上 下
6 / 464
第1章 はじめてづくし編 

王都ラーバ 親切な緑人と迷惑な蒼人 お爺さんはたいへん!?

しおりを挟む
景色が変わって… カナエの周りに人が現れる。

(びっくりした!? プレイヤーかな?)

 次々に人が現れるので、邪魔にならない様に…… カナエは端に移動しながら、初めての場所に… ドキドキして廻りを見る。

そこは、導きの泉を中心にギリシャ神殿にあるような柱が囲んでいる。上を見ると天井は無く、青空が広がっている… 柱から先に行くと、眼下に泉を囲むように中世の街並みが見える。

泉は、小高い丘の上に在るらしい…… 不意に視線を感じ、カナエが泉を見ると……

(人がいっぱい!? いろいろな【種族】がいる! なんか聞こえる…… ロリネコ…… 黒髪幼女!? 幼女? 私の事? そう見えるの? なんか悲しくなった…… 移動しよう)

とりあえず、カナエは街に向かう事に……

泉から街続く石段を降りおわるぐらいで、カナエは声をかけられた。

「王都は、初めてかな? 小さな旅人さん」

「はい、初めてです」

カナエが返事をしながら、声の主を見ると……

そこには、大柄ながたいの良い…… 立派な騎士甲冑姿のお爺さんがいた。

突然の事に、固まるカナエに……

「すまぬ…… 驚かせてしまった様じゃな…… ワシは、この王都ラーバの守護騎士の一人で、アルバじゃ。今日から始まる【神託】にある【始まりの祝福】で現れる【旅人】の対応をしている」

「これは、ご親切に…… こちらこそ、ごめんなさい。私は カナエです。よろしくお願いします」

困り顔で、自己紹介してくれたお爺さんに、カナエは…… 小さくお辞儀をして名乗る。

「これはこれは…… 礼儀正しい【旅人】さんだ。それでは仕事をしよう! カナエ殿、初めてならば、先ずは【蒼のギルド】に行きなされ…… そこで【初回ボーナス】などの【サービス】と【チュートリアル】が受けれるが…… どうされた?」

「ごめんなさい。左手…… 大丈夫ですか?」

お爺さんの左手が気にしているカナエに、お爺さんが案内途中で気付く。

(聞かれたので…… つい、言っちゃった)

「実はのう…… 先日の討伐で、中級の魔物が多数出て…… 石化を喰ろうてしもうたのだ。被害も多くて…… 状態回復ポーションが不足して、治療が出来んかった」

「ちょっと見せて下さい! もしかしたら…… 治療できるかも?」

「本当か!?」

カナエの言葉に驚きながら、お爺さんは左手を見せてくれた。

カナエは【神眼】を使って、状態を見ると【状態 中級石化】と出たので【妖精の粉】を試すと…… すると!? お爺さんの左手がぼんやりと優しく光る……

カナエは、光が消えたのを見て、お爺さんの左手を確認すると…… 

「うん、治療完了ですね…… お大事に」

「おお、手が動く! ありがとう…… カナエ殿」

お爺さんは、左手を軽くグーぱーしてから、お礼を言う。

(こういうの…… なんかテレるね)

「こちらでしたか! アルバ様、至急城へ」

「何事か?」

街から、焦った様子の騎士がお爺さんを呼んでいる。

「それが、勇者を名乗る旅人の一団が城に!」

「衛兵は、どうした?」

「それが…… 導きの泉から、真っ直ぐに城を目指したらしく…… 突然、中央に現れたのです」

「なんと!? あの堀と塀を、飛び越えたのか!?」

「急ぎ城へ!」

「承知した! すまぬな、カナエ殿…… これを」

お爺さんは、カナエにスマホぐらいの綺麗な彫金がされた金属のプレート渡す。

「これは?」

「ワシの家の紋章だ。そのプレートは騎士からの信頼を表す。困った事やワシに用がある時に、騎士に見せなさい。王国内ならば、力になれ様ぞ」

そう言うと、お爺さんは空に向かって…… 笛を吹く!

(えっ…… 音がしない?)

不意に辺りが暗くなったので、カナエが上を見ると……

「!?」

大きな竜がいた。

「【蒼のギルド】は、この大通りの先にある。中央の蒼い旗が掛かる大きな館だ」

「は…… はい!」

驚き戸惑うカナエの頭を、優しく撫でながら…… お爺さんは【ギルド】の場所を説明してくれる。

カナエの返事に満足した様で、お爺さんは頷いた後、竜に飛び乗ると……

「また、逢おう」

と言って、竜が上昇して行く。

カナエは、大きく手を振てた後にお辞儀をしたら……

「あっ!」

『ギャオォォォォォ!!!』

お爺さんが手を上げた瞬間に…… 竜が咆哮を一鳴き!?

お爺さんと竜がお城に飛んでくのを…… カナエは、しばらく見送った。

「竜騎士…… 格好いい!」

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【完結】日本で生まれたのに見た目はファンタジーな私!日本語しか喋れないんだけど、何か悪いの?~ピンク髪のヒロインはVRゲームの中で恋愛する~

黒幸
恋愛
旧々題『ピンク髪のヒロインは今日も不機嫌』 旧題『日本で生まれたのに見た目はプリンセスな私!日本語しか喋れないんだけど、何か悪いの?~ピンク髪のヒロインは電子の妖精の夢を見るか?~』 三度目の正直で今度のタイトルで決定です。 2022/1/15に本編は完結しました! アリスは幼馴染のタケルと友達以上恋人未満の関係。 傍目には両想いにしか見えない二人の関係はもどかしいまま、一向に進まない。 彼女は想いを素直に口に出せない天邪鬼な性格。 そんな彼女はタケルが全て、分かってくれた上で自分と付き合ってくれていると信じて、疑っていない。 自分は恋物語のヒロインなのだと思い、日々を過ごしていた。 本編25話、後日談16話の構成となっています。 表紙はノーコピライトガール様のイラストをお借りしています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...