込んだ帝国兵が全滅しました。王国と魔王の勝利です。これにより、帝国領の一部が王国に移ります。一部の蒼人が条件を満たした為、本日、午前0時に…… 緊急メンテナンスとアップデートを開始します。蒼人の皆さんは…… 安全地帯でログアウトして下さい。メンテナンス時間、追加されるアップデートの新システムの情報は…… 新世界公式サイトで、ご確認下さい』

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 ~ 現実リアル世界 ~

「まさか、あのこが一番乗りとは…… お婆ちゃんやり過ぎよ。まったくもう~」

『私のせいじゃないわよ。誰かが悪さしたのよ! ちゃんとルール通りにしたら…… 偶然、あのこでびっくりしたのは、こっちの方よ』

「まあまあ、いいじゃないか? あのこのお陰で…… 参加企業が増えたから、メンテ明けの一回目のコラボが豪華になったんだし」

「あのこが作った蜘蛛型の多脚車両が、有名車メーカーや特殊車両メーカー、軍事機械系の各社に人気なのよね」

『私も欲しいもの…… お年寄りの介護用にもいいと思うの』

「彼女の了解を取って、各社にデータを送りましょう。後、悪さした者が解りました…… やはり、彼方から来たスタッフに居ましたよ。彼はクビにはしません…… このまま泳がせます。勿論、帝国勇者以外には手出しさせませんが…」

『うちの家族がすみません……』

「お婆ちゃんは悪くないわ! 悪いのはお父さんの親戚達じゃない!」

『私が育てられ無かったとは言え…… 自分の孫ほど離れた妹と自分の子が作った会社を乗っ取ろとするとは……』

「大丈夫ですよ。お義父さんを筆頭に真太郎さんと竜司、玲士が動いてくれてます。証拠も集まって来ましたし、お義兄さんと勇人が次に何かしたら…… 責任を取って貰いましょう」

「新世界の方は、どうしようか? 帝国勇者と帝国にペナルティを科す?」

「新世界の方の帝国勇者は限り無く黒に近いけど…… グレーなんだよね~。本人の知らない所で、例のスタッフが優遇してるみたいだけど…… あのこに、悉く潰されてるみたいだね」

「あのこは、悪くないわ! かかる火の粉ってヤツよ!」

『そうね…… 最初の時も、ロボットの時も、それ以外も…… 勇人…… 帝国勇者から、因縁付けてるもの』

「あのこが帝国勇者を倒す度に、私もスッキリするもの! 3年前のあの時から、私のヒーローよ!」

『そこは、私達のヒーローでしょ?』

「そのヒーローちゃんのお陰で、堕落勇者系の帝国勇者はデスペナ酷いはずだよね?」

「堕落系の聖者職は…… 強いけど、聖者系職と魔王系職に負けると、聖者系職の場合はステータス半減+モンスタープレイヤー扱いになり、普通の街や村が使えなくなるで、魔王系に負けると…… ステータス3分の1+ランダムで呪いが掛かる。だったよね?」

『呪い以外は、新世界で10日経つまでそのままで、呪いは自分で解除しないとダメよ』

「この勇者が厄介なのは、権力者の命令で動いてる事だな…… 直接的に迷惑行為をしていないのに、魔王が被害を受けてる」

「受けた被害を倍返し以上にしてるけど…… 流石、私達のヒーロー!」

『うちのバカ息子が自分の孫を巻き込んで、なにやってるんだか…… まったくもう~』

「今回の事で、ちょっとは大人しくなるんじゃないですか? じゃないと周りから怪しまれますよ。しかし、転移陣に仕掛けた…… あの罠! しばらくは、帝国は軍の再編が大変でしょうね」

「プレイヤーの帝国離れも、凄いしね…… 一部は魔王のダンジョンにハマったみたいだけど。私もモフモフの村に行きたい!」

『私はそろそろ行けそうよ♪』

「「!?」」

『種がね…… そろそろ芽吹きそうなの。もう直ぐ…… 条件が揃うわ♪』

「お婆ちゃん、私の事は…… ないしょだよ! バレたら依怙贔屓が疑われるから……」

「誰かの不正に巻き込まれて、順番がずれてお婆さんに逢った以外は、自力ですからね…… 楽しんで貰えて、私達も嬉しいですよ」

『じゃあ、メンテナンスとアップデート、がんばって! メンテナンス明けにまた逢いましょう』

「「はぁい」」「また後で」「後でね♪」

「さぁ~…… メンテナンス、がんばろ!」

「私は、アップデートの確認ね。あのこのお陰で私達の夢が叶ったんだから、次は…… あのこの夢を叶えて貰いましょう!」

「ああ、君を救った…… 小さな魔王様の夢が叶う様に」

二人の男女は、互いに微笑むと……

真剣な顔付きでモニターに向かい合うのだった。

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